13話 ミルンと楽しくお買い物.1
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何だろう、腕が動かない。
昨日、お肉祭りが終わって、ケモ耳達と一緒に、ふわふわ抱き枕状態で寝た筈。
脚は……動くな。
この頭の感触は、誰かの尻尾か?
俺は、朝日に目をしばしばさせながら、ゆっくりと目を開け、両腕を確認。
あっ、これやばい。
「寝てんのにっ、どうやって腕ひしぎ十字固め両腕バージョンやってんのっ!?」
右腕にミルン、左腕にモンゴリ君と言う、馬鹿力満点の二人にっ、キメられるっ!?
「起きろ二人共っ、その手を離せあああああああああああああああああ────っっっ!?」
朝からポキッと両腕粉砕 ♪
眠気も吹っ飛ぶ、最高の目覚めだよねっ!
「腕っ、折れてっ、まだ離さないとかっっっ」
「ふわぁ──っ、おはよ流にーちゃん。何や朝から叫んで、元気いいなぁ」
「丁度良いところにっ、リティナ助けて!!」
「ミルンが幸せそうに寝とるから、別にそのままでええんとちゃうの?」
うん。ミルンが幸せに寝るのは、良いんだけど、俺の腕が粉砕骨折してるからね? このまま放置しやがったら、俺の尻を拭かせる係に任命するから、覚悟しておけよ?
「睨むなや。腕の一本や二本もげても、千切れても、ウチがパパッと治したるさかい、ゆっくり寝させてあげーや」
この聖女っ、本気で言ってやがる。
マジで尻拭かせるぞ。
いやっ、ここで高圧的にでたらっ、この腕を治して貰えなくなるっ、糞っ!!
「聖女リティナオルカス様っ! 何卒っ、この愚かな男をお助け下さいませんと本気で下の世話させるぞゴラァっ!!」
「怖いわっ!?」
「それならっ、フルネーム様付けで呼び続けてっ、往来で土下座しまくってやる!!」
「エグい嫌がらせやなぁ……分かった、助けたるわ面倒くさいなぁ。流にーちゃん性格悪いで」
それはお前だよ。
こちとら尿路結石の痛みの経験が無かったら、両腕の痛みでギャン泣きですから。
「早よ治してっ……何息吸ってんの?」
「すうぅぅぅっ、ニアが起こしにきおったぞ──っ!! 皆んな早よ起きろおおお──っ!!」
その瞬間、部屋の中で嵐が巻き起こった。
今まですやすやと、寝ていたケモ耳っ子達の眼が、これでもかと見開き、我先にと身体を起こし、直ぐ様柔軟体操。
すかさず、体操選手ばりに飛び上がって、敷いていた毛布を掴み、宙に浮いたまま折り畳んたんで丸め、着地と同時に重ね置き。
全員整列して、リティナの前に立った。
「「「おはようございます!!」」」
「おはようさん。次は、朝の掃除やで」
「「「わかりました!!」」」
ニアノールさんは、ガチで恐怖の対象であり、逆らったらいけない存在なんだね。
モンゴリ君離れたし、左腕がぷらぷらしてて動かないんだけど、ミルンさんは、未だお休み夢の中……右腕、紫色になってね?
このままだと、普通に壊死しそう。
「ミルンさんやぁっ、起きてくれえっ」
もうそろそろ、痛みでギャン泣きしちゃうかも知れないから、離してプリーズっ!!
