17話 ジアストール城内の探検.5
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お城の中のレストランで、大宴会を始めて、一時間ぐらい経っただろうか。
「ゔぁーっ、もう食えないっ」
「ホンマやなぁ、ウチも腹いっぱいや」
「食べ過ぎですよぉ、リティナ様。太ってもぉ、知りませんからねぇ」
リティナとニアノールさんは、ナイフの先とフォークの先を重ねて、食べ終わる様だ。
食い方は汚かったけど、まさかリティナが、ちゃんとカトラリーを使えるなんてな。
目の錯覚かと思ったわ。
問題は、この二人か……凄いな。
「モゴっ、まだモゴモゴっ、たべれるの!」
「うむっ。ミルン君には、負けられぬな!」
筋肉村長と、犬耳ミルンの、大食い大会開催中。
村長は体格が良いから、沢山食べるのも分かるんだけど、ミルンの胃は可笑しいだろ。
ブラックホールでも、入ってるの?
お腹はまん丸だけど、普通ならその、何倍もの膨らみになる筈だよね?
「リティナ様は、もう食べぬのであるか? もっと食べねば、良い筋肉が付かぬぞ」
「アンタみたいな、筋肉になってたまるか。ヘラクレスもミルンも、胃袋可笑しいでっ」
「まだたべれるの!」
ミルンの、まだまだ宣言入りましたーっ!
「アンタら見てると、胃もたれしそうやな」
「リティナ様っ、お口のまわりを拭きますからぁ、動かないで下さぁい」
相変わらずニアノールさんは、甲斐甲斐しくリティナを世話してるけど、本当に口のまわりが、食べカスだらけだ。
さっきのカトラリーの感動を、返してくれ。
「このモモ肉は、美味しいのであるっ。矢張り城の料理は、素晴らしいのであるぞ」
ナイフ片手にマッスルポーズっ!
村長、酔ってないか?
モモ肉を肴に、日本酒をラッパ飲みの筋肉。
「村長……酒はちびちび呑むモノだぞ?」
「仕方無かろう。この酒、ニホンシュと言ったであるな。これ程の酒を飲むのは、初めてなのであるっ」
「俺も、もう少しだけ飲むか……」
グラスにちょびっとだけな。
待てよ……空間収納でこっそり持ち出せば、少しの間、晩酌出来るんじゃね?
駄目だっ、酒が不味くなる。
後で大将にお願いして、分けて貰うか。
「大変美味に御座いました」
「ドゥシャさんは、もう良いのか?」
「はい。これ以上食べますと、メイドの仕事に戻れませんので。ミルン御嬢様、お口を失礼致します」
綺麗な動作で、食事をしていたドゥシャさんだけど、何人前食べたのこの人。
お腹膨らんで無いのは、何で?
食べ終わって直ぐに、ミルンの世話をしてるし、超人の類いだろうか。
「うっ、むぅっ、限界であるなっ、ゲフっ」
「村長、食い過ぎだっての。ミルン、動けなくなったら、お城の探検が出来なくなるぞーい」
「モゴっ!? モゴ……ごちそうさまでした!」
「お腹いっぱいになったか?」
「はちぶんめなのっ。たんけんにいく!」
「二十皿が、八分目……んじゃっ、大将に一声かけて、探検の続きだな」
貞操帯さんから預かった書類も、農作物担当者に、渡さにゃならんしね。
「皆んなはどうすんの?」
「ウチは書庫やな。調べもんあんねん」
「リティナ様のぉ、護衛ですぅ」
「私は、練兵場であるな」
各々、行きたい場所がある様だな。
それじゃあ、行くとしますか。
「お──いっ、大将さんや──い」
ドドドドドって、凄い走る音が聞こえる。
歩いて来れば良いのに。
「おぅ! なんでぃ!」
「俺達もう行くから、挨拶に呼んだんだ」
「んなもんいらねぇよ。で、どうだった。俺っちの料理の味はよぅ」
「最高に美味かった! それしか言えんぞ」
「おいしかったの!」
ミルンもこの通り。
尻尾をブンブンさせまくってるから、本当に美味しかったって言う、証拠だな。
「かぁぁぁっ、その一言がっ、料理人冥利に尽きるってぇもんよ! お前さん達ならっ、いつでも大歓迎だ! また来なっ!」
「また来るよ。んで、ちょっと相談と言うか、この酒……持って行って良い?」
「開けた酒だから、持って行きな!」
流は日本酒を手に入れた。
コレで、寝る前の晩酌を楽しめるぜ!!
