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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界

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15話 皆んなで楽しくピクニック.2


 12/30 加筆修正致しました。



 ジアストール王国の首都に聳え立つ、アルテラ教大聖堂。王城よりも目立つソレは、壁一面に華美な装飾や彫刻が施され、『王城よりも王城らしい』と、王都を訪れた冒険者や商人達が、物見に来る名所の一つ。

 アルテラ教の信者達も、足繁く通い、御布施をしては、祈りを捧げる場所。

 その大聖堂の奥に、一際輝くモノがある。

 唯一神アルテラの像。

 高さは十五メートルと、ジアストールの歴代の王像より大きく、アルテラ教の権威の象徴でもある。

 その像を、一心不乱に磨く者。


 太陽が昇る前から、大司教、司教の部屋を掃除して、礼拝堂を隅々まで磨き、綺麗な布で御神体を優しく、去れど汚れ一つ、埃一つ残さぬ様磨き上げ、最後に御神体へ語りかける。


「アルテラ様は、本日も御綺麗で御座いますね」


 神が語りかけてくれる訳も無く、ただ己がやりたいからと、見習いには任せない。

 

「この時間は、私の宝物に御座います」


 目を閉じ、石畳に膝を付いて、手の平を組み、頭を下げて祈りを捧げる。


「アルテラ神様。本日も、我等を御見守り下さいますよう、お願い申し上げます」


 そうしていると、頭の中に、誰かの声が響いて来た。暖かな声色で、しかし、どこか怒りを帯びている声。


『愚かな子らは居らぬな。貴女は清浄なりて、直ぐにここから立ち去りなさい。ここに居ては、巻き込まれるわよ?』


「っ、アルテラ様っ!?」


 女神官は、直ぐに気付いた。この声は、唯一神アルテラ様のお声だと。


「……御神託をっ、私が?」


 アルテラ様は仰った。直ぐにここから立ち去る様にと。何かが起きる?

 急ぎ大聖堂を後にして、信用のおける神官達に伝えるも、誰も聴く耳を持ってくれない。


『貴様が御神託を賜った? 頭がどうかしたのか。神官になれたからって、調子にのんなよ』


『司教様の御用があるのだっ。邪魔するな』


『はははっ、笑い話かい?』


 唇を噛んだ。

 誰も信用してくれず、このままでは、アルテラ様に申し訳が立たない。

 話を聞かない者は無視して、慕ってくれている後輩を連れ、急いで大聖堂を離れる。


「ルトリア様っ、何故そんなに急ぐのですか!」


「良いから急ぎなさいっ! アルテラ様の御言葉を信じるのです!」


 その時、異様な雰囲気の者達が、前から歩いて来た。その者達が目指す方向。

 アルテラ様が忠告なされた、大聖堂である。


「あっ、あの」


「んっ? 何だあんた……」


 何故この人種は、獣族の幼子を、肩に跨がせているのだろうか。しかも、不気味な笑みを浮かべて、私の胸を見て来る。


「今日は……っ、大聖堂に……」


 何と言ったモノだろうか。

 神から御神託を受けたので、大聖堂に向かっては危険です。なんて言っても、あの神官達の様に、馬鹿にされるだけじゃない。


「何も無いなら行くぞ?」


 それでも、教え導く神官として、危険が迫っている場所に、向かわせる訳にはいかない。

 そう思って、私は彼等に、理由を伝えた。


「神様がねぇ……あんがとさん」


「えっ、待ってっ!?」

 

