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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界

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14話 誰の後悔後先立たず.4


 12/16 加筆修正致しました。


 

 時は少し遡り────闇ギルドから追い出されたザルブは、未だスラムの中にて、人集めをしていた。

 その理由は単純。

 闇ギルドに所属していない者達を集め、残された手段を、実行に移す為。


「最初からっ、こうしておれば良かったのだ」


 思いの外、人集めが上手く行った。ここ最近、外から来た者が増えたからだろう。話しかけ、内容を伝えたら、喜んで手伝うと言う者達ばかりであった。


「準備は良いであろうな」


『いつでも良いでさぁ』

『好きにしちまって、良いんですよね?』

『あそこの奴等は、大丈夫何ですかぃ?』


 このスラムにも、闇ギルドにも馴染めない、屑共が見る先に居る者達。


「奴等は構わん。役に立てば良いのだ」


『前金で金貨五枚たぁ、楽な仕事だな』

『ひひっ、楽しみだぁ』


 屑で救いようの無い者達では有るが、この者達ならば、魔王の相手に丁度良いわ。

 ザルブは一歩前に出て、声を荒げる。


「良いかっ! スラムの孤児院に居る、悪しき魔王を滅した暁には、更に金貨を倍支払う!」


『ほぉーっ、そいつは凄ぇや』

『餓鬼共居るなら、そいつらはどうすんで?』


「捕まえた獣共は好きにしろ! 殺そうが楽しもうがっ、一向に構わん! 奴隷として売るならば、売買の手配もしてやる!」


『マジですかいっ!』

『捕まえたら、俺らで飼おうぜ』

『毎日楽しめるなぁ、ひひっ』


 ザルブの前には、十名を超えるならず者達が、自らの武器を撫でながら、今か今かと脚を揺らす。

 魔王と言われる者の首一つで、金貨十枚の儲けであり、スラムであれば、数年は何をせずとも暮らせる大金。しかも、アルテラ教の神官がバックに付いて、捕まえた獣族を好き放題に出来ると言う、御墨付き。

 

「神の名の元に、穢らわしい獣ごとっ、魔王を滅するのだっ!! 行くぞっ!!」


「「「いやっはぁ──っ!!」」」


◇ ◇ ◇


 不穏な気配を、誰よりも先に察知したのは、ニアノールだった。孤児院の正面の鉄の扉が、壊された音が聞こえたからだ。


「どうしたんニア? 耳が忙しなく動いとるで」


「リティナ様、敵襲ですぅ。急ぎ子供達の所にぃ。私が出て、対処しますぅ」


「っ、マジかいな。分かった、気ぃ付けや」


「大丈夫ですよぉ」


 そう言うと、しなやかな動きで窓から飛び出し、直ぐ様正面広場へと向かった。

 

「あらぁ、扉は修理ですねぇ」


 正面広場に到着したニアノールは、ぐにゃりと曲がった鉄の扉を見て、溜息を吐く。

 武装した者達が、孤児院の敷地内に、脚を踏み入れているにも関わらず、扉の心配をする。


『なんだぁ? おい皆んなっ、見てみろよ! 獣風情が、メイド服なんか着てやがるぞ!』


『ぶっひゃっひゃっひゃ! 何だよそれっ、獣には似合わないっての』


『獣が服着てるって、変じゃねえか? 裸にひん剥いて、俺達で遊ぼうぜ』


『耳と尻尾切り取って、人種様にしてやるよ。あぁそれだと、耳が無くなるか?』


 雑音を無視して、人数を確認する。

 正面には四人のみ。感じた気配の数と合わず、感覚を研ぎ澄ませ、居場所を特定する。


「これは、裏手ですねぇ」


『無視してんじゃねぇよっ、この獣が!!』

『脚斬って遊んでやるよぉっ!』

『皮剥いで飾ってやるからなっ!!』

『耳と尻尾喰わせてやるぜぇっ!!』

 

 隙と思ったのか、族が一斉に襲い掛かる。

 ニアノールはそれを見て、溜息を吐きながら、上段からの剣撃を、剣の側面を叩き逸らし、相手の喉目掛けナイフを抜き一閃。喉を裂かれた男は、前のめりに倒れ、そのまま動かなくなった。


