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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界

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17話 ジアストール城内の探検.3


 2/7 加筆修正致しました。



 メイドのドゥシャさんに、なんとか追い付いて、おめかし部屋へと御入室。

 絶対俺を、置いて行こうとしたよね。


「すげぇ衣装ばっかりあんのなぁ……」


「まっかなおようふくが、いっぱいっ」


「陛下の衣装部屋に御座います」


「ルシィの衣装か、どうりで派手な訳だわ」


 真っ赤なドレスに紫ドレス。

 白のドレスにも、赤色の糸で刺繍されて……これは、血の痕だろうか。


「……刺繍だな。びっくりするわぁ。ミルンのサイズは無さそうだけど?」


「仕立て直しますので、御安心下さいませ」


「いやいやっ、時間足りないって」


 ミルンのお腹の音が、"ゴキュキュルルルルルル"と、大音量だからね。


「おなかすいたっ」


 ほら、仕立て直している間に、ミルンが暴走して、厨房に攻め行っちゃうぞ。


「っとそうだ。『空間収納』に確か……ドゥシャさん、このドレスなら大丈夫か?」


 お婆ちゃんの洋服店で買った、ふわふわお姫様風の、可愛いドレスです。


「その御召し物は……"ルボルワード"の品に御座いますね。良いドレスをお持ちの様で」


「ルボ? ミルンの服を見に行ったら、何着か勧められてな。気に入ったから、買ったんだ」


「一流の品に御座います。それならば、問題無いかと存じます」


 一流の品って、あのお婆ちゃん何者?

 ルボルワードは、お婆ちゃんの名前か?


「それでは旦那様。大変申し訳御座いませんが、御部屋の外で、お待ち下さいませ」


「ですよねーっ」


「どれすきるの!」


 衣装室から追い出され流さんです。

 何だろう。あのドゥシャと言うメイドさん。俺に少し、当たりが強く無いだろうか。

 喜んじゃうぞ。

 変な扉を開けて、喜んじゃうぞ。


 そわそわしながら、待つ事五分。

 部屋の中から『旦那様、お入りになられても、宜しゅう御座います』と、ドゥシャさんに言われたので、再度入室。

 見事なまでの、お姫様がそこに居た。


「ふわふわどれすーっ」

 

「お似合いに御座いますよ、ミルン御嬢様」


「……マジでお姫様じゃん」


 ドレスを着て髪を整え、ちょっとしたアクセサリーを付けるだけで、ミルンお姫様の爆誕なんて、可愛い過ぎるっ。


「世が世なら、この国のお姫様か……」


「おとうさんっ、ミルンきれい?」


「そりゃぁ、綺麗に決まっているぞ」

 

 ミルンはアレだ、地上に現れし女神。

 もし今後、ミルンが大きくなって、彼氏連れて来たら、そいつの玉を狩るからね。


「彼氏なんてっ、許っ! さっ! ない!!」


「かれし?」


「旦那様……ミルン御嬢様の前で、下世話な話はお止め下さいますよう」


「んぐっ、すみません」

 

 彼氏云々は、下世話な話なのか。

 

「んじゃ、俺も着替えて……あのぉドゥシャさん。俺の正装は無いんですか? 見ての通り、普通の服なんですけど」


「旦那様は、宜しいかと存じます」


「いや、ミルンが正装したら、俺も……」


「旦那様は、宜しいかと存じます」


「俺もいっしょにせ────」


「それで御座いましたら、コチラをお召しになって下さいませ」


 言葉尻を潰しに来やがった。

 なんでそんな、嫌々貸しますって顔しながら、渡して来るの?

 生地は滑らかで、スーツっぽいな。

 離れた位置でズボンを履き替え、シャツを着て、蝶ネクタイをしっかりと。

 あとはベストを着たら、準備完了!


「って、コレ執事服じゃねぇか!?」


「お似合いかと存じます……フッ」


「ドゥシャさん今笑ったよね!?」


 旦那様呼びに、意味を感じない。

 確かにさっきの服装よりかは、良くなったけど、このメイドさん……俺で遊んでるだろ。


「おとうさんかっこいい!」


 くっ、ミルンにそんな事言われたら、違う服を選べないじゃんっ。


「ミルン御嬢様の、仰られる通りに御座います」


「メイドさーん。口元笑ってるぞーい」


 ミルンもドレスを着て御満悦だし、借りる立場だから、もうコレで良いわ。

 

「そんじゃ、食堂に案内よろ」


「ごはんっ! んーっ、お父さん……何でミルンを乗せてくれない?」


 ミルンが俺に、よじ登ろうとして来たから、肩を押さえて全力防御です。

 甘えた声じゃ無いのが……恐怖を感じる。


「そのドレスが、シワシワになっちゃうだろ。食堂には、手を繋いで行こう」


「嫌っ! んーっ! 抱っこ!」


 両手を上げて、抱っこをせがむミルンだなんて、可愛い過ぎてっ、鼻血が出そうだっ!!


「……仕方無いなぁ。よっとっ」


「むふふ。おひめさまなの!」


 そりゃあね、お姫様抱っこですから。

 

「では、こちらへどうぞ」


 ミルンを抱っこしながら、ドゥシャさんの後ろに付いて行くけど、すれ違うメイド達から、チラチラと視線を感じます。

 その視線は、勿論ミルンにダイレクト。

 俺の娘、可愛いだろ?