城内探検の再開です。
リティナとニアノールさんは、書庫に向かい、村長は練兵場だったか。
「……脚がっ、震えるっ」
はい、ミルンを肩車しています。
衣装室で御着替えして、天使のミルンに戻ったのは良いんだけど、重量がヤバい。
「おとうさんの、うごきがおそいの。なんで?」
「何でだろうなぁっ」
如何に重たかろうとも、口に出して言ってしまえば、ミルンが不機嫌になっちゃう。
それだけは、避けなければならない。
「んで、メイドさんは、何で付いて来るんだ? 仕事に戻らないのか?」
「私目は、ミルン御嬢様のお世話係に御座いますので。どこまでも、お供致します」
「どこまでもって……何か怖い」
ミルン御嬢様の、お世話係ねぇ。
「て事は、偶然会った訳じゃ無くて、元々ルシィの私室に、来る予定だったのか?」
「左様に御座います。陛下より、『お主暇じゃろ? 監視がてら、ミルンのお世話をして来るのじゃ』と、任を与えられました」
「監視がてらの、お世話係って何?」
誰を監視するのかって?
はいはーい、俺に決まっていますよね。
んで、ミルンにはお世話をすると。
「ルシィの奴……また泣かしてやるっ」
「おとうさん。おんなのこなかしちゃっ、め!」
「ミルン、ルシィは女の子じゃ無いぞ。この国の王様だから、なーんにも、問題無しだ」
「きちくなのっ」
そう言う言葉を、何処で覚えたの?
汚い言葉は、出来れば覚えないで欲しい。
「なぁドゥシャさん。付いて来るなら、城の中を案内してくれよ。探検って言っても、目的も無く、ただ散歩してるだけだしさ」
「それは、宜しいのでしょうか」
「付いて来るんだろ? ミルンも良いよな?」
「きょかしますっ!」
ミルンの許可申請、通りました!
「ミルンも良いってさ」
「畏まりました。僭越ながら、このドゥシャめが、ご案内役を務めさせて頂きます」
「宜しく頼……何するよ……」
案内役オーケーっと言って直ぐ、ドゥシャさんが動き出し、俺の肩の上に手を伸ばしたと思ったら、ミルンが取られた。
「えっ、ドゥシャさん。ミルン返して……」
「では、ミルン御嬢様。参りましょう」
「なんでおろしたの?」
「私目が、お運び致します」
俺の言葉を全無視メイドです。
重量過多状態のミルンを、抱っこしてるのに、やたらと歩くのが速い。
そのまま連れ去ったりしないよね?
「……また俺置いてけぼりっ!? ちょっ、ドゥシャさん待ってくれ!」
ミルンも嫌がって無いし、何あのメイド。
何とか追い付き、横並びに歩く。
「そうだっ、この書類。農作物の担当者に渡してくれって、貞操帯さんに言われているんだけど、担当者の居場所って分かるか?」
「はい、存じております」
流石メイドさん、場所知ってるのか。
「こちらへどうぞ」
「助かるわ。にしても、城の中って案外、殺風景なんだな。豪華なのって、ルシィの部屋だけなのか?」
右左と歩いているけど、不思議なんだ。
王城の通路とかって、壺なんかの、調度品が飾られてるイメージなのに、一つも無い。
「陛下は、無駄な物を好みませんので」
「へぇーっ、無駄な物ねぇ」
「左様に御座います」
見た目に反して、ルシィは節約家なのか。
それとも、別の趣味があるのかね。
「旦那様、あちらに御座います」
「んっ? あそこに担当者が居るのか……見た事有る様な、光景だなぁ」
文官っぽい男達が、規則正しく列に並んで、自分の番を待つ姿って、どこで見たんだっけ。
あぁ、冒険者ギルドっぽいんだ。
「並べって事か……面倒臭いっ」




