15話 ジアストール城内の探検.2
「おとうさん…おなかすいたぁ」
さっきの貞操帯さんの脚をみてから言うセリフじゃ無いですよミルンさんや。
「でも確かに、朝ご飯食べてないからなぁ」
それじゃあ探検ついでに食堂探して何か食べさせて貰おう! お城のご飯なんて地球でも食べた事無いし、絶対美味しいだろ!
「ミルン! 可愛いお鼻の出番だぞー食べ物の匂いを嗅ぎ分けるんだ!」
ご飯っ! お鼻をスンスン…あっち! と指さす方へ足を進めると前方から誰か来る。
その姿は頭に白のフリル付きカチューシャ、襟と袖が白く、足元近くまである黒のワンピースの上に白地のエプロンドレスを着た女性。
ニアノールさんに続き二人目のメイド。
ミルン! メイドさんだ! メイドさんが居たぞ! 行けー俺のミルン!
「めいどさーん!」
ミルンが俺の肩から降りてメイドさん向かって凄い勢いで走って行く。
あっ…メイドさんが衝突粉砕の勢いだ。
「廊下を走ってはいけませんよー御嬢様? はい、大丈夫でございますねぇ。何か御用でしょうか?」
あれ? 何が起きた? ミルンの全力ダッシュでメイドさん衝突粉砕コースだったのに今、確か…。
衝突の瞬間ミルンの脇を持って一回転してその勢いを殺してミルンを抱っこして話てる…えっ…ただのメイドさんだよね?
「すみませんミルンがはしゃいじゃって」
とりあえず謝っておこう。
ミルン駄目だろ走ったら。
「おとうさんにいけーっいわれたの!」
あれ? そうだっけ? ハイッ御免なさいメイドさん眼が恐いです見つめないで!?
「立派な淑女たる者、走ってはいけませんよ? 例えお父様に言われたとしてもです」
メイドさんがミルンを抱っこしたまま諭してる…目線は俺にだけど…御免なさい。
「それで、ミルン御嬢様は何か御用があったのではないのですか?」
そうだ、厨房か、もしくは食堂って無いかな? 俺もミルンも朝ご飯食べてなくて。
「おなかすいたの!」
「左様でございましたか。それでは僭越ながら、私がご案内させて頂きます旦那様」
だっ旦那様だと!? 何コレめっちゃ恥ずかしい気持ちと嬉しい気持ちのマリアージュ!
「おとうさんおかおへん…」
ごめんよミルン。
お父さん地球にあるメイドカフェに行った事が無くて、異世界に来て初めての旦那様呼びだから顔がヤバいの。
「申し遅れました。私、パーラーメイドのドゥシャと申します。どうぞ、宜しくお願い致します…」
流れる様な動きでカーテシーをするけどなぜ俺に。
艶やかな黒髪に凛とした眼差し、身長は俺より十センチ程低く、成人女性特有の落ち着きを持ち、なによりミルンを抱っこしながらでも分かるお胸様…見てませんよ…。
「それでは此方へ、食堂へご案内する前に御嬢様の身なりを整えましょう」
食堂って…着替える必要無くね? ドゥシャさん。
はいっ必要ですね! じゃあミルン返して…。
ミルンは抱っこしたままなのね。