「お城の料理、楽しみだな」


「いっぱいたべるっ」


「……お腹まん丸には、ならないでね?」


          


 ドゥシャさんに、案内された食堂。

 食堂?

 食堂ってアレよ? 皆んなでワイワイ話をしながら、美味しくご飯を食べる場所よ?


「……これ、高級レストランじゃね?」


「れすとらん? それなあに?」


 対面して座っている、ミルンの襟元には、ナプキンが付けられており、目の前には、銀製のカトラリーが並べられている。

 城内レストランって、何なのこの場所。


「この場所は、陛下に許された方のみがご利用頂ける、御食事処に御座います」


「御食事処? 洋風なのに……カトラリーの使い方なんて、ミルンは知らないぞ?」


「御安心下さいませ。作法を気にせず、食べて頂いても問題ないとの事。陛下よりの御言葉を、承っております」


 ルシィの奴、少しずつミルンに擦り寄って、一緒に暮らす気じゃあるまいな。

 

「作法気にせんで良いのは、楽だけどな。良しミルン! たらふく食おうぜ!」


「ごはんーっ! おにぐぅっ!」


 ミルンの手には、凶器ですか?

 キィンッキィンッと音を鳴らして、今からでも魔物退治に行けるよね。


「うん。作法は良いとしても、ナイフとフォークは振り回しちゃ駄目だぞ」


「びーふおあふぃっしゅ! びーふおあふぃっしゅ! おなかいっぱいたべるの!」


 ミルンさんや、何でその言葉しってんの。

 そんなにナイフを振り回すと、配膳係の人に刺さっちゃって、危ないだろ。


「ミルンっ、お野菜だけにするぞ」


「っ!? ふりまわさないっ」


 手をを下げても、尻尾がぶんぶんしてるから、埃が凄い舞ってるなぁ。


 コンコンッ────『失礼致します』


 ゆっくりとした動きで、誰か入って来た。

 誰だこの人……配膳係?


「当店に起こし頂きまして、誠にありがとう御座います。私、給仕係を担当しております、ムラトと申します。先ずは、こちらをどうぞ」


「あぁ、食前酒か……」


「おさけ?」


「みたいだな。酒より料理の気分なのに」

 

 ワインだろうなと思いながら、グラスにそそがれたソレを見ると、本気で驚いた。

 透き通る程透明な、液体。

 ワインでは無い。

 震える手を、なんとか抑え込み、グラスを手に取り、ゆっくりと回して香りを楽しむ。


「おとうさん? どうしたの?」


 酒精は強く、されど爽やか。

 奥からは、ほんのり甘い香りが感じられる。

 懐かしいと感じた。

 ゆっくりと口へと運び、喉を通す。

 ガツンと、強い衝撃。

 だが、後から来るスッとした甘い香りが、それを和らげ、心地良い余韻に浸れる。


「おとうさんが、ないてるの!?」 


 ミルンが言うまで、気が付かなかった。

 俺は、目元を触ると、涙が出ていた。


「なあ、ムラトさん」


 俺は聞きたい。

 この酒は何なのかを、聞かねばならない。


「はい、なんで御座いましょう」


 俺の思っている物と一緒なのか。


「この酒、米が原材料だろ。んで名前は、日本酒って言わないか?」


「っ……」


 ムラトさんは眼を見開き、俺を凝視した。

 そして少し考えている様な、値踏みしているような、嫌な目線だな。


「お客様は、こちらのお酒をご存知で?」


 逆に聞いて来やがったぞ。


「ああ、知っている。故郷の酒だ」


 ここは、正直に答える。

 ドゥシャさんが居るけど、ここで下手に嘘を吐けば、後が不味い気がするからな。


「お答え致します。仰られました通り、"ニホンシュ"と言う、お酒に御座います」


 何故知っているって、顔してるな。

 だから故郷の酒だよ。

 仕事終わりの一献。

 一人寂しく呑んでいたお酒。

 両親が亡くなってからも、大変お世話になった、有難いお酒様だよ。


「誰が作ったんだ、この日本酒」

 

「申し訳御座いませんが、お答え致しかねます」


「製法を知りたい訳じゃ、無いんだがな」


「口では何とでも、申せますので」


 産業スパイと、疑われてないか。

 何故だろう、睨み合う事数分です。

 ミルンのお腹から、"グゴゴゴゴゴゴギュルルルルルル"と、魔物の声の如き音が聞こえたと思ったら、個室の扉がスパァンッと開いた。



「何してやがるムラトっ! オメェが料理を運ぶんだろぉがっ! 冷めちまうだろっ!!」



 包丁片手に握り締め、おっさんの登場。

 えっ、カチコミですか?

 そんな事を思ったが、そのおっさんの容姿を見て、日本酒以上に、衝撃を受けた。


 妙に鼻が低く、太くて濃い眉毛。

 角ばった顔付きに、深い皺が彫り込まれ、頭にはハチマキを巻く、昭和臭漂う姿。


「えっ……日本人!?」


「あぁん? 誰だおめぇさん?」



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