「朝から……酷い目に遭ったなぁ」
「おとうさん、ごめんなさい」
尻尾をシュンッとさせながら、俺の隣で下を向くミルンが、物凄く可愛いんです。
頭を撫で撫でして、癒しを吸収します。
「大丈夫だよミルン。リティナがほぃっと治してくれたし、寝てたんだから、仕方無いさ」
俺の腕が逝っちゃって、ぷらぷらさせていたら、リティナがほぃっと触るだけで、元通り。
何だよほぃって、気軽すぎるだろ。
それでも両腕は治ったし、だからこそこうして、厨房で朝御飯を調理中。
「きょうのあさごはんは、なんですか!」
ミルンが元気を取り戻し、俺の手元を覗き込む様にして見てくる。
昨日あれだけ食べたのに、お腹が空いて待ち切れない様子だけど、消化能力高くて、羨ましいです。
「ふふふっ。今日の朝ご飯は、昨日の残りモノのお肉を、葉野菜でグルッと丸めた、ヘルシー肉巻きだ!」
小麦粉と水と塩少々、何かの卵を練り込み、練り込み、練り込み、薄く伸ばしてから、しっかり焼きます。
茹でた葉野菜と、塩味の焼肉を丸め込んで、あっと言う間に朝御飯完成。
ミルンの眼が恐い……獲物を狙う目じゃん。
「ミルン。少しだけ、味見してみるか?」
「いただきます!」
「即返答ミルンさん流石っす」
やっぱり調味料が少ない。
基本調味料の、さしすせその内、見た事あるのは塩と、村長宅の香辛料だけだ。
特に、醤油と味噌が欲しい。
トマトの様な野菜を、ソースにするのには時間がかかるし、王都観光がてら、見てみるか。
「ボソッ(お金か……)」
「モゴモゴっ! とってもおいしい!」
ミルンが俺を見上げて、満面の笑みで感想を述べるが、俺は味に納得してないからね。
何とかして、探さないとなぁ、調味料。
「んじゃっ、どんどん作っていくぞ」
「ミルンもっとたべたい!」
胃袋強すぎるだろ、ケモ耳幼女ミルンさん。
ミルンがモゴモゴと、口を動かしていると、リティナが顔を覗かせて来た。
「おっ、リティナじゃん。腕有難うな」
「流にーちゃんが、朝ご飯作ってるんか?」
「悪いか?」
「悪い訳無いやん。流にーちゃんの料理の腕やったら、昨日見せてもろたしな」
昨日の料理は、ただ焼くだけだからな。
本当なら、仕込みを完璧にして、更に美味しいお肉を提供出来るんだ。
「まぁ追々だな。ケモ耳っ子達呼んでくれ。もう直ぐ朝御飯出来るからさ」
「大丈夫や。匂いで直ぐ来おるから」
リティナがそう言うと、孤児院全体を揺らす様な、走る音が近付いて来る。
「きんにくちゅけるにはっ、ごはんなの!」
「朝から動いたので、お腹ぺこぺこですね」
「おはよーっ、ながれ!」
「おはよぅ…ございま…す」
「ラナスっ、あさはげんきよくだよ! おはようございます流さん!」
「コカトリスのおにく?」
「おはよう流さん。モネギは入ってないですよね? あれ食べると痒くなるので」
腹ペコ達がぞろぞろと入って来る。
昨日あれだけ食べたのに、胃もたれ腹痛一切無しの、羨ましい胃腸だ。
「メオ、ノーイン、モスク、ラナス、ノリス、コルル、ラカス。おはようさん」
「「「おはようございます!」」」
「朝から大合唱……もう少しで、皆んなの分作り終わるから、座って待っててくれ」
「「「はいっ!!」」」
ここは軍隊だろうか。
ニアノールさんと、モンゴリ君が居ない? そう思っていたら、影さんがゆっくりと、歩いて来た。
「すみません流さん。いつもは、私が作っているのですが……っ、調子が悪く……」
「良いよ影さん。偶にはゆっくりして、起きても良いんじゃないか?」
お腹を押さえて、顔面蒼白。
異世界に胃薬って、無いのだろうか。
「おはよう流君」
「おはよ……」
村長とミウちゃんも来たな。
何か既に肩車してるし……えっ、いつもの俺達と変わらないって?
それはそうだ、ミルンは可愛いもの。
「ニアノールさんと、モンゴリ君はどうした?」
「流君の腕を折ったであろう。ニアノール殿が、モンゴリ君を説教しておったぞ。しかし……モンゴリ君はやけに、嬉しそうであったな?」
「……そうか」
モンゴリ君にとって、朝のご褒美時間となってしまった様で。覚醒者、恐るべし。
「本当に駄目ですよぉ。流さんにちゃんとぉ、謝りなさいねぇ。分かりましたかモンゴリ君?」
「ぜんぜんっ、わかりましぇ──っん!」
二人が来たな。
モンゴリ君よ、凄い笑顔だけど、やり過ぎると、昨日の薄切りお肉みたいになるぞ。
「皆んな揃ったし、朝ご飯食べようか。並べておくれミルンさんや」
「おてつだいっ!」
ミルンがお皿を並べて、準備完了だ。
「それじゃあ皆んな一緒に──っ」
「いただきます」
「おにくすくない……」
「「「いただきます!」」」
ミルンさんや、さっき食べたでしょ。




