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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界
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13話 皆んなで楽しくピクニック.3



 少し寝室で引き篭もっただけなのに決裁書類の山が積み重なって執務室を埋め尽くしている現実から眼を逸らしたい。


 女王ルルシアヌ・ジィル・ジアストールは執務机に突っ伏しながらぼやいていた。


 影は儂からの話を院長へ伝えたのであろうか…これで流とミルンを城へ呼べる筈! と少し先の楽しみが出来たと気分は良くなるが、それで書類の山が無くなる訳では無い。


 「女王陛下」


 そう思ってたら影が急に現れた。

 また…呼んでも無いのに…性格変わった?


「どうしたのじゃ。先の件、院長に伝える事は出来たのか?」


「その件につきまして、大至急ご報告が。教会の手の者によって孤児院が全焼。孤児院に居た子供に被害がでており、院長曰く、城から大聖堂を見てみては…との事」


「えっ…?」


 女王が影の言葉を呑み込めぬ内に、外から響く轟音と共に衝撃が襲い来る。


 城が揺れ、お気に入りのティーカップが割れ、堪らず椅子から転げ落ちたけど影はいっこうに助けてくれない儂女王だぞ!?


「ええいっ何が起きておるのじゃ!?」


 女王は走る、走る、走る、大聖堂を一瞥出来るバルコニーへ。


 あまり見たくない派手な建造物。王城よりも装飾華美で月明かりにですら反射して寧ろ民達より苦情が来ていた大聖堂。女王がバルコニーへと出て外を見ると…眼下に街並みが見渡せた。


「くっ…くははっ…くはははははははっ!」


 笑いが出る程に何も無い。

 鬱陶しいと思っていた大聖堂が跡形もない!


「そうか、そうか。成程! 奴等怒らせおったのか! あやつは儂をも泣かす魔王だというのに!」


 影が後ろに着いて来ていた。

 そして今回の魔王騒ぎの首謀者の名を言う。


「ふーっ笑ってしまったわ。して、其奴は今何処じゃ? 決して逃がすで無いぞ影よ」


 影は女王に一礼して、そのままバルコニーから飛び降りて行った!?


「待て、なぜそこから!?」


 女王は急ぎバルコニーの下を覗くが…影は既にいなくなっていた。影め…絶対儂で遊んでおるだろ。


            ※


 俺達はガリ細神官おっちゃんの後に続く。

 巨大な大聖堂があった場所を抜けてその先。下り坂になっているその終着点に、小さな砦? 城? が建っていた。何か衛兵が出て来そうな場所だよなぁ。


「なぁ、ガリ細神官おっちゃん。あそこに大司教が居るで間違いないのか? 違ってたらミルンの股間撲滅パンチだぞ」


 そう言うとミルンは俺の肩の上でシュッシュッと言いながらアッパーの練習をする。


 背が小さいからアッパーが丁度股間にフィットするんだよねマジ死ねるからなぁ。


 ガリ細神官おっちゃんは股間を手で押さえながら間違い無いと応えてきた。


 ミルン、違ってたら股間撲滅パンチしてから斧でチョッキンしちゃいなさい! まあ斧でチョッキンは狙いが狙いだけに御御足さようならになるけどねー。


「まっ間違い御座いません! あっあそこに大司教様がいらっしゃいます!」


 必死だなぁ…まあ居なかったらマジだから! 本気でするからね! 逃がさないぞ。


 そんな話をしながら門の前に到着っと。

 たのもー! 返事が無いな…誰もいないのかな?

 ミルン、股間撲滅パンチの用意だ!


「お待ち下されっ! お待ち下されっこっここを引くと中の者に合図が行き門が開きますのでっお待ち下されぃ!」


 チッ…ミルン、股間撲滅パンチはお預けな。

 ガリ細神官おっちゃんが門の端にある紐を引き、少ししたらゆっくりと門が開いたな…そして門が開いたその先に、三十人程か。武装した衛兵が待ち構えているけど。


「流君! 私にも見せ場が欲しいのでな! はっはっはっはっ!!」


 村長が先駆けで突っ込み先頭に立っていた衛兵の顔面に拳を穿ち凹ませて、その後ろからニアノールさんがーーー


「リティナ様に無礼を働いた者の仲間ですので容赦いたしませんよぉ」


ーーーと村長を追い越して目に付く衛兵の腕、脚、喉、目を片っ端から突き刺していくよ恐い。


 そしていつの間にか俺の肩から降りたミルンが…ミルンが…ミルンが、衛兵達の股間目掛けて斧を振り上げては潰し、振り上げては潰し、振り上げては潰して…乙女を量産していく。


 衛兵達は本能的に股間を押さえるが、斧の一撃には耐えきれず押さえた手ごと股間撲滅。


 俺とリティナは地面に座り、さながら映画を観る観客が如く、静かに朝に焼いていたコカトリスの胸肉塩焼きを頬張りのんびりとその蹂躙を見届けていた。


 衛兵…弱く無いか…?


「おとうさんおわった!」


 ミルンが血糊べったりの斧を背に近づいて来たのでご褒美ですねと可愛いお口にコカトリスの胸肉をはいどうぞ。


「モゴモゴよわモゴモゴかった!」


 尻尾を振り振りとそうだなぁ衛兵弱過ぎだよな?


「何だもう終わりか君達! それでも教会の衛兵かね!」


 村長が片手で衛兵を持ち上げ怒っている。


「不完全燃焼ですねぇ。まだ息のある者が多いので止めを刺しましょうか?」


 待ってニアノールさん、戦意無くした人にはもういいからね? そんな膨れっ面しても可愛いだけだから!


「ニア、そのへんにしときーや。怒ると加減せーへんのは悪い癖やでー」


 ほら、リティナもそう言って…おいリティナ倒れている衛兵に向かって何を…?


「悪夢を見せましょ永遠にってなー流にーちゃんにもしたことあるやろ? 一番恐怖を感じた事を見せるスキルやねん」


 おい、衛兵が呻き声をあげて股間押さえてるぞ…ああ成程。ミルンに潰された奴等ね。


 達者で暮らせよ、乙女になってな。


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