15話 ジアストール城内の探検.7
うぅん…頼まれた事も終わったしどうしようかな。
「はしりたいの!」
そうだな、食後の運動にちょっと動きまわれる場所ないかドゥシャさん。
確か村長が練兵場に行ってるはずだけど。
「はい、練兵場で御座いましたらここから少し歩いた場所に御座います」
分かった。
よしミルン、円盤投げ合って遊ぼう! 今度は口じゃ無くてちゃんと手で取るんだぞ。
「からだがかってにうごいて、おくちにはいる…なんで?」
やっぱり本能なの? 獲物を追いかける習性? 確か俺ミルンに追いかけられた事あったけど…命懸けだったなぁ。なら違う遊びの方が良いのか。
「なんでだろうなぁ。おぉっ見えてきた」
結構遠いな。
でも、遠くからでも分かるあの筋肉は間違い無く村長…やっぱりポージングしてるよ。
「よし、ミルン。練兵場まで競走しよう!」
きょうそう? と疑問の顔を浮かべたが、駆けっこしようと伝えたらドゥシャさんの腕から飛び出し、手をを地につけ尻尾振り振り…可愛い過ぎて鼻血がっ…ズズッ! 良し。
ドゥシャさん、よーいどん! で合図宜しく。
ドゥシャさんはその合図に首を傾げたが了承してくれた。
「畏まりました。其れでは…よーい…どん!!」
俺とミルンが同時にスタートを切る。
なんか俺、走るの速くなってないか!? 身体が軽いし息が全然苦しく無い。
これならっ! と更にスピードを上げる。
軽く六十キロはでてるんじゃねこれ楽しいぞぉおおおおおおおっともう目の前ゴールだ! 良しっミルンに勝っ…。
「うがーーー!」
はい、ミルンが俺の横を駆け抜けゴールしましたね何今のマンガ見たいな速さ…。
俺の後ろ走ってたミルンが息吸って、うがーって可愛い声だしたと思ったら一瞬で抜かれたよ…ちょっと悔しい。
「ふーっ、ふーっ、おとうさんにかった!!」
息整えながらふふんっ、とふんぞりかえるミルン可愛いなぁ、そうだね、俺の負けだね。
頭を撫でて褒めてあげなくちゃだな!
尻尾が凄い…広場の砂巻き上げるぐらい左右に振れてるよ。
「ミルン御嬢様の圧勝で御座いますね」
なにっ!? ああドゥシャさん急に背後から話かけないでよびっくりするからって、ドゥシャさんいつの間に来たの? 結構距離あった筈だけど…。
「ドゥシャうしろからはしってきてた!」
ミルンさんマジですか…と言う事はドゥシャさんと勝負したら俺とミルン普通に負けるんじゃないの?
「いえ、御二方共なかなかの脚力でございました。我等の中でも御二方に追従できる者は少ないかと存じます」
なんだよ我等って。
メイド達の事ですか? 違うの…はいっ! もう聞きませんから無言の圧力やめて!
※
流石、練兵場は広いなぁ。
地球で言う所のテニスコート六個分かな。
丸太に木剣振り落としてる者、木剣の打ち合いをしている者、土嚢を背負って走ってる者、寝そべり仮眠をとっている者、上半身裸でふうぅん! と筋肉を膨張させている筋肉村長…村長だけ場違いだな。
「相変わらず筋肉だな村長」
村長は俺に気が付いて白い歯を見せてくる。
もう村長と言うより唯の筋肉だな。
「来たのか流君! ミルン君と…そちらの女性は先程、食事処でお会いしましたな! 私はヘラクレスうぅ…ヴァント! と言う。宜しく!」
軽いジャブでマッスルポーズをとるなよ。
「先程は御挨拶出来ず申し訳ございません。パーラーメイドのドゥシャと申します。ヘラクレス様、どうぞ宜しくお願い致します」
ドゥシャさん村長見ても平然としてるな…。
「流君も運動しに来たのかね!」
むぅうん! とポーズを変更するなよ普通に運動しろよ他の衛兵達こっち見ても直ぐ目を逸らすだろ。
「ああ。ミルンが動きたいそうで腹ごなしにちょっとな」
「はしってくる!」
我慢出来ずに行っちゃったよ…他の人に迷惑かけるなよーミルンさんやーい! 絡まれたら股間撲滅パンチして良いからなー! と大声で言えば、衛兵達がこっちを凄い顔で見てきたからこれで大丈夫だろ。
「ドゥシャさん。何かあったら宜し…?」
ドゥシャさん? どこ行った? あれ…いつの間にかミルンに並走してるよ…もうミルンお付きのメイド様じゃんドゥシャさんが見てくれているなら安心だけど。
旦那様とは何ぞや? まあ良いか。
俺は…どうしようか。
そう思ってたら村長が木剣を投げてきた危ねえな!?
「流君! ちょっと身体を動かそう!」
いやいや俺素人だから要らないです。
寄るな…顔近づけるな…分かったよ! やれば良いんだろやれば!?
「はっはっは! 大丈夫だ! 軽く打ち合うだけだからな!」
眼が笑ってないんだよこの筋肉…。