「先ずぅ、一人ですねぇ」


『っ、やってくれたなぁ──っ!!』

『玩具にしてやろうと思ったがっ、もう死ねやああああああ──っ!!』

『その耳切り落として泣けやゴラァっ!!』


 前から右から左からと、迫る凶器を冷静に観察して、右の突きを勢いを殺さず、そのまま脚を払い、左から耳を狙っていた男の腹部に、突き刺さる様に誘導。其れを見届ける事もせず、突き出した姿勢のままの男の背後に回り、ナイフで首を突き刺す。


「連携がぁ、お粗末ですねぇ」


『っ、糞がああああああ────っ!!』


 右斜めから振り下ろされた剣を、姿勢を低く捻り避けて、男の左足首を斬り、回り込む勢いそのままに、肩を突き刺す。


「あっぎゃあああ──っ!? 痛てぇっ、痛てぇよおおおおおおお────っ!!」


「次は、裏手ですねぇ。急がないとぉ」

 

 そう思い、移動しようとした瞬間────激しい音と共に孤児院が爆発し、火の手が上がっあた。


「っ、リティナ様!?」


 ニアノールは、裏手の族よりもと、リティナを救出する為、火の中へ飛び込んで行った。


◇ ◇ ◇


 孤児院の裏手で、ミウや他の子供達と薪割りをして、汗を流すヘラクレス。

 その顔は最早、孫大好き過ぎのお爺ちゃんの如く、緩み切った顔をしている。


「そうだ子供達。力を入れ過ぎず、斧の重さを利用して振り落とせば、身体に負担をかけず、この様に、ふんっ!!」


 パッコーンッ────「木材は簡単に、割れるのである。やって見よ」


「むりっ!」

「きんにくがほしいのっ!」

「そんなの可笑しいですよね?」

「ふんっ! ふんっ!」

「さすがわたしのそんちょっ」


 パッコーンッ────「ぼくはできましたああああああ──っ! すででかんたんっ!」


「モンゴリこわぃぃぃっ」

「怖っ、モンゴリ素手って怖っ」

「モンゴリさんっ、おのをつかいましょう!」


 どう見ても、筋肉で木を割ってますと言わんばかりの力の入れ方に、子供達は笑いながら、楽しくお手伝いをしていた。

 約一名、規格外が誕生しているが、ヘラクレスは一切気にしていない。

 

