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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界
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12話 誰の後悔後先立たず.3



 と言うわけで来ました王都の中心、いわゆる繁華街。


 人の往来が激しく、下手をしたら大人の迷子一直線と言う嫌な称号が付きそうなくらい人が多いな。

 朝ご飯食べた後に影さんに観光して来ると伝えたら、問題無いとの事。但し、鉄の扉を出てからのスラムを出る道を間違えたら二度と戻って来れないと言われ、護身用に剣を持たされてって何それ物騒すぎるわ!?


 ミルンも来るかと聞くとーーー


「おとうさんとおでかけぜったいにいく!!」


ーーーと尻尾の振れが全力ですね、一緒に行くか。


 そしてミルンに渡された護身用の武器が…うん、懐かしの豚野郎の斧ですね。


 これが護身用かぁ…違うだろ。間違い無く戦闘用だろ。ミルンが全力で振り回している姿を見るとやっぱり股下が縮むっ。


「武器借りるよ、有難う影さん。あと、この石って売れたりするのか?」


 俺は空間収納にずっと眠っていたハイオークの魔石を取り出して影さんに見せると、凄い眼で石を見つめている。

 何か、ガン見しているというか。


「流さん、この魔石はどこで…いえ、失礼しました。

はい、希少なハイオークの魔石でこれ程の大きさならば高く売れるとは思います。売るのでしたら冒険者ギルドで相談した方が宜しいかと」


 リスタとアジュも冒険者ですので何かあれば名前をだせば良いと言われ、お礼を言う。


 ミルンを肩に乗せていざ観光へ、出発っ…斧…重いね…ミルンや歩きませ…嫌? 俺の脚よ、頑張ってくれ。


            ※


「おとうさん! ここっていっぱい、いいにおいする!」


 俺に肩車されながら鼻をスンスンして尻尾を振るミルンであるが、御免な。先にお金を作らないと食べ物見ても、生殺しの刑にしかならないからね。


 先ずは石ころを売らねば。


 そんなこんなで、さあ到着しました冒険者ギルド!

 木造ではあるが壁や柱は太く、三階建で窓が少なくて見た目は地味オブ地味だな。


 入りますかね。

 良く聞く話だと、冒険者になりたいって子供が入ったら絡まれてボコられて裏路地に棄てられると言うのが定番であるが…ここは王都。ヒャッハー金目の物を寄越せだの、何見とるんじゃワレェ躾してやるぜ、みたいな奴らは居ないと信じたいがどうかな。


 お邪魔しますよーと扉を開け中に入る。


 これが冒険者ギルド…なのか?


 長いテーブルカウンターに十席の椅子。

 席毎に仕切り版が設置されて隣の席の様子を見る事が出来ず、応対しているのは全員美人女性スタッフのみ。


 待合席が二十席用意され、そこには大人しく順番待ちをしている冒険者達が座っている。

 誰一人口を開く事なくただ座っている。


「次の方どうぞー」


 女性スタッフが言うと前列右側の席に居た男性冒険者が皮袋を手にゆっくりとカウンターへ向かい、待っている他の冒険者が前列から右にずれて座り直し、ずっと無言…なぜに。


 御役所か…?

 いや、御役所なら男性スタッフもいるだろうし、病院の待合所か…? うん、職業紹介所もこんなんか。はっきり言おう、とにかく暗いし入りたく無い。でもお金は欲しい。


「おとうさん、みんなくらいね」

「ミルンや、暇だと思うけど少し大人しくな」

 

 ミルンは俺に敬礼をしつつ建物内を観察。

 俺は後列の左側に座りゆっくりと待つしかなかった。右にずれて座り、そうしていたらカウンターから怒声が…なんだ?


「だから冒険者を向かわせろ! これは教会からの命令だぞ分かっているのか!」


 あーあれだ、自分の都合だけ相手に押し付けようとして断られたパターンだな。よいしょとずれて座り。


「ですから、その根拠をお示し下さい。その様な妄言で冒険者を出し、しかも犯罪混じりの事をさせようとなさるとは当ギルドとしてもお受けする訳には参りません」


 受付の女性カッコ良いな!

 すげぇストレートに拒否ってる!


「貴様っ、教会に逆らってどうなるか分かっているのだろうな!?」


 あーあ、とうとう脅迫紛いの事言い出したよ。

 右ずれてと。


「当ギルドは各国家に点在し、各国家の王、首領に認められ、どの国にも所属しておりません。だからこその中立の立場でございます。それ故に冒険者。今の言葉、教会へ異議申し立てを行いますので予めお伝えいたします。では、お帰り下さい。」


 成程ねーそれ故に冒険者か…良い言葉だね。

 右にずりずりと。


「糞っこんな場所に何故私がっ!」


 席を立ってぶつぶつ言いながら出ていく男…いや、おっさんか。何かどこかで見た様な…気のせいだな。


「暇だなぁミルンさんや」

「このひとかみのけない…なんで?」


 かみのけ?

 んっと見ると右隣のスキンヘッドの頭をペシペシと平手していますよ…駄目だって!?


 えっ音が良いって?

 駄目! すみませんすみませんウチのミルンが大変失礼な事をして!!


「いや、いいぜ兄ちゃん。儂ゃこんな見た目じゃけぇ子供から逃げられるけぇの、めずらいし体験じゃわい」


 ヤクザ…? 顔恐っヤバい人じゃないですか!?

 でも、思ってたより優しい?

 ミルンもうペシペシしないで、ヤクザのおっちゃんも笑顔が笑顔に見えないからね!?


「次の方どうぞー」

「おっ儂かぁ、じゃあな兄ちゃん。獣族のお嬢ちゃんもな」


 たっ助かった…あれで冒険者なの?



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