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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界

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17話 ジアストール城内の探検.6


 2/8 加筆修正致しました。



「うんうん、毛根死滅している人が、沢山並んでいるなぁ。あそこに並びたくねぇ」


「ピカピカひかってるの!」


「そうだねミルン。汗が光で反射してるし、ストレス過多の仕事っぽいぞ」


「せちがらいよのなかですっ」


 ドゥシャさんに抱っこされたままの、ミルンの顔から、なんだか哀愁を感じます。


 貞操帯さんに頼まれた書類を、こうして持って来た訳だけど、本当にっ、並びたく無い。

 冒険者ギルドと違って、立ったまま、あの汗だくの文官の様に、並ぶんだぞ?

 この場所は、某即売会かよ。

 

「旦那様。並びませんと、お渡し出来無いかと」


「分かってるよっ……こんなお願い、受けるんじゃ無かったわ」

 

 渋々、部屋の前まで進んだ。

 並ばないのかって?

 先ずは、内部を確認しないとだ。


「そっと、もしもーし。この部屋広いな……中はガチで、冒険者ギルドじゃん」


 壁に沿う様に、長いテーブルが置かれて、区切り板が設置され、各担当に分かれて、並んでいる文官達から、書類を受け取っている。

 部屋の出入口側に、待合席が設置され、そこからあぶれた者達が、列を成している様だ。


「んで……俺はどの列に、並べば良いんだ?」


「旦那様。各担当者毎に、絵が御座いますので、それを目印にすれば宜しいかと」


「絵? この書類は、農業関係だよな……」


 本の絵は違う。

 アレはゴブリンっぽいから、違うだろ。

 羽根ペンの絵は、本と何が違うんだ。

 鎧も違う。

 キノコ? 紫色だから、毒関係か。

 

「小麦っぽいのが有るな。アレか……」

 

 もう少し、分かり易くして欲しいな。

 そうボヤきながらも、列に並んだ。


「何でドゥシャさんまで並ぶんだ?」


「念の為に御座います」


「念の為……監視って事ね」


 ミルンのお世話がメインだけど、俺への監視も怠らない、プロの仕事です。

 心が休まらないっ!!

 だからこそのっ、可愛いミルンを眺めて、心を落ち着けましょう。


「おじさんいっぱい!」


「そうだねぇ、いっぱい居るねぇ」


「はげいっぱい!」


「そうだねぇ、禿げいっぱいだねぇ」


「となりのひともっ、はげている!」


「うんうん。立派な光だねぇ」


 その光を放っている、隣の文官を見ると、口元をピクピクさせながら、震えていた。

 キレて無いですよね?


「なんだその獣は! 失礼な!」


「けものじゃないの、ミルンです」


「なぜ城にこんなっ、薄汚い獣がいるのだ! おい衛兵! この獣を城から追い払え!」


「けものじゃないの。ミルンなーのーっ」


 流石ミルン、煽りが上手いな。

 文官がガチギレしてるのに、ドゥシャさんに抱っこされたまま、変顔で返してるぞ。

 変顔でも可愛いなんてっ、鼻血がヤバい!


「糞っ、伯爵様の使いの私が何故っ、こんなにも待たねばならん!」


「それはしらないの」


「おい衛兵っ、何をぼさっとしておるのだ! 早くその獣をっ、どうにかしろ! 殺しても構わぬわ!」


「おとなげないの……」


 どうやらこの文官、気付いて無いらしい。

 さっきから、部屋の中の衛兵達が、ドゥシャさんに睨まれて、動かない事を。

 これって、このドゥシャさんの立ち位置が、衛兵よりも上って事だよね。


「どうした衛兵! なぜ目を逸らすのだ!」


 まぁ、それは良いとしてだ。

 この文官……ミルンを殺しても良いって、俺の目の前で、言ったよな。


「ちょいちょい、そこの文官さんや」


「何だ貴様っ! 私に気安く……ひゃっ!?」


 満面の笑みって、最早凶器だよね!

