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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女の居る世界

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14話 ここがオアシスパラダイス.3


 2026/06/28 改稿


 という事で、お料理のお時間です。

 村長からの贈り物と銘打った、大量の食材を、孤児院地下の食糧庫に置いたら、そのまま調理場へと直行。


「うしっ、最高の焼肉にしてやるせ」

 

 野菜屑のスープに、豆、芋、屑肉といった、精進料理的なモノだと、駆け回ってお腹を空かせた、ケモ耳っ子達じゃあ足りなさ過ぎる。


「凝った料理は、時間がないからなぁ」

 

 早く作らないと、お腹をグーッと空かせたケモ耳っ子達が、待っているからね。


「ミルンっ、お仕事だ。リティナとニアノールさんを、呼んできてくれ」


「畏まりっ!」


「村長はケモ耳っ子達に、今出してるご飯を食べ終わっても、そのまま待つよう伝えてくれ」


「分かったのである」


「影さん。鉄板に火を付けたら、そのまま俺と一緒に、肉を焼きまくるぞ」


「分かりました。直ぐに準備を致します」


 巨大な肉の塊を、ドンッ──と調理台に乗せて、意識を集中し、息を整え喝を入れる。


「皆んな……やるぞっ! 戦いの──っ、始まりだあああああああああ────っ!!」


 全員が一斉に──動き出した。


 院長影さんはすかさず、鉄板を出して着火。俺はその鉄板に油を挽き、肉に塩を塗りこんで、簡単な味付けをすませる。


「リティナっ、ニアノールっ!」


 ミルンは風の如き速さで、リティナとニアノールさんの確保に動き、村長は、ケモ耳っ子達の相手をする為、食堂へと向かう。


「良い感じに、油が跳ねて来たぜぇぇぇ。パチパチと、良い音がしてきやがる」


 鉄板が熱くなる前に、肉の塊を、ナイフで薄くスライスして、早めに焼けるように工夫。


「さあ肉よ……お前の出番だっ、焼かれろやあああああああああ──っ!!」


 ジュウウウッ──と肉の焼ける匂いと、煙が立ち込める中、焼き加減をしくじらないよう、肉からは目を離さない。焦げて終わりなんて、素人丸出しだからな。


「塩タン並みに薄いから、直ぐ焼けるぜ」


 肉を焼きながら、追加の分を更に切り分け、「焼き焼き、切り切り」とぶつぶつ言いながら、肉と向き合う事数分。

 

「よっしゃ、先ず一皿完成だっ!」


「流さん。私は何を、致しましょうか」


「えっと……何してんの?」


 元暗部の長だろうに、院長影さんがそわそわと、調理場内を行ったり来たり。少しだけ面白い光景だが、正直に言うと邪魔です。

 

「院長影さん……その皿持って行くついでに、そのままケモ耳っ子達と、食べちゃっててくれ」


「……分かりました。お力になれず、申し訳御座いません。お先に頂きます」


「はいよ。追加で山ほど持って行くから、食べ切れない分は、そのまま置いといてくれよ」


 スッと足音なく、院長影さんが行ってしまった。そこだけは、暗部っぽさを感じるなぁ。


「うしっ、焼いて焼いて、焼きまくってやるっ」


 ブロック肉に塩を塗り込み、スライスして、それを焼き、皿に乗せ、塩を塗り込みスライスして、焼き焼き……終わらない作業だ。


「お父さん、呼んで来たよっ!」


「なんやぁ、良い匂いするやん」


「どうしたんですかぁ? あっ、お肉ですぅ」


 キタ────ッ!!

