15話 ジアストール城内の探検.1
「なんや、流にーちゃん。もの凄っごい笑み浮かべて何作ってんの?」
俺の目が覚めたと聞いてリティナが部屋に入ってきたが、俺は処刑器具作成の真っ最中ですよ本気で作ってます。
空間収納から資材、大きめの木の板と釘、縄を切り出し、切って組み合わせるだけのお手軽設計。
「面白荷車、バージョン一号を作ってる」
なんやそれ何に使うん? と俺の作業を見守るが、この聖女、暇なんだろうか…。
「何に使うかはお楽しみだな。どうせ直ぐに使い道が分かると思うぞ」
そう伝えると、じゃあ使う時に呼んでーな! と言われたのでちゃんと呼ぼう。
面白いからな。
そう言ってニアのお茶飲みにいかな! と出て行ったな何しに来たんだ?
「これでー台完成っと」
ミルンが暇そうに俺の頭を楽器代わりにし始めたぞこれはいかん。
「ミルン。一度休憩にしてお城の中探検するか!」
「たんけんする!」
尻尾が振り振りとしたのでついでにモフモフ。
良し、金目の物が無いかついでに漁るか…。
【15話 ジアストール城内の探検】
部屋からでて見ると結構通路が広いな。
横幅三メートルってところかな。
ここが女王ルシィの寝室ってことはー直ぐ近くにメイドさんの控え室がある筈! ミルン! 先ずは手前の部屋からだ!
「ここは何のお部屋かなーっと」
なんか装飾品みたいなドアノブ回して失礼しまーす。
「しつれいしまーす」
ミルンが俺の真似してるっ可愛い! 良い!
「ここは…執務室か?」
書類の山と言うか森というか、もう積みに積まれた紙? が執務机を埋め尽くさんとしており、そこに一人ポツンと作業している女性。
「おめめしんでる!」
「持って来たのですか。そこへ置いといて下さい。まったく…陛下はいつになったら戻ってくるのか。というかどうして私がこんな仕事をしなくちゃならないのよ!!」
ミルンが言った通り、死んだ魚の眼をしながら書類と睨めっこして、悪態をついているよ…。
「あれ、まだ居たの。早く次の書……」
ようやくこっち見たな。
うん? どっかで見た事あるような…ないような。
「へっ変態!? どうして城に居るのよ!? 衛兵! 衛兵! 変態がここにいるわ!」
ちょーーっと落ち着こうかお姉さん! 初対面で変態呼びってなんなの? 衛兵来たらそいつらミルンに股間撲滅パンチで乙女になってもらうぞ!?
「俺は女王陛下に連れられてすぐそこの部屋で起きたばかりなんだよ! 疑うならミルン! ルシィか影さん(二号)を探して呼んで来てくれ!」
…ミルンは俺の肩から動かない…?
「いや! おとうさんといるぅ…」
くそっ探検行くぞと言った矢先にコレだから離れてくれない!? 仕方ない…。
俺は手をワキワキさせながらお姉さんに近づいて行き、お姉さんは書類の山を崩しながら後ずさる。
「ちょっと!? 近づかないで変態!」
「だから何で俺が変態なんだよ!」
そう言いながら更に近づく。
ミルンも面白いのか俺の様に可愛い手をワキワキさせてお姉さんを見ている。
「おててわきわき」
あぁ癒される。
「なんなのよ!? 貴方も! その子も!」
そう言って後ろに下がるが…後が無いよぉ。
さぁ何で俺が変態なのか教えて貰おうかぁ。
「私のっ覗いたこと忘れたとは言わせないわよ!」
はて? 覗くって何をだ。
俺覗きの趣味は無いしミルン、知ってるか?
「おててわきわき」
知らない様だ…可愛いなぁ。
「貴方っまさか忘れてるの…?」
忘れてるも何もやってないし知らないぞ? 俺みたいなジェントルマンがそんな覗きだなんてする訳無いだろ。
「せっ正門の詰所で覗いたじゃない!!」
正門の詰所? いや、俺が全裸にされた記憶しか無いんだが。
「本当に忘れてるの!?」
お姉さんが地団駄踏んでるよ…? 何か腰辺りをいじってる?
「これでどうよ!!」
なに!? 急に脱いで見せつけて痴女なのか!? ルシィに続いて痴女二号なのか!?
「ちゃんと見なさい! これで思い出すでしょ!」
だから何をっ…すげえ貞操帯…貞操帯。
貞操帯だな。
貞操帯…。
俺はまだ手をワキワキしているミルンをゆっくりと肩から降ろし、空間収納からある物をだして膝を付き、献上品を渡すが如く、手の平にそのある物をのせたままお姉さんへ差し出した。
「すんっませんでしたぁあああああああ!!」
「どうして貴方が持ってるのよぉおおお!?」
貞操帯の鍵。
そう言えば、まだ持ってたね。テヘっ!
※
本当にこの鍵がお姉さんの鍵なのか確認する為鍵を差し込もうとしたら腕を捻られ倒れ込み、鍵を奪われた!? 本当にお姉さんの鍵ですか!? あっ家紋が入って…そうですかはいっお返ししますご馳走様でした!
「何がご馳走様なの!?」
見てみろミルン。
あれが筋肉が付きつつも引き締まった健康な謂わゆる美脚と言う物だ。
ミルンもあの脚を目指して健康的な美脚になるんだぞ。
「おにくおいしそう!」
涎でてるよミルンさん…でも違うぞ。
ミルン、あの脚は食べ物じゃありません。
あの脚は観賞用です。
「みるだけのおにく、いらないっ」
ミルンが尻尾を下げたまま俺の肩の上に戻ってきたよ残念だけど見るだけなんだ。
「ちょっと何の話よ!」
貴女の御御足の話ですと言ったら一瞬でズボン履いてベルト締めたな残念。
「それで、何で変態がここに居るの? ここは貴方の様な変態が入れる場所じゃないのに」
おっ、ちょっと冷静になったかな。
「いやそれこっちのセリフだから。なんで門兵のお姉さんがここに居るのさ? 門兵クビになったの?」
違うわよって怒っちゃった。
女王に、男だらけの場所で女性一人だけでは危ないからと城へ拉致されて、業務と称して書類作業を延々とさせられていると。
程の良い雑用係だな! まあ頑張れ! 俺とミルンはお城の探検再開だー。
「ちょっと待ちなさい!」
何だ引き留めて、俺に惚れたのか? ミルンの可愛さに当てられたのか?
「どっちもちがう! 探検するなら、この書類を農作物担当者へ届けて欲しいのよ。私は他の書類で手一杯だから」
貴方女王様と親しいのなら大丈夫でしょ? と言ってきたから嫌ですと言うと…。
「鍵の件、お父様に報告して貴方を死刑にー」
物騒な事言うな分かった持って行くよ!
「ミルンと探検のついでにな!」
これに関しては…言い返せないなぁ。