 そんな楽しい時間を過ごして居た時、ふと、何処からか荒々しい声が聞こえて直ぐ、否応無い殺気を放つ者が、近付いて来た。


「むっ、何者だ!!」


 ヘラクレスは声を上げる。

 そこへ、ゆっくりと姿を現したのは、ラクレル村から王都へと逃げた、村民。

 その手には、錆びた剣を握って、ヘラクレスをジッと見つめている。


「ヘラクレス様、何をなさっているのですか?」


 片腕を失った男が、問いかけて来た。


「なぜ、こんな獣風情と、一緒にいるのです?」


 その後から五人、武器を手に現れる。

 その者達の目は血走っており、どう見ても正気だとは思えない。


「物騒な物を仕舞うのだ。ここは王都の孤児院であるぞ……子供達が見ておる」


 何とか抑えようとするが、ジリジリとにじり寄る様に、村民達は近付いて来る。


「獣はっ、狩らなきゃですよね? ヘラクレスさまぁあああああ──っ!!」


「俺達を裏切ってっ、魔王に付いたのか!?」


「このっ、裏切り者!!」


「あの時、アンタが負けなきゃ、俺達はこんな苦労する事無かったんだっ!!」 


「獣を殺せっ! 皮を剥げっ! 一匹たりとも逃すなああああああ──っ!!」


「娘はなぁっ、目を焼かれたんだ!!」


「アルテラ教に栄光あれっ!!」


 その最後の言葉と共に、一斉に襲いかかって来た。


「チッ、子供達よ! 早く建物の中へ!」


 子供達を急ぎ、建物の中へ誘導するも、ミウが座ったまま、動けずにいた。


「まずは一匹いいいいいいいいい!!」


 そこへ迫る、一振りの刃。

 ミウの身体に、剣が振り下ろさる瞬間────「ぬぐぅうううう!?」ヘラクレスが、ミウ抱く様に庇い、その背で刃を受け止めた。


「そんちょっ!?」


「ぐぅぅぅっ、ふんっはあああ──っ!!」


 ヘラクレスはその痛みを無視して、在らん限りの力で腕を振り、刃を振り下ろした姿勢のままの男を吹っ飛ばす。

 十メートルは飛んだであろう男は、そのまま木に打ち付けられ、絶命した。


「そんちょっ、だいじょうぶ?」


 ミウは、ヘラクレスの背から溢れる血を見て、声を振るわせ、涙を流す。


「大丈夫であるぞ。こんなものっ、擦り傷にもならぬのである。ミウは怪我をしておらぬな?」


「してないっ」

 

「ならば良しっ」


 実際、スキルを使う余裕が無かった為、致命傷では無いが、それなりにダメージは負った。

 だがそれだけだ、それだけの事だと、自らに喝を入れ、他の村民を牽制しつつ、子供達に指示を出す。


「ミウ。皆んなと一緒に建物に入って、院長の所へ避難するのである」


「いやぁっ」


 首を横に振るミウ。そんなミウの頭に手をのせ、優しく撫でて、笑顔で伝える。


「私は大丈夫だから、他の子達と待っていて欲しいのである。大丈夫だっ、私は強いからな!」


 白い歯を見せ、力コブを作り、近づいて来たノーインへ、ミウを託す。


「そんちょっ! まわしてーっ、えがお!」


「ふんっ、笑顔っ!!」


 ミウが避難するのを、見届けたヘラクレスは、村民へ目を向ける。

 自らの過ちを、先導を、今更どうこう出来る筈も無いのは、理解していた。

 獣族を率先して殺して居たのは、ヘラクレスであり、村民達は、従って居ただけ。


「そうであるか……あの時の流君は、この様な気持ちだったのだな」


 会って少ししか、経っておらぬのに、ここの子供達は私に、懐いてくれている。

 獣族は臭いに敏感だ。

 私の手が、血に塗れている事を、分かっている筈なのに、それでも尚怖がる事無く、接してくれている。


「妻が生きておったら……狂わずに済んだのだろうか。血濡れた手にっ、ならずに済んだのであろうか……」


 ヘラクレスは、意思を固めた。


「例え、ラクレル村の村民達だったとしても」

 

 全身に力を込める。


「私の、愚かな行いの結果だとしても」


 子供達の前では見せられない、封印してきたスキルを放つ。


「子供達にっ、危害を加える事は許さん!!」


 ヘラクレス・ヴァントは高らかに叫ぶ。


「限界突破ああああああ────っ!!」


 着ていた服が弾け飛び、全身の筋肉が血管を浮かせながら、盛り上がる。

 それはさながらオーガの如し、異形。


「村民達よ……謝りはすまいっ!!」


 身長二メートル超えの、筋肉の塊が、村民達を完膚なきまでに、蹂躙して行った。




 呼吸を荒くしながら、疲れ切った顔で、ヘラクレスは血溜まりの中にいた。


 最早誰が誰の部分なのか、分からない程の肉片を見つめながら、服を着なければと、孤児院内へ入ろうとする。


 その時────「がっ!?」

 

 突然の爆発に、体が浮き上がり、そのまま吹き飛ばされた。


「ぬぅっ、何がっ……」


 すぐさま起き上がり、何が起きたのかを確認しようと顔を上げ、見たもの。

 真っ赤な炎が、孤児院を包み込んでいた。


「っ、子供達よおおおおおお──っ!!」


 ヘラクレスは全裸のまま、孤児院へと飛び込んで行った。





 加筆修正も、ようやくここまで進みました。

 どうもーっ! かみのみさきで御座います!

 五章を進めながら、一章を修正にて……多少、良くなってると思いたい今日この頃。

 お陰様で"異世界とは"は50000PV超えました!!

 有難い……が、まだまだ!!

 どうぞこれからも、読んでいって下さい!!

 評価、感想等々頂けましたら、モチベが爆上がりしますので、どうぞ宜しくお願い致します。



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