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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界

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16話 黒幕さんと煮豚野郎.3


 1/30 加筆修正致しました。



 俺とルシィの取っ組み合い。

 普通に力負けしそうだったので、脛に齧り付くミルンを抱き上げ、必殺の尻尾アタック。

 ルシィの顔面を、癒しが襲った。


「はぁっ、はぁっ、疲れさすな馬鹿女王!」


「きっ、気持ち良いのじゃぁぁぁ。このふわふわ感に包まれる感じは、堪らぬのじゃぁぁぁ」


「人の話をっ……」


 何だろう。

 尻尾はルシィに向いてるから、物凄く不満そうなミルンのお顔が、こっちを向いてます。

 そりゃ目が覚めるわな。


「お父さん、ミルンを武器にしたっ」


「あっ、甘えた声じゃ無い!?」


「ミルンをぶきにしたっ」


 んっ? いつも通りの甘えた声だな。

 気の所為か?

 可愛いミルンは、ぷんぷん怒ってても可愛いだなんて、頭を撫で撫でしましょうね。


「ミルンを武器にするなぞ、親としてはどうかと思うのぅ。ミルンや、こんな碌でも無い男とよりも、儂と一緒に暮らさぬか?」


「っ、寝言は寝て言えよ、お漏らしルシィ」


「だっ、誰がお漏らしか! 不敬にも程があるわ魔王! 少しは身分を考えよ!」


「おーおーヒステリック女王かよ。そんなんじゃ、ミルンに悪影響しか無いな」


「お主こそ悪影響じゃろ! ふんっ、ミルンは儂と、血の繋がった家族なのじゃ。一緒に暮らして、不都合などなかろう(ニヤニヤ)」


「かぞく?」


「そうじゃぞミルン。儂は家族じゃ」


 こいつ、ミルンを誑かす気か!?

 ミルンは、山籠りで一人ぼっちだった所為か、家族に飢えた可愛いケモ耳っ。

 そんな可愛いミルンに、ガチの血縁者が手を差し伸べたら、ミルンが行ってしまう!!


「ミルンはお父さんと、一緒が良いよな? こんな、見てくれだけの女王となんて、暮らす訳が無いよな?」


「見てくれだけで無いわ! 儂は女王じゃし、毎日美味しい、肉料理が食べれるのじゃぞ」


「肉でミルンを釣ろうとか、考えが浅はか過ぎるわ。こちとら山程食料有るし、ミルンに合わせた味付けも、完璧なんだぞ」


「ふはっ、所詮は根無草の放浪人じゃろう」


「何だと……痴女王の癖しやがって」


「"ち"が余計じゃこの魔王が!」


 取っ組み合いの再開です。

 力で負けるのなら、本気の関節技キメて、ぴいぴい泣かしてやるわ糞ルシィ!!


「けんかだめ! どっちもいや!」


「「……えっ?」」


 ミルンの発したその言葉に、腕を取り合う動きを止めて、二人同時に固まりました。

 

「けんかするならっ、やまにかえる!」


 ちょっとミルンさんや、何その実家に帰らせて頂きます的な言い方。


「ボソッ(おいルシィ……休戦だ。ミルンは一度言ったら、確実に実行するからなっ)」


「ボソッ(くっ、分かっておるわ。あの様な森になぞ、帰してたまるものかっ)」


 俺とルシィは、お互いに顔を見合わせ頷き合い、肩を組んでミルンに向き合う。


「ほらミルン。喧嘩何てしてないぞ? じゃれあってただけだって。なぁルシィ?」


「そうじゃぞミルン。仲が良い程喧嘩すると言うが、あれは本当なのじゃ。ほら、儂と流、こんなにも仲が良いじゃろ?」


「けんかじゃない?」


「喧嘩じゃ無いって。ほら、ルシィの乳を突いても、全く怒らないだろ?」


「はははっ、止めぬか流よ。本気で斬首に処そうかと、悩まねばならぬわーっ」


「ぶふっ……失礼致しました」


 このやりとり見て、影さん笑ってるじゃん。

 ミルンがジッと、まん丸お目々を光らせながら、俺とルシィを交互に見てくるし、気が休まらないとは、この事だろう。

 このままミルンが森へ帰ったら、全力で追いかけてからの、ひたすら土下座だよ?

 万が一、他人の様に接して来たら、俺泣き出して、異世界が嫌いになっちゃうよ?


「むーんっ、ゆるします」


 ミルンはそう言うと、もそもそもと俺の体をよじ登り、ついでとばかりに、俺の肩に組まれているルシィの腕を、ペシィッと尻尾で叩き落としてから、肩車セットインッ、ミルン!!


