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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女の居る世界

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27話 嵐が過ぎての残りの約束.3


 2026/06/28 改稿



 お城の中を、ミルンと探検──という訳でもなく、俺はただひたすらに、メイドさんに抱えられたミルンの後ろを、歩いているだけだ。

 身長は、結構低い。後ろからメイドさんのつむじが、見える程には低身長。なのに、はち切れんばかりの巨乳様とか──最高です。


「こちらのお部屋が、尋問室となっております」


「変な物が沢山あるっ」


 そういえばこの身長って、孤児院に来てた影さんと、同じぐらいだよなぁ……声色的にも女性の筈だけど、ここに居るのかねぇ。


「こちらが、水洗式のお手洗いです」


「汚れが一つもないのっ」


 にしても、本当にこの城は広いな。廊下の幅だけでも二メートル以上はあるし、石畳みの上に絨毯みたいなのが敷かれて、足が痛くない。


「こちらが、武器庫となっております」


「斧がいっぱい! あの剣格好良いのっ!」


「いやちょっと待ていっ!」


 もう駄目だ、ツッコミを我慢出来ない。


「なんで御座いましょう?」


「なあ……メイドさん。城の案内は良いんだけど、さっきからずっと、物騒な部屋にしか案内されてないよねえっ!」


「そのような事は、御座いませんが?」


「そのような事だらけじゃねぇかっ!?」


 城に入って最初のお部屋が、拘束部屋。その次に案内されたのが、衛兵室。その次は毒物保管庫だったし、その次は治療室。んで、尋問室にトイレに武器庫って──何の案内だよっ!


「ミルン御嬢様ならば、必ず喜ばれるかと思い、ご案内しているだけに御座います」


「やっぱり確信犯じゃんっ!」


「ふんふんっ、お城の中は楽しいっ!」


 ミルンが楽しんでいるのは良いが、物騒なモノだけではなく、もっとこう……ダンスホールとか、楽器が置いてある部屋とかっ、安全な場所を見せて欲しい。


「なあメイドさん。頼むから、もっと安全な場所に、案内してくれないかな……ミルンの本能が刺激されて、危ないからさ」


「危なくないよ?」


「そう言うのなら、ミルン。その手に握ったモノを、ちゃんとポイしなさいっ」


 ドゥシャさんに抱えられているからか、立て掛けられていた斧の持ち手と、ミルンの手の位置が、ジャストフィット。それをしっかりと握って、放そうとしない。


「ぬぅぅぅんっ、持てないのっ」


「持って帰ろうとしないでね」


「希少な鉱石を使用した、最重量の斧ですので、ミルン御嬢様には合わないかと」


「注意するとこ、可笑しくね?」


 そうこうしながらも、お城をぐるっと回って行き、階段を上がった先には──うん、エントランスに戻って来ました。

 俺にはいつ、どのタイミングで、階段を下りたのかが全く分からない。そう思い、後ろの上って来た階段を見ると──階段が消えていた。


「なあ……メイドさん」


「なんで御座いましょう?」


「頼むから、正規ルートで案内して?」


 どこからどう見ても、隠し通路。それも、結構危ない部屋を隠している、知ったら不味いであろう、重要機密的なやつ。


「御安心下さい。"ミルン御嬢様にならば"、ある程度知られても良いとの、陛下からの御達しに御座います」


「……俺は?」


「……」


「怖いからジッと見ないでくれっ。急に無言になられると、不安になるだろっ」


 メイドさんに倣う様に、抱えられているミルンまでもが、半笑いを浮かべつつジッと見てくるとか、心臓に悪過ぎる。


「ちょっとした、冗談に御座います。ご昼食のご用意が整っておりますので、どうぞこちらへ……陛下もお待ちになっているかと」


「お昼? お肉ですか?」


「左様に御座います。ミルン御嬢様のお口に合うように、シェフをしっかりと"指導致しました"ので、ご期待下さいませ」


 このメイドさんは、シェフを指導なんかして、どんな料理を完成させたんだろうか。


「女王よりも、料理が気になるなぁ」

 

 エントランスの端にある、蔦のような装飾が施された、螺旋階段を上がって直ぐの通路を進んで、突き当たりを左の奥。


「さっきまでの案内は、なんだったのか……無駄に豪華って訳じゃないけど、センスの良い飾り方だな。美術館のような雰囲気だ」


「びじゅつ……かんに御座いますか? 何かは存じ上げませんが、この廊下に飾られている絵は全て、陛下が描かれた物に御座います」


「へぇ……コレを女王自らねぇ」


 危なかったああああああっ。俺が異世界人って知ってるのは、ミルンと院長影共さんと……そういえば、あの身長の低い影さんも、盗み聞きしてたんだったか。


「……女王に伝えたのか?」


「どうかなさいましたでしょうか?」


「いやっ、何でもない」


 例え知られていたとしても、こっちからわざわざ言う事でもないし、無駄口は悪手だろう。ここは黙るが吉だ。


「ふんふんふーん。お肉の絵はないのぉ」


「ミルン御嬢様から、陛下にお願いをなされば、描いてくれるやも知れませんね」


「ほんと? オークの睾丸描いてくれる?」


「っ……描いてくれるやも、知れませんぬ」


 駄目だっ、笑うな俺っ。ミルンの好物なのは知ってるけどっ、言動と場所があってねぇっ。


「ぷっ……くくっ……」


「後ろからお父さんの、笑い声が聞こえるのっ」


「ちっ、違うぞミルン。笑ってないって」


「旦那様。場所を弁えて下さいますよう、何卒ご配慮の程、お願い申し上げます」


 メイドさんのその言葉で、スッ──と笑いが引っ込みました。冷めた声なのに、若干の苛つきを感じるのは、間違いじゃないだろう。


「こちらが、昼食会室になります」


 そう言ってメイドさんは、コンコンッと扉をノックして直ぐ、「陛下、お二方をお連れ致しました」と、そのまま扉を開け放った。

 普通、中から誰かが開けるか、返答されてから開けるよね? 中には女王が居るのに、その作法で良いのだろうか。



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