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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界

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17話 ジアストール城内の探検.8


 2/9 加筆修正致しました。


【リティナ視点】


 流にーちゃんの事を知ったのは、遠方での役目を終えて、王都に帰って来た時やった。

 怪我人が列を成して、正門に並び、何か呟きながら震えとったなぁ。

 治療したんかって?

 する訳無いやん。

 真心の水晶の色が、"紫"の奴等やねんで?

 馬鹿な門兵は、そいつらから理由を聞いて直ぐ、王都に入れおったけど、何でやねんって思ったわ。

 直ぐに、その理由が公表されたけど、ウチらからしたら、巫山戯んなって話やで。

 その紫の奴等が行く先は、スラムやからな。


 んで、直ぐに院長から呼び出されて、出回っとる内容を話したら、頼み事をされてん。


『魔王をここに、連れて来て欲しいのです』


 院長には、返し切れへん恩があるし、理由とかもなーんも聞かんと、了承したわ。

 護衛のニアは、文句言ってたけどな。

 最初は二人で、行く予定やってんけど、教会の馬鹿共に見つかってもうて、仕方無くお付きとして、同行して貰ったんや。


 村に到着して、びっくりしたわ。

 もぬけの殻やもん。

 村長は居ったけど、腕無かったし、しゃあなしで治療したったわ。

 周りを見たら、教会のおっさん共が消えとるし、嫌な予感がしたんやけど、なんやかんやあって、流にーちゃんと会う事が出来たんや。


 流にーちゃんの第一印象は、変人やな。

 舐め回す様な視線で、ニアを見とるし。

 犬人族の子供を、自分の娘と言っとるし。


 王都に来る道中、魔法を使ってるの見たけど、魔王と言われる程じゃ無かってん。

 変なスキルは、持ってたけど。


 疑問に思ったのは、城門での時や。

 流にーちゃんが、城壁の上で、何故か全裸になってた時やねんけど、嫌な感じがした。

 魔法を使おうとしたんやろうけど、何でやろうか……城壁が粉々になる、予感がしてん。

 女王が止めおったから、助かったけどな。


 決定的やったんは、やっぱりアレやな。

 雨を降らせた事。

 孤児院の火を消してくれたんは、有り難かったけどや、天候操作って、可笑しいやろ。


 追加で言うと、大聖堂を潰した魔法も、天候操作の魔法と同じく、有り得へん魔法や。

 上級魔法の域を、遥かに超えとる。

 それこそ、神の魔法ちゃうの? とまで、思う程、威力の桁が違う魔法やった。


 疑問に思ったら、直ぐ行動。

 院長の言葉やねん。

 だからこうして、王城の書庫を漁ってんねんけど、全然見つからへん。


「こう言う作業っ、苛々してくんねんっ! 五百年分もっ、保管すんなやっ!」


「リティナ様、本を投げたらぁ、駄目ですよぉ」


「投げへんわっ!」────スパァンッ!!


「投げちゃ駄目ですってぇーっ」


 許してーや、反射的に体が動いてん。

 ジアストールは、建国五百年と、周辺の大国に比べたら、歴史が浅いんや。

 それでも、五百年分の書物。

 ウチらだけで探すのは、無茶やったか。

 

「それに、この書庫……なんやさっきからっ、コンサート予定表やら握手会日程表やらっ、誰やねんアシュノンてっ!!」


「確かぁ、他国に逃げたぁ、陛下の姉君の名前では、無かったでしょうかぁ?」


「あの女王の姉ちゃんかいな……っ、アシュノン親衛隊名簿なんて残すなや!?」


 何やこのお姫様……あの女王より、遥かに人気があったんとちゃうの。

 何やコレ、ポエムっ!?


「捨ててまえっ!」────スパァンッ!!


「また投げてぇ、駄目ですってばぁっ」


「ニアも踏ん付けとるやん……」


 グリグリしとるから、ウチより酷いで。


「あかんっ、無理やーっ! 書庫やのに、変なもんばっかりで、ここに無いんとちゃうん」


「どうでしょうねぇ」


 実際問題、探しとる本が有ったとしても、こない誰でも入れる場所に、置いとくか?

 女王に聞いてみよか……癪やけど。


「リティナ様っ、見て下さぁい」


「見つかったんかっ!?」


「こんなの有りましたぁ、ファンブックぅ」


「要るかぁっ!?」────スパァンッ!!