 

「お前今さっき、この天使の様に愛らしいミルンを、殺しても構わんって言ったよな?」


「ぃぇっ、そのぉ……」


「じゃあお前、死ぬ覚悟があるって事で、良いんだよな? 人を殺せと命じておいて、まさか自分に返って来ないとか、思って無いよな?」


「うひぃぃぃっ!? あがっ────」

 

 笑顔を怖がるとか、可笑しな奴だ。


「さぁて、どつしてくれよ…う…か? 立ったまま白目になってる!? 怖っ!」


「おとうさん、まわりみて」


「んっ? 周りって……誰も居ない……」


 ミルンに言われて気付いた。

 あんなに列を成していた文官達が、目の前の白目を除いて、居なくなっている。


「えっ、何コレ?」


「おとうさんのせい! はんせいするの!」


「俺の所為? いやいやっ、俺はただ笑顔で、この文官を詰めていただけだぞ?」


 それで逃げるって、文官達臆病過ぎだろ。

 部屋の中に居る、担当者達や衛兵は、何事も無く仕事をしてるんだぞ。


「へんなのでてた!」


「変なの出てた? それって何?」


 俺から何が出ていたの?

 出るものなんて、何も無いんだけど……そっとお尻を確認。

 何も出てないよな。


「旦那様。申し訳御座いません。ミルン御嬢様に対して、この様な無礼を働く者が、城内に居ようとは……」


「もんだいないです!」


「らしいぞドゥシャさん。ミルンがこう言ってるんだし、俺からは何も無いな」


「ミルン御嬢様。御温情、感謝申し上げます。この者の処分は、お任せ下さいませ」


「お願いする……処分すんのかよ」

 

 白目の文官を処分って、何するんだろ。

 聞きたく無いなぁ。


「影、持って行きなさい」


「んっ? 影って、影さん来てるの?」


「何の事に御座いましょう」


 俺の空耳だったのか?

 ドゥシャさんが、影と言った様な気がしたんだけど、疑問の顔を浮かべているぞ。

 

「……あの文官どこ行った? あれっ? 今さっきまで、白目で突っ立って居たよな?」


「きえたの。なんで?」

  

「ミルンも見てないのか……」


 ドゥシャさんをチラリと見るが、お澄まし顔のまま、ミルンを抱っこしてます。

 下手に追求したら、怖そうだなぁ。

 うん、さっさと書類を渡そう。


「前に並んでた人達、居なくなったから、そのまま書類渡しても……問題無いよな?」


「はい。問題無いかと存じます」


「待つ時間が短いのは良かったけど、なーんか、スッキリしない」


 モヤっとしながらも、担当者が居る受付へと向かい、テーブルの上に書類を置いた。


「うひっ、えぇっと、御用件は……」


 さっきの一部始終を見ていた担当者さん、バッチリ怯えてるのかよ。


「なんか、騒がしくして御免。貞操帯さんから、この書類を渡してくれって、頼まれてな」


「てっ、貞操帯さん?」


「ああ、貞操帯さん。確認してくれ」


「えっと、ああっ、この書類ね。ラナさんに頼んだ分です。確かに、受領致しました」


 ラナさんって、誰だろうか。

 もしかして、貞操帯さんの名前か? 貞操帯さんって、担当者さんに言っちゃったぞ。


「……それじゃ、確かに渡したからなっ」


 足速にその場を離脱!

 離れる瞬間、『ラナさんが貞操帯?』と、担当者の人がぼやいて居たけど、俺は何も聞いていないっ! そう言う事にしておこう!


「お待たせ二人共。これで、頼まれていた用事終わったし、探検を再開出来るぞ」


「たんけん! どぅしゃっ、いくの!」


「畏まりました」


「で、ミルンさんや。俺から何が出ていたの?」


 さっきからずっと、気になってるんです。

 

「さぁ、参りましょう、ミルン御嬢様」


「おねがいしますっ」


 また全無視されてんじゃん。

 また置いて行かれたじゃん。

 ミルンも抱っこされたままだし、もうそろそろ、俺泣いちゃうかもよ?


「……肩が寂しいっ」


 

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