「やっぱりミルンは、肩の上が良いよな?」


「ここがおちつくの!」


 その行動に、俺は満面の笑みを浮かべるも、手を叩かれたルシィの顔が、ヤバい。

 何がヤバいって、無表情のまま、目から涙をボタボタ流して、ミルンを見てるの。


「ルシィ……諦めろ(ニヤニヤ)」

     

 そんな一幕も有ったが、事の詳細と言うか、現状どうなっているのかの説明を、影さん二号から受けた。


「気絶してから、丸一日経ってたのか……」


「左様で御座います」


「どうりで鼻から、臭いが取れない訳だ」


 ルシィのお小水が、こびり付いてるからね。

 そう言えば、あの豚野郎がトイレ使ってたから、俺の膀胱が死にそうなの思い出したわ。

 気にしだしたら、急に尿意がヤバい。


「尿臭いから良いか? なぁルシィ。この高級ベッドに、今現在膀胱破裂寸前の尿を、ぶち撒けても問題無いよな?」


「早よう雪隠(せっちん)へ行ってこんか! そこにぶち撒けたらっ、牢へぶち込んでやるからの!」


「何だよ雪隠って?」


「流さん。厠の事で御座いますよ」

 

 ああ便所の事ね。 

 厠も古い言い方だけど、雪隠って……ジアストールは、雪でも降る国なのか?


「あっ、漏れそう……」


「あそこのに有るからっ、さっさと行けい!」


「部屋にトイレ完備とか、マジでここ何処?」


 ベッドから立ち上がり、トイレに向かおうとしたら、ルシィに服を掴まれた。


「何だよっ、漏らすぞ」


「ミルンを置いて行くのじゃ!」


「うんち?」


「違うぞミルン。小便だ」

 

「んしょっ、いってらっしゃい」


 ミルンさんや、何で聞いたんだい?

 大なら何か、有ったのかな?

 そんな事を思いながら、無駄に豪華なお手洗いで、スッキリ爽快晴れやかな気分。


「……水道有るのかよ」


 サッと手洗い、清潔にね!




 トイレから戻って直ぐ、何か黒幕っぽかったらしい大臣と、煮豚の処遇を聞いてみた。


「表では、失踪と言う扱いじゃが、形式的に裁判を行って直ぐ、極刑じゃな」


「王国法では、放火は死罪。それを命じた者も同じく、死罪となります」


「極刑かますとか……スラム全体が、火に包まれていたと考えると、妥当なのかね」


 荒屋ばかりのスラムだと、燃える物も多いだろうし、住民達が逃げ場を失っての、大災害にもなり得た訳だからな。

 

「そうじゃ。雨のお陰で、火は燃え広がらなかったが、王都存亡の危機に、なり得たのじゃ」


「んでコレを機に、不穏分子を一掃と?」


「うむ。今回の騒動で、物証を得ての。逃げられぬ様、影を見張りに付けていたのじゃ。あの大臣……儂の期待を裏切りおってっ」


 長く側近をしていた、お偉い大臣が、こんな事に加担して、心を痛めているのか。

 

「せめてっ、後継を育てておれば……っ、もっと早くに処分したモノを!!」


「……心なんて、全然痛めてないな」

 

 ただ自分の仕事が増えるのを、嫌がっている様にしか見えないぞ。


「極刑ねぇ……なんか、緩い気がするなぁ」


「むっ? 極刑が緩いとは、変な事を言いよるのぅ。死で償わせる事の、何が緩いのじゃ」


 何て説明したものだろうか。

 首を刎ねられた者が、直ぐに死ぬのかなんて分からないし、知りたくも無いけど、もしそれが、一瞬の痛みで終わるのなら、何とも緩い話だと言う事だ。

 そして今回は、幸いにも死傷者は無し。

 教会の奴等は知らんが。

 それならば、償いも兼ねての、生地獄も有りなんじゃ無いかと、思う訳だよ。


「んーっ、死んだら、償いも何も無いだろ。死んでどうなるのかなんて、俺達は知らない。それならば、死よりも苦しい罰を、延々と与えた方が、良いんじゃないのかなって」


「流。お主は矢張り、魔王じゃな」


「終わらない地獄に御座いますか。拷問の様なモノであれば、可能かと存じますが……」


「おとうさんは、きちくなの」


 ルシィ、影さん二号だけで無く、ミルンまでもが若干引いてます。

 鬼畜なんて言葉、良く知ってるなぁ。


「んじゃ、鬼畜な流さんが考えた、素晴らしき生地獄を教えよう」


 俺が考えた罰を、分かり易く説明完了。

 ドン引きしてますねぇ。

 材料は、煮豚になった大司教一体と、生贄の大臣に加えて、ちょっとした道具だ。

 

「うっ、うむ……死にたくなるじゃろうな」


「影でもその様な事は、思い付きません」


「おとうさん! ミルンはいいこにする!」


「何でミルンが怖がるんだ?」

 

 大丈夫だぞミルン。

 この生地獄は、アイツ等専用の地獄だから、他の誰にもしないと誓おう。


「死ぬ迄一生、苦しんで貰おうぜ」



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