15話 皆んなで楽しくピクニック.5
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豚野郎もとい、今回の元凶の一人を引き摺りながら、村長が不機嫌そうだ。
筋肉がピクピクと気持ち悪いし、どうした?
「村長、そんなにその豚重いのか? ニアノールさんに頼めば、軽くして貰えるぞ?」
ニアノールさん、ずっとその豚を目で追っているから、ゴーサイン出せば一瞬だ。
「この後の事を考えれば、不機嫌にもなるだろう。落とし所は、考えているのかね?」
「落とし所? この豚をスラムにポイだろ?」
「そう簡単では無いのだ……」
「大丈夫だろ? この豚が指示した事は確かだし、こっそりポイすりゃオーケーだ」
こんなの早く終わらせて、ケモ耳っ子達をモフモフして、身心の疲れを癒したい。
疲れていないけど、癒して欲しい流です。
「モフっ子達が、待っている!!」
「おとうさん! ミルンがいるでしょ!」
「分かってるよミルン……ぉぉっ」
何かを察したのか、ミルンの尻尾が背中にペシペシと来てるんだけど、今は止めて欲しい。
何故かって?
忘れてた尿意が、じわじわ来てんの。
「何や緊張感無いなぁアンタら。あと少しで出口やさかい、気ぃ抜いたらアカンで?」
「そうですよぉ。伏兵が隠れて居るかもですしぃ、まだ敵地ですからねぇ」
「へいへい、気を抜かずに歩きますよ」
前方を行く、ニアノールさんの尻尾の所為で、緊張したくても出来ないのが本音です。
メイド服に穴が開いてて、左右にふりふりと、やっぱりミルンと動きが違うの。
「何でぇ、私の尻尾を見てるのですかぁ。私の尻尾は、リティナ様専用ですぅ」
「視線だけで分かるのか……ミルンの尻尾はモフモフだけど、その尻尾はどんな感じかなぁって思ってな」
「触らせませんよぉ。触るならぁ、手を切断してからにして下さいねぇ」
それだと触れないだろ。
それは暗に、触れたら手を斬るから、絶対触るなよって言う警告だよね?
雑談をしながら歩いていると、外からの光が凄く眩しく感じて来た。
「ようやく外っ、明るいなーっ」
「めがチカチカするのっ」
「でも、砦の中より空気がうめぇーっ!」
すーっ、はーっ、と深呼吸して、光にやられた目を擦り、んーっと考え再度目を擦り、この状況は何だろうか。
『出て来たぞ! 構え!!』
「「「了解っ!!」」」
ガシャガシャと、めっさゴツイ鎧着た兵達が、隊列を組んで武器を構えて、突撃姿勢良し的な雰囲気出してんだけど。
その兵達の奥に、あの女王の姿が見える。
「ルシィじゃん……何だこの状況?」
『魔王に命ずる! 今すぐ大司教を解放せよ!』
「……何か言ってんなぁ」
『さすればっ、この度の事は不問に処す故っ、大人しく従え!』
「はぁ……アイツ…何言ってんの?」
「ぶたさんのこと?」
「どうだろうな? 豚さんの事かな?」
ルシィの奴、大司教を解放しろだと?
コイツを引き渡して、この度の事は不問にするだのと、兵を使っての脅しか?
「こんな所まで来て、どうした泣き虫ルシィ! 豚野郎を引き渡せって! 助けに来たのか!」
『動くな魔王!!』
前へ出ようとしたら、すかさず槍の穂先を向けて、動きを抑えに来たか。
この兵達、砦守ってた奴等と比べて、纏ってる空気が遥かにヤバげだな。
この雰囲気だと、女王直轄の兵達なのか?
素人目にも分かる。
だって、圧と言うか、これが殺気かと思わせる程に、殺る気満々だもん。
「矢張りこうなったであるか」
「あーっ、村長が心配してたのは、コレか」
「うむ。やむ得まい……陛下! 何故この大司教を引き渡せとっ、お命じになるか!」
村長格好良いーっ!
槍にも屈しず、一歩前に出て声上げてら。
「陛下! この者はっ、スラムを焼けと指示した大罪人でありますぞ!!」
『近寄るな! 串刺しにされたいか!』
隊長らしき兵が声を上げ、村長の筋肉にも怯えず、ジリジリと間を詰めて来る。
ルシィの奴、何無言貫いてんの?
「ニアノールさんはリティナの側に。ミルンはそのまま、俺の肩の上だな」
「はなれない!」
「分かっとるわ。頼むでニア……」
「リティナ様に槍を向けたらぁ、殺りますねぇ」
うん。前の兵達の圧よりも、ニアノールさんの圧の方が、数段上だわ。
にしても、この兵は仕事だから良いとして、あのルシィ……ちょいムカつくなぁ。
「なぁルシィ! 何で兵達の持ってる槍がっ、こっちを向いているんだ! 答えろ!!」
ちょい離れてるから、アイツの顔が良く見えないし、前の兵達が邪魔だ。
そう思い、一歩前進する。
そうしたら、槍を構えた兵達が、不思議と何故か、一歩後退した。
「おとうさん、おかおこわいっ」
ミルンが俺の顔を覗き込んでいるけど、別に俺は、普通の顔をしているぞ。
笑顔が足りないんだろうか?
「何言ってるんだミルン? 俺はニッコリ笑顔で、スマイリー流さんだぞ?」
笑顔のまま、一歩前進する。
そうしたら兵達は、また一歩後退して、更に奥に居るルシィでさえ、逃げ腰になってる。
あぁ、称号の効果かな?
そうだよね?
俺の顔が恐いって訳じゃないよな。
だってこんなにも、スマイリーなんだぞ。
「なあルシィ! 俺の頼んだ事はどうした! 何でこいつらは槍向けてんだ!」
『きっ貴様の言った内容は進めておるわ! じゃが、それとこれとは話が別じゃ!』
「話が別って何がだ!」
『大聖堂を破壊し! 大司教をその様な姿にした事はっ、大きな罪じゃ! 大人しくっ、其奴を引き渡せ魔王!』
「ボソッ(罪ねぇ……)」
「おとうさん?」
豚野郎を煮豚にしたら、大きな罪だってさ。
はぁ……これでも我慢してたのに。
「お前っ……この糞煮豚を自由にさせておいてっ、どの口がほざいてんだ!!」
『ひっ!?』
「何が罪だ!! この糞煮豚が指示だして! 俺を殺す為だけでは無く! スラムのケモ耳っ子達を拐って傷付けたのっ、お前影さんから報告受けてるよな! それを解放っ、解放しろだと言うかお前は!!」
俺は一歩進む。
衛兵は槍を向けたまま震え固まり動けない。
俺は更に進む。
衛兵が俺に槍を突き出そうとしたが、俺の顔を見て直様、槍を引っ込めた。
俺は更に進む。
衛兵達が道を開け、そこに震えた女王様。
俺はルシィの前に立った。
「ルシィ。お前さっきの言葉、俺の目の前で、もう一回言ってみろ」




