14話 黒幕さんと煮豚野郎.2
なんか鼻につく臭さに目が覚めた。
何かもの凄く小便臭い? 俺漏らしたか? とゆっくりと体を起こして…凄いデカいふかふかベッドじゃん何これ?
「俺…漏らしてないよな? と言うかここどこだ? 俺いつの間に寝たっけ? あれ、今日なにしてた?」
確か皆んなと教会ぶっ潰しに行ってから、砦に入って煮豚作って…煮豚? そうそう喋る豚野郎を煮豚にしてから、外でて食べようとして、出たら衛兵が…。
「そうだ…泣き虫ルシィがお漏らしルシィに進化して、首チョンパしようとしたら頭にっ痛ってぇな頭!!」
思い出した! ミルンに頭を叩かれてそのまま気を失ったんだ! ミルンってあんなに力あったかなぁ…凄い衝撃だったけど。
「おはよう御座います流さん」
影さん(二号)、また急にどこから出て来たの? それと、どういう事か説明してくれますよね。
「はい。まず今回の出兵は誤解です」
影さん(二号)が言うには、大聖堂を俺が潰した事で庇うに庇いきれないと判断して、ならばその罪を俺を魔王と断定した糞大臣と、煮豚…煮豚! あの豚野郎に擦りつけつつそのまま処刑して、有耶無耶にしましょう! って事だったんだけど、衛兵がハッスルマッスルし過ぎて俺達に槍を向けてしまっていたと…。
「じゃああの時に、煮豚渡してたら俺達はそのまま帰れてたの? マジで?」
いや、あの衛兵達、特に俺に槍向けて来た奴なんか殺る気満々だったんですけど?
「いえ、複数名大臣の手の者が紛れており、あのまま渡していたとしても、特定の衛兵には攻撃されていたかと思われます。まあ、ヘラクレス様やニアノールさんが居たので、どちらにせよ反撃にあってその衛兵は死んでいたでしょう」
寧ろ、流さんが衛兵の戦意を潰したおかげで、死なずに済んだ、とも言えますね。
「結局お漏らしルシィが悪いじゃん。なんなのアイツ? 俺を助けようとしてたって聞こえるけど、敵さん連れて来ましたー死なないで下さいねーってちゃんと管理しろよ。あと、まだ正門での事誤って来てないから首チョンパ諦めないよ?」
なに? そう言うと思って連れて来た? 誰を?
「陛下、入って来て下さい」
そう言って影さん(二号)は扉を見たけど…誰も入ってこないんですけど? 陛下ってことはルシィか?
「陛下、早く入って来て下さい流さんがお待ちです」
全然…入って来ないな。
仕方が無い。
あんな事されたからな。
まあ、知らないけど。
はい、息を吸ってぇええ。
「さっさと顔見せろやゴラァアアアアアア!!」
勢いよく扉が開いて
「ヒィッそのように怒鳴るで無いわ!?」
半泣きでルシィが入室しましたね。
なんか…半裸? なぜ半裸? いや、薄着なだけか…何かキモいな。
「で、お前何今更? 首チョンパされに来たのかやるぞ今すぐよしやろう!」
俺はベッドから出ようとするが脚が重い。
毛布を取って、成程。
ずっと俺の脚にしがみついて圧迫してたのはミルンだったのか…どうりで脚の感覚が無かった訳だよすげぇ痺れてます。
「すっすま…なかった」
えっ? 何か言ったかルシィ? ちょっと待ってろミルン起こしてから首チョンパするから!
「すまなかったと申しておる!」
えっ? それで謝ってるつもりなの? 人に謝る時に偉そうにして良いと思ってるのか。
それが人に謝る態度か? ミルン起きろーじゃないとアイツの首チョンパ出来ないから。
「ヒッ…もっ申し訳御座いませんでしたっ!」
なんだよちゃんと言えるじゃん。
でも誠意が足りない。
そんなキモい薄着で謝意を表しているつもりなのかどうなのかは知らないが、俺は糞ガキの身体見ても何も思わんし、むしろキモい。
「え…。キモい…私が? だって影がコレを着て謝ればって…言って…それっううぅっぐずっ」
また泣いちゃったよこの女王。
「流さん。女性にキモいはダメです」
「おとう…さんムニャ…きちく…くぁああんムュ」
だって影さん(二号)ルシィのその服? 露出狂も真っ青な透け透けですから無理ですよ? あと俺は鬼畜じゃないよミルンどこで覚えたのその言葉。
「チッ…」
影さん(二号)…舌打ちしないで。
舌打ちした後でこっちを無言で見ないで! 分かったよもう首チョンパ言わないから!
「分かった! もういい泣くなルシィ」
だって影さん(二号)恐いもん睨んでくるし。
「もう首狙ったりしない。あと…キモいは言い過ぎた…すまない」
女性にキモいは…言い過ぎたかなぁ。
悪かったよ。
ちょっとオブラートに包んで。
「ちょっとその服、頭おかしいんじゃ無いか?」
あっ…すげぇギャンギャン泣き始めた…。
まて脱ぐな! 服が悪い? 違うお前の頭が悪いんだ! まてまてそれを脱いだら痴女になるぞ!? お漏らし女王から変態女王になりたいのかって影さん(二号)笑ってないで服着させて!
「わたぐじのどごがっぐずっべんだぃなのじゃ!」
半裸で近づくなそう言う所だよ!
「ちょっと誰か状況説明しろよぉおおおお!?」
俺が意識を失ってから、太陽が一周したそうだ。