↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
七章 異世界とは魔人達の居る世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

711/719

16話 ミリタリーフロア.7


 お腹も多少は満たされたので、そのまま四階への階段を上がり、ミニカー展示会場まであと少しという所まで来た──のは良いものの、この階は異常の極みだった。


「……言葉に出来ませんわね」


「ほぁぁぁっ、おっきな鉄塊にゃぁ」


「グルゥゥゥ」


 天井までの高さが、軽く十メートル超え。

 奥に見える五階へ通じる階段も、非常階段の様な作りになっており、そしてなによりも、目の前にずらっと並ぶ"乗り物"らしき物体。


「戦闘機に見えなくもありませんが、推進力を出す為の、噴出口が見当たりませんし……奇妙ですわね」


「せんとうきって、何なのにゃ?」


「……お空を飛んで、魔物を倒せる道具ですわ」


「うにゃ? 黒姫みたいに飛ぶのにゃ?」


 大量殺戮兵器を搭載出来る物だなんて、口が裂けても言えませんわ。こんな物があるのなら、持っている小銃はただの玩具ですわよ。


「ふむふむ、懐かしいのぅ。昔この大陸に来た時に走っておった、移動用の物なのぢゃ」


「これをご存知なのですね」


「うむ。と言っても、此奴らには乗った事はないのぢゃ。当時の我は、此奴らが快適ぢゃとは知らなかったのぢゃよ」


 その言い方、少し引っ掛かりますわね。"当時"快適だとは知らなかった? その言い方ですと、直近で乗った事が有ると言っている様なモノですわ。


「……流という方が、関係しているのかしら」


「そうぢゃの。迅号という乗り物なのぢゃが、機内のマッサージ付きの椅子が堪らぬでのぅ。癖になる気持ち良さ……なの……ぢゃ?」


 私はそっと、虎から黒姫を床へと下ろして、私、もち、虎の二人と一匹で、もっと話せとジッと黒姫を見続ける。


「えっとぉ、あのぢゃな。これ以上話すとぉ、流に叱られると言うかぁ、ミルンに齧られてしまうと言うかぁ……勘弁して欲しいのぢゃ!」


「黒姫泣きそうなのにゃ」


「グルアゥ」


「他国に属する方なので、これ以上追求はしませんが、口が軽過ぎるのはどうかと思います」


「我はどこにも、属しておらぬのぢゃ。流やミルンの側ぢゃと、何かと退屈せずに済むし、居心地が良いから居着いておるだけなのぢゃ」


 要約すると、自由人ならぬ自由龍と言ったところなのでしょうか。シアードの昔馴染みの様ですし、追い詰めずにおきましょう。


「あれは乗り物という認識で、間違いはないのですね? どうやれば動くのかしら」


「ぬぐっ……乗り物である事には、相違ない。しかし、それ以上の事は言えぬのぢゃ」


「それも、流という方が関係していると?」


「言えぬのぢゃ!」


 この反応を見るに──確定ですわね。少なくとも流という方は、迅号なる古代の乗り物を、この時代で活用されている。


「どうやってあの塊を、動かせるのにゃ。吐かないと引っ掻くにゃーよ、黒姫」


「もちの爪は痛いのぢゃ! 言ったところでお主らには動かせぬわ!」


「グルゥゥゥ、ガウッ!」


「このっ、魔物の分際で、我に喧嘩を売る気かや……今直ぐにでも、腑を喰ろうてやろうか」


 おっとこれは、不味い感じがしますわ。


「もち、虎さん、そこまでにしておきなさい。黒姫さんも、大人気ないですわよ」


「むっ……少しイラッとしたのでのぅ。凛宮司の言った通り、大人気なかったのぢゃ」


「にゃぅぅぅ、御免なさいにゃ」


「グルゥゥゥ、ニャアゥゥゥ」


 私も少し、反省ですわね。今ここに居る誰よりも恐ろしい存在を、危うく怒らせるところでしたわ。気を付けませんとね。


「しかし、動かす事が出来ないとなると、ここに居ても、時間が勿体ないですわね」


「上でミニカーが待ってるのにゃ!」


「グルァウッ、グルゥッ」


「……猫人は本当に、気分屋ぢゃのぅ」


 両隣の兵器もとい乗り物を眺めながら、奥の階段へ向かい、そのまま目的の場所である五階へと、上がって行った。


 そこで私は──後悔する。


「ここは……何?」


 疑問に思うべきだった。

 あれだけ煩かった、館内放送がない事に。


「ふしゃあああああっ! 敵意満々にゃ!」


 行動を誘導されていた。

 もっと慎重に、行動すべきだった。


「此奴らっ、ドールの量産機かやっ!」


 この建物──いや、この施設は生きている。

 照明が付き、食料もあったのだから。

 しかし、目の前に居る存在が、食事を必要とするようには、どうしても見えない。


『ミリタリーフロアへようこそ、お越し下さいました、黒髪の方。いえ、凛宮司とお呼びした方が、宜しいでしょうか』


「監視していたのは、貴方達ですか……」


 階段を上がった先にあったのは、機械類で埋め尽くされた、四階よりも巨大な空間。そこに居たのは──宙に浮かびながら、銃らしき物をこちらに向ける、奇妙な者達。


「もちや、下手に動くでないぞ」


「ふしゃああああああっ!」


「グルゥ、グワゥッ」


 その者達の中央から一人、下半身がなく、そこから"ケーブルの様な物"を垂れ下げた者が、ゆっくりと前へ出て来た。


「了。初めまして、凛宮司。当機は外部兵装製作機、TーOGと申します。大人しく武器を捨てて下さい」


 これはあれね、逃げ切れないやつですわ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。