 それでも、大聖堂へ行こうとする五人組。矢張り嘘だと、思われたのだろうか。


「本当に話を聞いたのですか! 大聖堂に行ってはっ、危険なのです!」


 私は必死に止めた。だけどその男は、笑ってこう言って来た。

 私の様な神官が居て良かったと。

 大丈夫、危険は無いからと。


「なぜそのような事が、分かるのですか!?」


「んーっ、まあ良いか。俺達がその危険だ」


「何を言って……」


「あんたは良い人そうだし、早く行きなさいな。じゃ無いと、巻き込まれるぞ?」


 そう言って、その者達は、大聖堂のある方へと、向かって行った。

 どれ程時間が経ったのか、後輩に揺さぶられてハッとなった私が、歩み始めようとした時、轟音と共に、爆風が押し寄せて来てた。


「っ、危ない!?」


「先輩っ!」


 砂塵が辺り一面に吹き荒れ、まるで嵐の中に居るかの様な突風に、目が開けられない。

 私は必死に、後輩に覆い被さり、砂塵が収まるのを待った。

 風が収まり、顔に付いた砂を払って、ゆっくりと目を開ける。どうやら後輩は無事の様だ。


「大丈夫? 怪我とかして無い?」


「けほっ、はい。大丈夫……」


 後輩が大丈夫な事を確認して、ゆっくりと立ち上がり、城下に向かおうとするが、後輩が動かない。そしてゆっくり、後輩が背後を指差して、口をパクパクさせている。


 私は背後を振り返り────「はっ?」

 可笑しな声が出た。

 そこにあるはずのモノが無い。

 王都のどこからでも、見る事ができるモノ。王城に匹敵する程大きく、煌びやかな建造物。


 大聖堂が、跡形も無く、澄んだ空だけが、遠くまで続いていた。

            

◇ ◇ ◇


「あんな神官も居るんだな」


「そりゃそやろ。神官全員腐ってたら、信者共から苦情が来るやろうしな」


「おとうさん……おむねみてたっ」


「痛っ、悪かったってミルン。神官服でもあそこまでデカいと、ついつい見ちゃうんだよ」


「あのおむねを、もぐの!」

 

 にしてもさっきの神官。俺達を引き留めた理由が、御神託うんぬんって、何なんだ? いやっ、今気にする事でも無いか。


「それにしても……あれが大聖堂ねぇ。なんとも趣味の悪い、成金城じゃないか?」

 

 王都散策してる時も、遠くから日光フラッシュかまして来てたし、なんなんよアレ。


「なあリティナ。あれがアルテラ教の本拠地で、間違ってないんだよな? なんだか全く、大聖堂に見えないんだけど」


「そやろ。あの馬鹿みたいに光っとるのが、大聖堂であり、アルテラ教の本拠地や。無駄に信徒から、金毟っとるから、金だけはあんねん」


「……そんなの、良く放置してんなぁ」


 女王の職務怠慢か? それとも、アルテラ教と共謀して、贅沢三昧なのかね。

 まあ其れも、今日までだけどな。

 階段を上り、大聖堂全体を、その視界に収める事の出来る位置まで到着。


「流君……準備は良いかね」


「流にーちゃん。一発でかいの頼むで!」


「流さん、他の有象無象はお任せをぉ」


「おとうさん!」


 ミルンの尻尾が、忙しなく背中を叩く。

 鼻息も荒く、やる気満々だな。


「ミルンもっ、いっしょにたたかう!」


「ああ、一緒に頼むわ」

 

 直線上に、大聖堂の正面入口。

 デカくて派手な、門と言える程の扉だ。


「それじゃあ一丁、ぶっ潰しますかね」


 俺は集中する。

 先ずは何をしたいか。目の前の馬鹿みたいな建物を、粉微塵に消し去りたい。

 ならばどの様に。一撃でもって、塵も残さず、その全てを消し去る為に、ぶっ放す。

 燃料は怒り。只々、炉に薪を焚べるが如く燃え続ける、激しい怒り。

 息を大きく吸ってええええっ、叫ぶっ!!


 

「お前らがっ、俺を魔王と呼ぶのならっ! 魔王に手を出した事をっ、後悔しやがれ! 宣戦布告だこの馬鹿共がああああああ────っ!!」



 その魔法は、ミルンのボロ小屋を一瞬で塵に変えた魔法。範囲指定された場所へ、浄化の光を降らせ、対象を殲滅する属性魔法の最上位。



『神級魔法・ファイヤオブジャッジメント』



 大聖堂の上空に、小さな火の玉が見えた。俺は懐かしい気持ちで、ゆっくりとその火の玉に手を伸ばして握る。その瞬間────眼前の建物全体を覆うように、巨大な光の柱が降り立ち、轟音と共に大聖堂が光に呑まれて行く。


「……砂埃、ヤバくね?」


「おとうさんを、たてにする!」


「全員伏せるのであるっ!?」


「うひゃぁ……こんなんポッと打てるんかいな」


「リティナ様伏せてぇっ!!」




 粉塵が晴れ、埃まみれの砂だらけ。

 顔面砂人間です。

 面白く無い? さーせんっ。


「ぷっ、口に砂が……おおっ、見てみろ皆んな! 空がこんなにも、広く感じるぞ!」


 無駄な建物が無くなったから、何処までも広がる、晴れ渡る空が見える。

 電線や電柱なんて物も無いから、隣の王城が無ければ、もっと見晴らしは良いだろう。


「ぺっぺっ。流にーちゃん! 少しは考えて魔法打てや! ウチらも巻き込む気かいな!」


「おとうさん……ミルンのおいえ」


「凄いぞ流君! こんな魔法は見た事がない!」


「流さん……やっぱり魔王ですかぁ?」


 お掃除完了の余韻に浸っていたら、魔法の範囲外だった小さい教会から、神官達が慌てて出て来た。


『だっ、大聖堂が……我等の御神体が……』


『おおっ、アルテラ神よ!』


『何が起きた……大聖堂はどこに…?』


『どうなっておる! さっきの音は何だ!』

 

