13話 ミルンと楽しくお買い物.5
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ミルンの素晴らしい視力で、お洋服店を見つけ、人混み掻き分けよいしょと入店。
三十分程歩く距離を、良く見えるよなぁ。
「あらぁ、いらっしゃい。可愛い女の子ねぇ」
凄っ……こんな人がっ、本当に居ようとは。
見るからに、美味しいクッキーを焼いてくれそうな、絵に描いた様なお婆ちゃん。
ミルンは肩から下りて、鼻をスンスン?
「どうしたミルン?」
「おようふく、くださいな!」
もしかしてミルンは、その可愛いお鼻で、安全な人かどうかを判断してるのか?
「おようふくっ!」
お婆ちゃんに、尻尾をフリフリとミルンは近付いて行く。お婆ちゃんは嫌がる素振りもなく、ミルンが近くまで来たら、優しく頭を撫で始めた。
「ボソッ(こんな人も、居るんだな)」
冒険者ギルドの、ネリアニスさんもそうだけど、嬉しくなって来るじゃん。
「すみません、こんな汚い身なりで。俺とその子、娘のミルンの服を買いたくて……」
服屋に汚れは天敵にも関わらず、ミルンを撫でたまま、笑顔を絶やさないお婆ちゃん。
この笑顔は、本物だ。
本当に、良い人なんだな。
「大丈夫よぉ。見ての通り、暇な店だからねぇ」
見た感じ、この人が店主だろうか。
ゆっくりと椅子から立ち上がり、ミルンをジッと見つめて、何が始るの?
「どれどれ。先ずは、ミルンちゃんのお洋服を、見繕いましょうかねぇ」
口調はのんびりとしているのに、一瞬にしてミルンの採寸を済ませ、服を選び出した。
「何今の……残像?」
お婆ちゃんが、六人居ました。
しかも一人一人が、違う作業をしている様に見えたんだけど、何者ですか?
「可愛いミルンちゃんに、似合いそうな服は、これかしらねぇ」
「……プロの仕事だなぁ。すっげぇ」
テーブルの上には、既に何着かの服が並べられ、そして始まる、着せ替えミルンのオンリーファッションショー。
「腕を上げてねぇ」
「どうぞ!」
残像お婆ちゃん達の手により、ボロ着だったミルンが、一瞬で変身しました。
「……残像増えてね?」
先ずは、ボーイッシュミルン。
男の子用のズボンに穴を開け、ミルンの尻尾が振り振りと、自由に回転出来る仕様。
フワッ広がるシャツの袖口には、ヒラヒラの布を折り込まれ、可愛いミルンが更に可愛くなりました。
「うごきやすいのっ」
「走り回っても、これなら邪魔にならないな」
次は、お姫様風ミルン。
これぞお姫様と言える、見事なドレス。
薄いピンクの布地には、細かい模様が編み込まれ、胸元には可愛いリボンが付いている。
腰からフワリと広がるそのスカートは、薄い布地が、緩やかな波を描いて、ミルンを優しく包んでいるかの様だ。
「ふわふわぁ」
「ボソッ(ミルンって、ガチお姫様なんだよなぁ)」
最後に、ワンピース姿のミルン。
ワンピースと言えども侮るなかれ。
一枚布を細断して縫い合わせ、裏地にも同様の布を使い、軽やかな印象を与えつつも、耐久性と実用性を兼ね備えた、見事なお洋服。
そして、なにより……なによりだ。
ワンピースの背中の部分に、天使の羽の装飾が施されており、ケモ耳幼女の天使がっ、御降臨なされましたっ!!
「かっっっ、可愛いっっっ」
「おとうさん。ミルン、にあってる?」
「似合ってるよミルンっ!!」
首を傾げるケモ耳天使ミルンの愛らしさと、可愛いお洋服の力が合わさればっ、俺はもう満足なんです全部買おうっ!!
「お婆ちゃん……全部下さいっ!!」
脳内がバグってくるよね。
でもね、これは仕方無いと思うんだ。ミルンが可愛い過ぎるもの。
「そうだねぇ……ドレスは少しだけ高いけど、お金は大丈夫なのかい?」
「大丈夫ですっ!!」
「凄い笑顔だねぇ。それじゃあ少しオマケして、二百万ストールかねぇ」
洋服三着で金貨二十枚。
オマケしてその値段っ、だけど、可愛いミルンを毎日見れるのなら、安いもんだ。
「金貨二十枚だな……丁度出すよ」
「有難うねぇ。それじゃあ、お前さんの服は、サービスしてやるから、持ってお行き」
「俺の服忘れてたな……良いんですか?」
「構わないよ。持ってお行き」
やっぱりお婆ちゃんは、優しいな。
ミルンも、お婆ちゃんの膝の上で、丸まってるし。やっぱり雰囲気で分かるのかな?
「んじゃっ、俺はコレとコレで良いかな」
あとは、あの子達の分か。
新品だと、気を遣いそうだから、綺麗な古着が有れば良いんだけど。
「お婆ちゃん。ここって、古着とかあるかな。あったらそれも、買いたいんだけど」
そうお婆ちゃんに聞いてみると、『あっちの山になってる物を、持ってお行き』と、笑顔で言ってくれた。
「あれって、どう見ても新品でしょ?」
「良いのよぁ。売れ残って、ずっと置いたままだからねぇ。持ってお行きなさいな」
「っ……有難うお婆ちゃん」
ミルンが尻尾をピンッとしたな。良い買い物したし、そろそろ行くか。
「それじゃあ……お婆ちゃん、また来るよ」
「んしょっ、ありがとうございます!」
「構わないよぉ。またおいでねぇ」
俺とミルンは、再度お婆ちゃんにお礼を言って、服屋を後にした。
勿論、金貨五枚をテーブルに置いてな。
お婆ちゃんは気付いてた様だけど、良い人には良い行いで返さなきゃ。
ミルンも、ワンピースを着てご満悦だ。
「ふりふりなのっ!」
「気に入った様で、何よりだよ」




