↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女の居る世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/714

22話 進撃乱戦あいつはどこに.3


 2026/06/28 改稿



 俺の考えは、甘かった。この五人なら、たとえ十数人の私兵が現れたとしても、楽勝だと思っていたんだ。


「槍兵構ええええええ──っ!」


「「「応っ!」」」


「突撃いいいいいい──っ!!」


 だってこっちの戦力のうち、元騎士団副団長の村長と、暗殺系猫耳メイドが居るんだぜ。


「弓兵は聖女を狙えっ! あそこで釘付けにして、絶対にこちらに来させるなっ!」


「「「ははあっ!」」」


 超楽勝って思うだろ、普通。それなのに今こうして、砦から出て来た奴らに、なぜか抑え込まれてるんだ。


「ゴラァっ! 流にーちゃんも応戦しろやっ!」


「矢が飛んでくるのっ! ふんっ!」


 ヒュンヒュンッ──と勢い良く飛んでくる矢を、斧で叩き落とすとか、ミルンが居なければ、今頃射殺されてるだろうな。


「ぐぬぅっ、手強いのであるなっ!」


 村長は槍兵に囲まれながら──違うな。槍で刺されている筈なのに、何故かその槍は刺さらず、どうやってか猛攻に耐えている。


「あれって、前にケモ耳達の攻撃を耐えた、変なスキルだよな……危なっ!?」


 村長を見ていたら、頬を矢が掠った。

 

「お父さんっ! 気を抜いちゃ、めっ!」


「悪いミルンっ! にしてもっ……大司教の奴、まさかこんなに大勢の私兵を、雇ってるとはねぇ。だから砦に籠ったのか」

 

 そう、今俺達は、砦の前で戦闘中。

 サクッと砦の中に侵入して、大司教をボコるついでに、証拠を粗探ししようと思っていたのに──砦の門が突然開き、来るわ来るわの武装した雇われ兵。


「おらあっ! あんた魔王やろっ! 木の影に隠れてんと、北門で見せた"圧"出せやあっ!!」


「お前も隠れてるだろうがよっ!」


「ウチは相手に近付かなあかんねんっ!」


 理不尽な言い方だろ……それに、圧を出せと言われても、何故か上手く出せないんだ。意味が分からないぞ。


「チッ……使いたい時に、使えないとかっ」


 因みに、矢が飛んでくる量を、俺とリティナで比較すると、俺が三で、リティナが七。完全にリティナの方が、狙われている。


「回復役を先に狙うとか、戦いを分かってる敵かよっ。こうなったら、魔法を使うしか……っ」


 問題は、何の魔法を使うかだ。

 孤児院の火を消した時は、しっかりとイメージする事が出来た。しかしそれは、あくまでも"火を消す"といった目的があったからこそ、発動出来たのだと思う。


「北門で使おうとした、豪炎なら……駄目だっ、あの数の兵士には、焼石に水だな」


 それに俺は、人殺しにはなりたくない。

 この魔物蔓延る異世界であっても、怒りに飲まれたとしても、誰かを殺すだなんて事は、出来るならしたくはない。


「ふんっ! ふんっ! 矢がしつこいのっ!」


 そう言いながら、ミルンも木の影に隠れて、飛んでくる矢を弾かなくなった。


「矢の量から考えて……弓兵だけでも十人以上は居るか。厄介過ぎるだろっ」

 