 ぞろぞろと、大聖堂を探している様だけど、現実を受け入れて下さい。

 タイミング的には、今だろうか?


「貴様らぁっ! 大聖堂を消したのは俺だ! お望み通りっ、魔王自ら来てやったぞ!!」


 呼ばれて飛び出て流です。

 おっさん共が、一斉にこっち見んなよ。そっちの女神官さんは、見ても良いぞ。


『魔王だと……』


『何故魔王がここにっ』


『大司教様は何処か!?』


『逃げなければっ』

 

 小声で言ってる様だけど、普通に聞こえてますからね? ヒソヒソするなら、もっと声量抑えなさいな。


「俺の望みはただ一つだ! 今直ぐにっ、大司教を連れて来い!!」


 大聖堂はぶっ潰したし、後は主犯を捕まえて、スラムに持って帰ってポイします。

 適当に放置してれば、そのまま引き摺り込まれて、自然消滅してくれるからな。


「逆らうのならっ、大聖堂と同じ末路を辿るぞ!!」


 殺しなんてしない。

 俺は優しいからな。禿げてない神官達の毛根を、根刮ぎ塵にしてやるだけだ。


「十秒以内に連れて来いっ! じゅうっ!」

 

『魔王なぞっ、嘘に決まっている』


『だがしかし、大聖堂が……』


「きゅうっ!」


『大司教様はどちらに!?』


『我等であやつめを滅するのだっ』


「はちっ!」


『待たれよ! そこの者話を聞け!』


『我等の御神体は何処にっ』


「ななっ!」


『どうすれば良いっ、どうすれば!?』


『どうせハッタリに決まっておるわ!』


「ろくっ!」

 

『我等で一斉にかかればっ』


『大聖堂を塵に変えた奴だぞ!?』


「なんか遅いから、さんっ、にっ、いちっ、時間切れじゃごらぁっ!!」


「「「理不尽だろっ!?」」」


 魔王なんだから、理不尽でしょ?

 理不尽に頭髪を毟って、理不尽に服を剥ぎ取り、理不尽に揉み揉みする。


「それじゃあ皆んな、殲滅しようか!」


「たまつぶす?」


「ふむ……弱そうな者達である」


「二、三人拷問したらええねん。大司教の居る場所なんて、ケロッと吐くやろ?」


「それじゃぁ、捕まえますねぇ」

 

 殲滅するのは、戦意の有る奴だけね。

 そう思いながら、一歩進んだ瞬間、神官達が跪き、レッツ土下座をかまして来やがった。


「「「大司教様の元へっ、ご案内致します!」」」


 ザルブって奴もそうだったけど、土下座をすれば、許して貰えるとでも思ってんのか?


『この背教者があああああっ! ぶふぅ!?』


 一人向かって来そうだったのに、痩せた神官服を着たおっさんが、ボディブローで止めやがった。仲間じゃないのかよ。

 ゆっくり歩いて来るけど、何というか、全体的に、信用ならない雰囲気の奴だな。


「見習いが失礼を致しました。ルトリアが、直ぐ逃げる様にと言っていた理由が、理解出来ました。まさか、魔王とは……」


「ルトリア…さっきの巨乳神官か。んで、俺が魔王ならどうするよ?」


「どうぞこちらへ。大司教様は、外へ出られぬお姿故、私めがご案内致します」


「出られない……病人か?」


 病人だったら、やり辛いなぁ。ベッドから無理矢理引き摺って、スラムへポイだなんて、流石の俺でも、良心が痛むぞ。


「たまつぶすっ」


 メリィッッッ────「あひゅっ!?」


「ミルンさんや……いつの間に下りてんの。そんな奴放っておいて、先行くぞーい」


「ちかづいたから、たまつぶすっ」


 グチィッッッ────「ぎゅふっ!?」


 うん。襲って来そうだった見習いを、立派な男の娘にしちゃってますね。まぁ……なんだ。ミルンに狙われたのが、運の尽きだわな。


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