 ここは書庫や無い。

 ただの倉庫や。

 

「リティナ様……っ、見て下さぁい!」


「次は何を見つけたんや……」


「『聖女追跡調査。影は見た、聖女の裏の顔を』って言う本ですぅ」


「ニアっ! それは焼き捨てぇっ!!」


 なんちゅーもんっ、保管しとるんや!

 影って言ったら、噂になっとるっ、ジアストールの暗部ちゃうんか!!


「ニア……今、懐に、何入れたんや……」


「何もぉ、入れてませんよぉ?」


「プィってそっぽ向いてもアカンで! ほらっ、さっさと今の出しいっ!」


「良いですよぉ、どうぞ取って下さぁい」


「なっ!?」

 

 胸こっちに向けてっ、ウチに弄れと!?

 完全に、開き直りおった。

 

「ぐっ、もうええわ!」


「ほらぁ、取らないんですかぁ?」


「胸向けんなや!」────スパァンッ!!


 気晴らしに、外の空気でも吸お。

 苛々で禿げてまうで、ほんま。




 気晴らしに、ぶらぶら散歩しとったら、練兵場に着いたんやけど……流にーちゃんが、オモロい顔で死んどんねん。


「流にーちゃーん。アカン、起きへんな」


 何や離れた所で、ヘラクレスとミルンが、殺気全開でじゃれあっとるし。


「何してんのアイツら」


「ミルンさんは、本気ですねぇ」


「そやけど、ヘラクレスは上手く避けとるし、問題無いやろ。問題は、コレやなぁ」


「治さないんですかぁ?」


 勿論治すんやけど、二人の戦いが面白過ぎて、気になって集中出来へんねん。


「ミルンは、ヘラクレスの玉を狙うとるんか」


「背が低いからぁ、一撃入れば潰れますよぉ」


「ソレは汚うて、治したく無いで……」


 早く流にーちゃん起こすか。

 ヘラクレスの玉が潰れたら、絶対ウチんところ来るやろうけど、治した無いもん。


「えっと、状態は……脳天に、デッカい瘤が出来とるんか。そんなら、簡単やな」


 腕を回して、しっかりほぐす

 手首もしっかりとほぐさな、こっちが痛くなんのは、嫌やからな。


「うしっ、それじゃぁこのまま────っ、いつまで寝とるんじゃボケェっ!!」


 腕を振り下ろし、脳天に打ち込むっ!!


 ドゴスッッッ────「んぎゃああああああたまがああああああ──っ!?」


 何や、オモロい動きで起きたやん。


「どうしたん、そないキョロキョロして?」


「頭っ、今っ、頭っ、殴ったのお前なの!?」


「んな訳あるかいな。失神しとった流にーちゃんを、治療したってんで?」


「失神? 治療? 痛っ、どうなってんの?」


「そない考えとる暇無いやろ。あそこの二人止めな、色々不味いんとちゃうの」


 ヘラクレスとミルンは、まだ争っとるで。

 少しずつミルンが押し始めたけど、ヘラクレスが本気になる前に、止めなあかん。


「村長? ミルン? ガチバトルじゃんっ!? ミルン止まれ──っ!!」


 流にーちゃんが慌てとるわ。

 珍しいもん見れたな。


「ほな、ウチはまだ、用事があるさかい。ホンマっ、頭には気を付けや。ニア、行くで」


「分かりましたぁ。リティナ様は、疲れてませんかぁ?」


「一回だけなら、疲れる事あらへんわ」

 

 何回も使ったら、ヤバいけどな。

 取り敢えず、念の為もう一度、あの書庫を漁ってから、女王に聞こか。


 そう思って歩き出したら、流にーちゃんの声が、聞こえて来た。


「リティナっ! 怪我治してくれて、有難う! マジで助かったわ!」


 魔王って言われとる奴が、律儀にお礼言うんかいな……ホンマ、変な奴やで。


「これは貸しにしとくわ」


「分かった。返せるか分からんけどな」


「期待しとらんわ。ほなな、ニア、行くでーっ」


「ふふっ、リティナ様、嬉しそうですよぉ」


 誰が嬉しそうやねん。

 今からまた、魔王に関する書物を、探さんとやねんから、嬉しく無いわ。

 

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