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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界
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12話 誰の後悔後先立たず.6



 今、俺は目の前のケモ耳天使に涙している。


 服屋をミルンが見つけたので人の波をかき分けながら到着して入店。


「あらぁいらっしゃい、可愛い女の子だこと」


 凄い…美味しいクッキーを焼いてくれる絵に描いたようなお婆ちゃんだ!


「おようふくかいにきた!」


 ミルンがお婆ちゃんに尻尾をフリフリと近づいてお婆ちゃんは嫌がる素振りもなく自然にミルンの頭を撫でている。


「すみませんこんな汚い身なりで。俺と、ケモ耳幼…ミルンの服を買いたくて来ました」


 服屋に汚れは天敵にも関わらず笑顔を絶やさないお婆ちゃん…凄い良い人だ。


「大丈夫よぉ、見ての通りお客様が居なくって暇してたからねぇ。どれどれ、先ずはミルンちゃんの服を見繕いましょうかねぇ」


 口調はのんびりとしているが一瞬にしてミルンの採寸を済ませて服を選び出した…?


 今…動き見えなかったんですけど? 採寸終わり?

 俺は…はい大丈夫です自分で見ますから。


「ミルンちゃんに合いそうな服はこれかしらねぇ」

 

 そう言って山程ある中から何種類かの服を選び出し、テーブルの上に置いていく。


 プロの仕事だなぁ。

 そして始まる着せ替えミルンのオンリーファッションショー。


 お婆ちゃんの手により一瞬で着替えさせられる。


 先ずは、走り回る事を前提とした男の子用のズボンに穴を開け、可愛いミルンの尻尾が元々ここが定位置ですとばかりにフリフリしており、シャツは袖口がフワッ広がる作りにヒラヒラの布を折り込み女の子らしさも合わさってこれは有りです可愛いです。


 次に、これぞお嬢様といわしめるドレス。

 豪奢なドレスとは違い派手さは無いが、薄いピンクの布地に細かく模様が編み込まれた職人技、そしてバルーンの様にふわりとしたシルエットがミルンの可愛らしさと相まってこれは絶対に買う。


 最後に、普段着のワンピース。

 ワンピースと言えども侮るなかれ。

 一枚布を細断して縫い合わせ、裏地にも同様の処理をした布を使い軽やかな印象を与えつつ頑丈に縫い合わされた一品。


 そしてなにより…そしてなにより。

 ワンピースの背中の部分に天使の羽の装飾が施されておりミルンはケモ耳幼女からケモ耳天使へと進化してして俺は涙が止まらない。


「おまえさん大丈夫かぃ?」


 お婆ちゃんに心配されたが大丈夫です。


「おとうさん…ミルンにあってる?」


 首を傾げるケモ耳天使ミルンの愛らしさと可愛い服の力が合わさると俺の心が癒されて。


「うんうん、めっちゃ可愛い似合ってるよミルンよし全部買おうそうしよう幾らだお婆ちゃん!!」


 脳内がバグってくるよね。


「そうだねぇ…ドレスは高いけど大丈夫なのかぃ? ほぅ大丈夫、分かったよ。それじゃあ二百万ストールかねぇ」


 洋服三着で金貨二十枚…高い…けどお婆ちゃんに買うと言ったからな!


「それじゃあ金貨二十枚だな、ほいっと」

「有難うねぇ、それじゃあおまえさんの服はサービスしてやるから持ってお行き」


 やっぱりお婆ちゃんは優しいな…有難う。

 ミルンもお婆ちゃんの膝の上で丸まってるし、やっぱり雰囲気で分かるのかな?


 まあ…俺はコレとコレで良いかな。

 あとは。


「お婆ちゃん、なんか古着とかあるかな? あったらそれも買いたいんだけど?」


 そう言ってお婆ちゃんをみると指を刺してーーー


「あっちの山になってる奴なら持っておいき」 


ーーーと笑顔で言ってくれた。


 いや、無料はダメだって…良いのか。

 有難うお婆ちゃん、貰っていくね。


「それじゃあ、有難うなお婆ちゃん」

「おばあちゃんありがとー」


 俺とミルンはお婆ちゃんにお礼を言って服屋を出て行った。こっそりと金貨五枚をテーブルに置いて。


 良い人には良い行いをだな。

 ミルンもワンピースを着てご満悦だ。



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