 槍兵で村長の動きを止め、弓兵でリティナを釘付けにって事は、本命を温存してやがるな。

 弓兵、槍兵の次に来るとしたら──歩兵。

 村長がいくら強かろうとも、この練度の兵士が相手だと、数で押されれば負ける。


「チッ……殺るしかっ、ないってか」


 そうこうしている間に、主力であろうフルプレートの兵士達が、ガチャガチャ音を立て、砦から姿を現した。


「守備隊前へっ!! 奥に居る男と獣は、殺しても構わぬっ! 聖女は生け捕りにせよ!」


「「「応っ!!」」」


「総員前──んぐぅっ!?」


 門の上から指示を出していた、恐らくは隊長であろう男の声が──止んだ。というよりも、変な声を出して直ぐ、何も言わなくなった。


「何だ……っ、マジかよっ!?」


 木の影から顔を出し、門の上を見ると──いつの間にかニアノールさんが、その隊長の首を握ったまま、ジッと他の兵達を、獲物を狙うような目付きで、見下ろしていた。

 突然の出来事に──誰も口を開かない。攻めようとしていた歩兵ですら、門を見上げて、ニアノールさんを凝視している。

 一瞬の──静寂。

 だからこそ、それに気付かなかった。誰も彼もが、門の上を見ていた為、気付けなかった。

 突如一人の槍兵の"首"が──飛んだ。


「──はっ?」


 それは、誰の声なのか。

 いつの間にか村長の隣に、黒外套を羽織り、顔を隠した"者達"が立っていた。恐るべき殺意を、纏わせながら。


「そっ、そいつらを殺せええええええっ!!」


「「「あああああああああ──っ!!」」」


 黒外套を羽織った者達は、六人。にも関わらず、村長すら手を焼いていた者達を、次々に屠り、蹴散らし、その数を減らしていく。

 

「あれって、影さん……だよな」


「暗部の連中が、何で今更出張って来たんや」


「おっ、リティナ。怪我とかしてないか?」


「ほんまあんたっ、何もしとらんなあっ!」


 そんな事を言われても、中身はただの中年男性だし、ミルンの見ている前で、人を殺すなんて事はしたくないんだ。ミルンが危ない状況だったら、なりふり構わず魔法を使うけど。

 なんて事、言える訳がない。


「悪かったよ……にしてもこれは」


 六人の影さん相手に、数え切れない程の兵が群がるも、動きを追えず混乱しているのか、さっきまでの勢いはなく、そこに村長も追撃をかけての、正に乱戦。

 

「流にーちゃんっ! ボーッとしてへんと行くでっ! どう見ても今が好機やろ!」


 リティナが顔を向ける先で、ニアノールさんが"急げ"と手招きをしてきている。


「なあリティナ。こんな時にする話じゃないんだけど……言って良いだろうか」


「なんやっ!」


「招き猫って、実在したんだなぁ」


「お父さんっ! 気をしっかり持つの!」


 何故かミルンに、心配されてしまった。

 

「意味分からん事言ってへんと、行くでっ!」


「お父さん走るのっ!」


「あっ……はい」


 ミルンの後を、砦の門目指して走っていると、まるで『ここが道ですよ』と言わんばかりに、ポッカリと兵達の穴が出来ており、乱戦に巻き込まれる事なく、そのまま砦の内部へと、侵入する事が出来た。


「ふぅっ……何あれ、暗部の強過ぎだろ」


「そりゃそうや。院長先生の後輩らやねんから、化物揃いやろうからな」


「何それ……それじゃあ院長影さんって、あの影さん達よりも、強いって事なのか?」


 元暗部の長で、美人エルフの院長影さんの、後輩達……怖ぇ。いや、恐ろしいが正解か。


「リティナ様、お待たせ致しましたぁ」


「お疲れニア。助かったわ」


 それじゃあこの、猫耳ニアノールさんも、暗部関係者だったりは──考えるよはよそう。今は大司教を、探さす事が優先だ。


「お父さん、村長は来ないの?」


「流石にあの状態じゃあ、来れないだろうな」


「ふーん。それじゃあ行くのっ!」


 流石ミルン。村長を心配した訳ではなくて、ただ聞いてみただけか。尻尾をピンッ──とさせて、ヤル気は衰えていないな。


「そんじゃあ、先頭はミルンとニアノールさんで、中衛はリティナ、後衛は俺で行くぞ」


「ええで。怪我しても、直ぐに治したるわ」


「やりますよぅ」


「接近戦なら、負けないのっ」


 うんうん、これってさ……この中で一番弱いのって、間違いなく俺だよね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。