14話 誰の後悔後先立たず.3
12/16 加筆修正致しました。
王都繁華街で、ゆっくりと買い物を済ませた俺とミルンは、王都を見て周りつつ孤児院へ帰っている途中、広場があったので、試しに空間収納から木の板を出して、円盤に加工。ミルンと楽しく遊んでいた。
「ミルン、これは投げて遊ぶ物なんだ。試しに投げるから、ミルンも投げ返してくれな」
そう言って軽く投げると、ミルンが『まてーっ!』と全力で追いかけ、ジャンプして空中で口でキャッチ。それを咥えたまま、走って戻って来ます。
何かが違うと、木の円盤が、唾液でベタベタだけど、拭き拭きして考える。
「おとうさん! もういっかい! もういっかいやって!」
「あっ、ああ。もう一回な……よっ!」
今度は強めに投げるも、『わーいっ!』とミルンはそれを追いかけ、ジャンプして咥える。
その姿は、ケモ耳幼女が野生を取り返したかの如く……何だろうか。
尻尾を振り回し、木の円盤を咥えてはしゃぐ、ケモ耳幼女ミルン。
「まあ、可愛いから良いけども……何かやろうとしてた事と、違う気がする」
「おとうさん! もういっかい!」
それでも、もう一回を十回程おねだりされたら、やるしか無いだろう。
だって可愛い娘だもの!!
そんな時間を過ごしていたら、空が暗くなってきたので、ミルンを肩車セットオンして、ゆっくりと帰ります。
王都繁華街から、影さんに言われた道を辿って、スラムへ入り、ミルンのお鼻を頼りに、孤児院へと向かう。
「なんかくさい」
「スラムだからな。仕方無いぞ」
「ちがうの。やけたにおい?」
焼けた臭い?
ミルンの顔が向いている方へ、顔を向けると、遠くに火の手が上がっているのが見えた。
「火事か? こんな燃え易い物ばかりの場所だと
、危ないんじゃ……」
「あっち! みんながいるところにちかい!」
「っ、マジか!?」
何か……嫌な予感がする。ちょっと急ぐか。
「ミルンっ、降りてくれ! 走るぞ!」
「わかった!」
俺達は全力で地を蹴り、駆け出す。
「うぉっ、何コレ足軽っ!?」
「おとうさんはやい!」
ステータスを最近見てなかったけど、物凄く身体が軽く、ミルンには及ば無いが、ギリついて行けている。
ボロ屋を抜け、瓦礫の山を超え、ゴミ捨て場を過ぎた先。そこには……孤児院が、真っ赤に燃えていた。
なんだっ、なぜ孤児院が……皆んな!?
「おぉ──い! 誰かいないのかぁ──っ!!」
声を出し呼びかけるが、返答が無い。
皆んな避難したのか?
それならっ、一体どこに行った。
「おとうさんあっち!」
ミルンが何かを察知したのか、俺は端にあった小屋へ向かうと────「リティナ!?」
聖女リティナが、額に汗を流しながら、子供達に手を当て、治療を施していた。
「っ、何だこれ……」
子供達の火傷は、少しづつ治っているものの、リティナのスキルを持ってしても、一瞬で治療出来無い状態。
「あぁ……流にーちゃん」
こちらに気付いリティナが、顔を向けて来るが、眼が虚で、隈が出来ており、今にも倒れそうに程に、憔悴しきっている。
「何があった……影さんや他の皆んなは、どこに行ったんだ。ゆっくりで良い、話してくれ」
リティナはゆっくりと、だが、子供達からは手を離さずに答える。
「院長は火を消す為に、人を呼びに言っとる。ヘラクレスとニアは……っ」
「村長とニアノールさんがどうしたっ」
リティナの眼から、涙が落ち、治療している子供達の方に、目線を送る。
ノーイン、モスク、ラナス、ノリス、コルル、ラカス、モンゴリ君……っ、ケモ耳っ子が足り無い。
「ミウちゃんとメオは……どこに居る」
リティナは、ウチが居ながら、ウチが居ながらスマンと言い続け、声が震え、嗚咽をあげる。
「うゔっ、攫わてっしもたっ。ウチがっ居たのに! ヘラグレズっ、ニアが追いがけどるっ」
「攫われっ……っ」
俺はその言葉を聞き、一瞬にして怒りが沸点を超え、それを何とか抑え込んだ。
今、ミルンやリティナ。傷付いたケモ耳っ子達の前で、ぶち撒ける訳にいかない。
何とか心を落ち着かせ、先ずは出来る事をと、燃え盛る孤児院を前にする。
「おとうさんっ! ミルンもおてつだい!」
「お、そうか……有難うな、ミルン」
そう言って、俺の肩によじ登り、頭を撫でてくる。凄い落ち着くな……流石、癒しの天使ミルン。
「ふぅーっ、良しっ!」
ステータスのスキル欄、称号欄を確認。
====================
・基本魔法(一人暮らしのお供に)
小々波 流の固有魔法
全属性魔法中級まで使用可
使用回数制限無し
心の揺らぎにより範囲威力増減
INT 150より制御可
レベルアップ時INT成長を妨害
・半魔王
基本魔法制御解放
心の揺らぎにより範囲威力増減の効果を抑制
特定の魔物好感度上昇
レベルアップ時 INT成長を妨害
====================
この異世界に来て間も無い頃、水が飲みたいと切に願い、"ウォーター"と唱えたら"滝の様な水が降って来た。
豚野郎には、恐怖が優ってたのか、圧縮された水が噴射され、額を撃ち抜いた。
ミルンの小屋は、良く分からない内に、良く分からない魔法が発動して、粉微塵になった。
ラクレル村では、地球で見聞きしたゲームの魔法をイメージして、それが発動した。
野営地で、ミルン達を狙っていた奴等には、多少威力は落ちたが、制御してミディアムに出来た。
正門城壁の上で、門兵が使った魔法を、怒りに任せて詠唱したら、発動しかけた。
俺の固有魔法、"全属性中級"まで使用可。
今まで発動した魔法は、間違い無く、中級の範囲を超えている。
一体何と比較した、中級なのか。
これはこの際どうでも良い。
謂わゆる、意思と想像と感情の合致により、俺の固有魔法は発動する。なら、想像しろ……怒りを糧に、目の前の炎を消す為の魔法。
意思は十分。
想像するのは、大地を潤し、時に全てを流し去る、恵みの雨。
この怒りは、愛情の証だっ!!
「発動しろっ、『旱天慈雨!!』」
身体が熱くなり、俺のスキルや称号が、俺の想いに応じている事が分かる。その熱がゆっくりと消え去る瞬間、それは起こった。
晴れ渡った夕暮れ時の空に、突如として雲が発生し────ポッ、ポッ、ポッと、ゆっくりと雨が降り始め、瞬く間に大雨となり、燃え盛る孤児院の火を鎮めて行く。
それは、人の身で扱う事の出来無い魔法。
神級魔法の一つとされる、天候操作。
「なんやそれ。流にーちゃん、あんた……そんなん、あり得へんやろ……」
リティナは、雨が天井を打つ音を聴きながら思った。それは正に、『神の奇跡やんけ』と。
「……俺、びしょ濡れじゃん」
「あめっ、ひどいのぉぉぉっ!」
ピンポンパンポーン(上がり調)
レベルが1上がりました(神っ笑!)
ピンポンパンポーン(下がり調)




