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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女の居る世界

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27話 嵐が過ぎての残りの約束.2


 2026/06/28 改稿



 という事で──やって来ました貴族街。

 アルテラ教の奴らに見付からないよう、裏道細道曲がり道で、やっと到着しましたよと。勿論ミルンを、肩車しながらね。


「通行証のない者は、ここを通さぬ」


 はい、兵士さんに、槍を向けられてます。

 そりゃそうだよ。だってこの兵士さん、俺達がこの直ぐ隣りの、教会に来た時にも、ここの門を守ってたもん。


「そこを何とか、お願い出来ないかな? このミルンが来たよと、女王に伝えてくれるだけでも、良いからさ?」


「ミルンが来たのっ!」


「陛下に直訴などっ、出来る訳がなかろう!」


 至極真っ当な答えが返って来た。

 そりゃあ、ただの門番さんが、『陛下っ! ミルンと名乗るケモ耳が、貴族街正門まで来ておりますっ!』なーんて事、言える訳がない。


「でもさ、このミルンを追い返したなんて、女王に知れたら……降格されちゃうぞ?」


「お給金下がっちゃうよ?」


「そんな訳がないであろうっ!」


「いや、結構本気で言ってるんだけど……」


 ミルンは女王の姪っ子だし、少ししか会った事ないけど、ミルン好き好きオーラが出ていたから、本気で降格されちゃうぞ。


「帰っちゃうぞ? 本当に良いのか? 間違いなく後悔する事になるけど……良いんだな?」


「お仕事クビになるよ? 良いの?」


「きっ、貴様らは何なのだっ! 私を煽っているのかっ! さっさとここから立ち去れっ!」


 どうやら女王には、会えないらしい。


「仕方ないか。折角来てやったのに」


「お城の中、見たかったのっ」


「それで御座いましたら、このドゥシャめが、ご案内致しましょう」


 急な背後からの声に、俺の心臓が──飛び出るかと思った。そしてミルンまでもが、驚きの余りその腕力で──俺の頭を締め付けた。


「あだだだだだっ!? ミルンっ、その馬鹿力止めっ、頭が割れるからああああああっ!」


「あっ──お父さん揺れないでっ!」


「あの……このドゥシャめが……」


 背後を振り向きたいのに、ミルンの細腕ミニマッチョの力が、俺の頭をガチロックです。そりゃもう悶えますとも。


 ピポッ──体感時間五分経過。


「あぁ……死ぬかと思った」


「揺れたら危ないのっ」


「悪かったよミルン。それじゃあ帰ろうか」


 こめかみを揉みつつ、ゆっくりとその場を離れようとしたら、「ぬあっ」とミルンの可愛い声が聞こえて直ぐに、肩からの重みが消えた。


「えっ、ミルン?」


 急いで振り返ると──見た事もない、一言で表すならば、ザッメイドさんが、ミルンを抱き抱えながら立っていた。


「あなたはだあれ?」


「ミルン御嬢様付きメイドの、ドゥシャに御座います。お城のご案内は、お任せ下さいませ」


「えっと……誰?」


「ミルン御嬢様付きメイドの、ドゥシャに御座います。と、申し上げたばかりですが」


 急な事過ぎて、思考が追い付かない。

 黒髪おかっぱ巨乳メイドが、どうやってかミルンを奪い、しれっと自己紹介してくるんだけど、ミルン付きって何よ?


「……説明を求めるっ」


「それで御座いましたら、城でお話を致しましょう。馬車をご用意しておりますので、どうぞこちらへ、旦那様」


「んっ? ……だん、何て?」


 俺の質問に答えないまま、ミルンを放さないメイドさんが、そのままクルッとターンをして──兵士さんに止められました。

 何かのコントを、しているのだろうか。


「通行証のご提示をっ」


「愚かな……私のコレが、見えませんか?」


「なっ、しっ、失礼致しましたっ! どどどどうぞっ、お通り下さいませ!!」


 コントにはならなかったよ。何を見せたのかは分からないが、コントではなく、この◯◯が目に入らぬかぁ的な、モノだったようだ。


「……うげぇ、本当に馬車があるじゃん」


「趣味の悪い馬車っ」


「申し訳御座いません。貴族から徴収した物に御座いますので、見た目が悪う御座います」


 俺がうげぇと言う程の、成金馬車なんです。マッスルホースの馬具までも、黄金色で統一されてて、本音を言えば乗りたくない。


「さあどうぞ、旦那様」


「中も趣味が悪いのっ」


 華奢な見た目とは裏腹に、ミルンを片手で抱いたまま、しれっと扉を開けるメイドさん。

 何でミルンは、嫌がらないのだろうか。

 そうして、成金馬車に揺られながら、俺は無言で窓の外を眺めつつ、頭の中を整理しようとしてたのに、あっという間に城へ到着。

 流石、マッスルホースは足が速い。いくつかの門を潜り、羽根橋越えて、こうしてお城に着くのに、数分程度しか経っていないだろう。


「間近で見ると、やっぱりデカいなぁ……城壁より高いから、二、三十メートル以上とか、どうやって建てたんだよ」


 大聖堂とそんな変わらない高さだが、横幅というか、敷地面積が全然違う。広過ぎて現実味がないぞこれは。


「それでは改めまして。ジアストール城へ、ようこそお越し下さいました、ミルン御嬢様、旦那様。ミルン御嬢様付きメイドの、このドゥシャめが、お二方をご案内させて頂きます」


 そう言い終わるやいなや、ゴゴゴッ──と城の大扉が音を立てて開き、「まさかっ、大勢のメイドさんでお出迎えなのかっ」と期待に胸を躍らせて──誰も居なかった。

 

「……」


「お父さん、元気出して!」


「……うん」


 ミルンもメイドさんに、取られたままだし、大勢でのお出迎えもないのに、なんでわざわざ、こんな大扉から入るのか。

 離れた位置に、普通の扉があるのにさ。


「参りましょう、ミルン御嬢様」


「お城っ、探検するのっ」


 お願いだから、ミルン返して? ミルンが肩に乗っていないと、不安に駆られるんだよ。


 ピンポンパンポーン(上がり調)


 レベルが1上がりました(犬耳中毒オワタ)


 ピンポンパンポーン(下がり調)


「っ……」


 こんの糞リシュエルっ! 犬耳を毒扱いするんじゃねえよゴラァっ! 数日ぶりのアナウンスがこれって、本気でムカつくわぁ……。


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