↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
七章 異世界とは魔人達の居る世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

716/718

18話 修復試乗古代の遺物.3


 虎の話は理解出来た。要は実験動物の被害者側であり、もう亡くなっているらしい管理者とやらは、碌でもない者という事ですね。


「それで、この施設は何なのかしら? ミリタリーフロアと銘打つ割には、日用品や洋服などのテナントもありましたけれど」


 名前の通り銃器類もありましたが、どうにもテナントの配置が、素人臭いのです。お客を呼び込むのなら、一階は食料品店でしょう。


「了。当時の商業施設の一画が、ここ、ミリタリーフロアになります。本来の大きさは、当施設の十倍になります」


「じゅっ十倍って、元は複合施設とかですか? なぜ砂漠の下にわざわざ……」


「不満。古の大戦の折に、砂に覆われました。当施設稼働率十パーセントにて、どうにか維持している状況です」


 また物騒な話ですわ。古の大戦だなんて、意味深過ぎて聞きたくないです。それに、このTーOGが求めている内容も、厄介そうですわ。


「私の持っているスキル、修復を使って、この施設を直せと仰るつもりかしら」


「否。以前凛宮司が直した、フロートカーの情報を精査。凛宮司のスキルでは、当施設全域を直す事は不可と判断」


「私にどうしろと?」


 やっぱり、あのミニカーの何処かに、隠しカメラが付いているのね。迂闊だったわ。


「答。凛宮司には、当施設のコアの修復をお願いします。燃料は、再稼働した統括機から横取りしておりますので、残るはコアのみです」


「統括機って、貴方達のリーダーかしら?」


「肯定。邪魔な干渉が消失した為、統括機の反応を検知。効率的に、燃料の充填が可能となりました。まさに行幸」


「行幸ねぇ……」


 これのリーダーとやらが、どこかで動いているだなんて、聞きたくなかったですわ。絶対に碌でもない者でしょう。


「コアを修復し終えた後に、私達が無事であるという保証はあるのかしら?」


「回答不可。保証というモノはなく、当機を信じて貰う他御座いません」


 信じるだなんて、難しい"要求"ですわね。口では簡単に言えますが、得体の知れない人ではない存在を、そう簡単には信じれません。


「なんぢゃお主ら、まだ話とるのかや」


「一回も勝てなかったのにゃ」


「グルゥゥゥ、ニャン」


 ミニカーのレースに満足したのか、虎に乗ったもちと黒姫が近付いて来ていた。


「お主、TーOGと言うたのぅ。ドール……T-OPとT-GAは、お主の姉妹機ぢゃろう」


「肯定。統括機及び、砲撃特化型量産機の名称になります。二機をご存じで?」


 黒姫がチラッと私を見てきた。


「どうせこの国に流が来おったら、遅かれ早かれバレるからのぅ。その二体は、ドールとドーツという名で、流の側に居よるわ」


「疑問。南にて、統括機の反応は御座いますが、砲撃特化型量産機の反応は無し」


「ドーツならば、この大陸に来てはおらぬ」


 頭が痛くなって来ましたわ。流という異世界人の話は、断片的に聞いてはおりましたが、まさか目の前のコレと似た様な存在を、二体も従えているだなんて。


「ぢゃからこそ、お主らの弱点は把握しておる」


 黒姫は、弱点をご存知でしたのね。TーOGがほんの一瞬、動揺した様に震えましたわ。


「この状況ですし……知っている事を全て、包み隠さず話しては頂けませんか?」


「ふむ、我の知る範囲で良ければのぅ。此奴らは古き時代、当時の転移者によって作られた、物騒な兵器らしいのぢゃ」


「それは、見れば分かりますわ」


 銃の様な物を腕に取り付けておりますし、物騒な物が四階にありますもの。それにTーOGご自身で、外部兵装製作機と仰られておりましたし、兵器以外の何者でもないでしょう。


「基本的に、管理者の指示が優先らしいのぅ。魔力を燃料として消費し、それが尽きると動けなくなる、欠陥持ちぢゃな」


「不服。当機は欠陥機では御座いません」


「いや、どう考えても欠陥ぢゃろうて」


「答。当機及び当施設は、周囲の魔物から魔石を抽出し、少ないながらも魔力の充填を可能としております。欠陥機では御座いません」


 黒姫が煽ってますわね。この煽りに反応したという事は、このT-OGという方の思考は、人間寄りなのでしょう。


「さっきから、何の話をしてるのにゃ?」


「グルゥ、グアゥ?」


「大人の話ですわね。それと、どうやらその虎は、精霊という存在らしいですわ」


「精霊にゃ?」


 もちは良いとしても、どうして虎までもが首を傾げて、不思議そうな顔をしているのかしら。貴方の事でしょうに。


「お前は精霊なのにゃ?」


「グルゥゥゥ……ニャゴゥ」


「眉間にシワが寄ってるにゃーよ」


 虎の眉間を揉み揉みするだなんて、もちは優しいですわね。私も虎を触りたいですが……触ろうとしたら、睨まれますわぁ。


「お主らはポンコツぢゃろ! ドールの奴も時折、勝手に我の魔力を吸っておるしっ、本当にいい迷惑なのぢゃ!」


「苦笑。駄龍の魔力では、燃料充填の効率が悪いと断定。不純物混じりの粗悪品かと」


「誰が粗悪品ぢゃあっ!」


 いつの間にか、二人が言い争ってますわ。二人共が相当な歳を取っている筈ですのに、子供の喧嘩でしょうか。


「溜息。駄龍と話をしていても、何の益も御座いません。凛宮司、コアの修復の件、御了承頂けますでしょうか」


「ゴラァッ! 喧嘩を売っておいて逃げる気かや! お主らなぞ我の小指一本でっ、粉々に粉砕出来るのぢゃぞ!」


「はいはい黒姫さん。涙目になっている時点で貴女の負けなのですから、落ち着いて下さい」


「泣いておらぬのぢゃあ!」


 おっきな瞳から、ポロポロと涙が溢れていますわよ。鼻水まで出すだなんて、竜を簡単に倒せる方ですのに、面白い方ですわ。


「えっと、T-OGさんで良いのかしら?」


「否。さん付けは不要」


「それなら、T-OG。貴方の要望通り、コアの修復はさせて頂きます。ですので、必ず約束を守って下さい」


「了。ご安心下さい。凛宮司の要望通り、コアの修復が完了次第、地上に送り届けます」


 このT-OGを信用した訳ではないですが、黒姫とのやり取りを見ていると、警戒し過ぎるのも馬鹿らしくなってきました。


「でしたら、コアのある場所へ────」


 案内をと言おうとした矢先に突如、この施設全体が倒れるかと思う程の揺れが起き、床に尻もちを付いてしまった。


「ゆっ、揺れてるのにゃ!」


「突然なんぢゃ!?」


「くっ、お尻が痛いですわね!」


 ゆっくりとその揺れが収まっていき、ただの地震かと思ったのも束の間──「緊急事態。当施設に侵入者です」とTーOGが宙に浮き、壁の中に沈んでいた者達も動き出す。


「一体何事ですのよっ」


「緊急事態。解析っ、これは……神の反応有り」


「はっ? ……神?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。