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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
七章 異世界とは魔人達の居る世界

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18話 修復試乗古代の遺物.4


 神云々とT-OGが口にした途端、建物内の照明が赤く色を変え、四階へ下りる為の階段の出入口が、閉じられてしまった。

 

「疑問。隠蔽は完璧な筈……階層移動開始」


「ぬわっ、また揺れるにゃーよ!」


「これは、この階自体が動いている?」


 若干の浮遊感を感じるので、恐らくは下へと移動しているのでしょうが、階層ごと動かすだなんて、馬鹿げていますわね。


「緊急。凛宮司、猶予が御座いません。マスタールームにて、コアの修復をお願いします」


「何をそんなに、焦っているのですか?」


「不満。今現在の稼働率では、侵入者に対抗出来ません。コアさえ修復出来れば、当施設の機能全てが使用可」


 黒の水晶で顔が覆われているので、表情は見えませんが、本当に緊急の様ですわね。ここは恩を売るべきかしら。


「コアとやらは、どこにあるのですか?」


「確認。侵入者第一防壁突破。もう間も無く、地下五階に到着致します」


「上ではなく下でしたのね」


 上にばかり気を取られて、地下の存在を考えておりませんでしたわ。ここが商業施設であるならば、思い至るべきでしたわね。


「床が動いてるのにゃ? 不思議にゃーよ」


「グルゥ、グワゥ」


「この気配……なぜ彼奴がここに? ファンガーデンに居る筈なのぢゃがのぅ」

 

 もちは床をペチペチ叩き、虎もそれを真似しているのか、床をバチバチ叩いている。そしてまた、黒姫の意味深発言。何を知っているのかを聞こうとするが、ガゴォォォン──と振動が止まり、地下へと到着してしまった。


「ハッチ解放。凛宮司、こちらです」


 閉じていた階段の出入口が開き、浮いたまま移動するT-OGの後に、私、もち、黒姫、虎と付いて行く。


「にゃっ、にゃっ、変なロープがいっぱいにゃ」


「ケーブルですわね……随分と、機械的な雰囲気になって来ましたわ。SFかしら」


「なんぢゃそれは? えすえふ?」


 サイエンスフィクションと言っても、分かる訳がないですし、説明が面倒ですわね。


「驚愕。侵入者第二防壁突破。映像確認……全身桃色の装備に身を包んだ、信仰神と断定」


「ほぅ、矢張りこの気配は、アルテラの奴ぢゃったか。よもや地上で、神の力を行使するとはのぅ……天変地異でも起こす気かや」


「名称確認。アーカイブ検索……アルテラ神。上位寄りの中級神であり、大戦時の戦闘記録なし。外部兵装一番から五番起動」


 この施設のどこかで、侵入者とやらの対処をしている様ですが、ここからですと何が起きているのかが、分かりませんわね。


「黒姫さんは、侵入者をご存知で?」


「うむ。感じるこの気配と、桃色の装備を付けておるのならば、間違いあるまいて。ファンガーデンに居着いておるアルテラぢゃな」


「アルテラ? その方は神なのですか?」


「そうぢゃの。神の一柱ではあるが……アルテラの奴め、何をしに来よったのぢゃ」


 砂漠に来てからというもの、飽きませんわね。不思議施設に虎ときて、今度は神様ですか。それなら次は悪魔かしらね。


「凛宮司、あちらがコアの"格納庫"となります」


「格納庫?」


「にゃっ、にゃっ、階段が終わるのにゃ」


 階段を下りた先にあったのは、旅客機などを格納出来そうな程の、倉庫のような場所。その広い空間の中央に、奇妙な物が置かれている。


「のぢゃ? 迅号に似とるのぅ」


「否。迅号の様な旧型では御座いません。長い時を掛け、迅号をベースに作り上げた、移動するコア──迅号二式です」


「なんとっ、お主が作りおったのかや」


「是。外部兵装製作機の、面目躍如です」


 それは──某国のステルス機にも似た形をしており、四基のジェットエンジンの様な物が、両翼に付いている。

 全長十五メートル、横幅十メートル。

 漆黒の近代兵器。

 異世界的には、未来兵器でしょうか。

 ミニカーやミニバイクと同じく、床に接する事なく浮いており、無音の空間にひっそりと、それは佇んでいた。


「かっ、格好良いのにゃ!」


 もちがキラキラした目で、それを見ている。


「これがコアですか?」


「否。迅号二式起動、ハッチ解放」


 T-OGがそう言うと、後部がガパっと下に開き、小さな昇降口が現れた。


「了。中にコアが御座います」


「メイちゃっ! 突撃にゃーよ!」


「グルアゥッ!」


「もちっ、待ちなさ……にゃんこは俊敏ですわ」


 もちと虎が、迅号二式とやらの内部へと、そのまま走って入ってしまった。不用心と言いますか、自由過ぎますわね。


「緊急。侵入者第三防壁突破。凛宮司。急ぎコアの修復を、お願い致します」


「防壁とやらは、あと何個残っていますの?」


「答。第五防壁までです。侵入者はどうやってか、真っ直ぐこちらに進行中」


 真っ直ぐって、こんなにも広い施設ですのに、居場所がバレているのですね。何を目印に来ているのかしら。


「のぢゃぁ……アルテラの奴、まさか……」


「黒姫さん、どうかされましたか?」


「いや、何でもないのぢゃ」


 黒姫の目が泳いでいますわ。短い付き合いですけれど、何か隠し事をしている顔ですわね。怪しいですが……今は放置です。


「さっさとコアを修復して、地上に帰りましょう」

 

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