 猫耳メイドのニアノールさんは、ナイフを使うのが上手いから、肉切り要員だ。残念聖女のリティナは、配膳要員だろうな。


「ニアノールさんは、このブロック肉を、こんな感じに薄く、スライスして下さい」


「すら……いすぅ? 切れば良いんですねぇ」


「リティナはそこの、焼き上がった皿を持って行って、空いた皿を持って来てくれ」


「何であんた、ニアにはお願い口調で、ウチには命令口調やねん……納得いかんわぁ」


 それはね、お前の実家とはいえ、下着姿のまま調理場に来るという、残念聖女だからだぞ? なんて、口にする訳がない。


「ミルンは、皆とお肉を食べててくれ。二人を呼んで来てくれて、有り難う御座います」


「分かったのっ! お肉うううううう──っ!」


 涎を垂らした、犬耳ミルンが来たのなら、肉を消費するスピードが、桁違いに早くなるぞ。

 小さい体なのに、大喰らいだからなぁ。


「……うしっ、作業の効率化だ」


「この肉を、薄切りですねぇ」


「そうそう、その肉をっ……?」


 ニアノールさんが、「えぃっ」と肉を空中に放り投げ、あっという間に薄切りスライス。


「うん……っ、恐っ!?」


「何がですかぁ?」


「いや、何でもない。そにある肉を全部、頼み……お願いしても宜しいでしょうか?」


「何で口調を、変えるんですかぁ?」


 それはね、猫耳メイドが恐ろしいからだよ。

 そうして延々と、三皿目、四皿目、五皿目、六皿目、七皿目、八皿目、九皿目と、無心で肉を焼き続ける。


「あはははっ! 社畜の経験なめんなよぉい!」


 単純作業なんて、社畜を経験していれば、一日二日は超余裕──そして気付けば、五十九皿目を焼き終えました。


「あとっ、一皿で……六十皿だよぉぉぉっ」


 前言撤回。元社畜でも、焼く作業をここまで続けると、普通に疲れます。顔が脂塗れで、お肌だけは、元気なんだけどさ。


「流君っ、もう焼かなくて良いぞ。子供達全員が、満足そうに腹をさすっておる」


「えっ、村長なに言ってんの? もう終わりって……あと一皿は? 六十皿目は?」


 村長が調理場へ来て、凄い笑顔で伝えに来てくれたんだけど、ちょっとだけ待って欲しい。


「何を言っておるのだ?」


「いや、あと一皿でっ、六十皿目なんだっ!」


「だから、何を言っておるのだっ!」


 村長には、この気持ちは伝わらないのか。キリが悪いと、なーんか気持ち悪いんだよなぁ。

 

「あんたら、何やってん……ウチも腹減ってしゃーないから、今から少し焼いて、ウチらで食べたら……六十皿やん」


「私も疲れましたぁ……ご飯食べたいですぅ」

 

「……あっ」


 俺、リティナ、ニアノールさんは、お肉をまだ、食べていませんでした……焼くのに必死過ぎて、忘れていたな。


「それならっ、直ぐ焼くから、二人共待っててくれ。勿論俺も食べるぞっ! 疲れたからな! 村長も、食べるよな?」


「勿論である。ミウとメオに、食べさせていたのでな。正直私も、腹が減ったのであるぞ」


「はいよっと」


 肉を焼き焼き、四人で十皿食べました。一皿の量が、そこそこ多いからね。んで……食べ終わってから気付いたの。


「あと一皿でっ、七十皿だったのに……」


 俺も腹一杯で、もう食べれません。

 あと片付けをして、ケモ耳っ子達の様子を見に行くと、全員へそ天をかましていた。まん丸お腹をポンポンと、ご満悦なようで、作った甲斐があるというものだ。


「お疲れ様です、流さん」


「いやいや、この光景を見たら、疲れなんて吹っ飛んだぞ。院長影さんは、ちゃんと肉を食べれたのか? 足りなかったら焼くけど?」


「心遣い、感謝申し上げます。しっかりと頂きましたので、ご安心を」


 そりゃあ何よりだわ。この影さん、美人エルフなのは、間違いないけど、若干痩せ過ぎな気もするし、心配だったんだよ。


「丁度良いですね……皆さん。今日食べたお肉は、こちらに居られる、ラクレル村の村長、ヘラクレス様から、頂いた物です」


 院長影さんが急に、何か始めたぞ。


「調理をして下さったのは、こちらの流さんですので、このお二方にしっかりと、御礼の言葉を伝えましょう」


 凄い……その院長影さんの言葉で、寝転がっていたケモ耳っ子達が、一斉に腰を上げたぞ。


「ヘラクレス様、流さん。貴重な食材を頂きまして、誠に──有り難う御座います」


「「「ごちそうさまでしたっ!!」」」


「うっ、うむ……凄い声量であるな」


「くくっ、村長がたじろぐとか、笑えるわ」


 俺は、ケモ耳っ子達に混ざって、お腹をパンパンに膨らませてる、ミルンを見て、やって良かったと、心から思えた。

 ケモ耳っ子達は、お腹いっぱいで幸せ。

 俺的には、その姿を見れて幸せ。


「ケモ耳の楽園……だな」


 お腹を膨らませた、ケモ耳っ子達は、皆んな眠たそうに目を擦り、欠伸をして、物凄く可愛いしモフモフしたい。しかし、そのままお眠になる前に、とても大切な事を、聞いておかなければならない。


「今更なんだけど、寝る前に一つだけ。ケモ耳っ子達の名前を、教えてくれ。俺は──小々波流だ。今後とも宜しくな」

 

 そう、ケモ耳っ子達に、自己紹介をしていなったんだ。それをしないまま、全力で遊んでいたんだ……これだと、大人失格だぞ。そう思ってたら、一番小さいケモ耳っ子が、元気よく応えてくれた。


「はいっ! わたちからっ! わたちは"めお"なの。よんさぃになるわ。よろちくね、ながれ」


「メオちゃんだな」


 ミルンよりも小さいけど、その瞳に宿る力強さときたら、正に生命力の塊。ハムスターのような、ふわふわの耳と尻尾で、身体もちょっと真ん丸としている、もち肌ケモ耳幼女だ。


「先を越されましたね。ボクはノーイン。十二歳になります。この子達の、兄代わりをしている者です。宜しくお願いします、流さん」


「おおっ……ちゃんとしている。ノーイン君か」


 狐目に狐耳、狐尻尾で立派なもふもふ。その理知的な顔立ちに、見た目を裏切らない、大人びた口調。ケモ狐だけに、頭が良いのか。


「つぎはおれだっ! おれはモスクっ! はっさいだぞ! あのにくうまかったっ! ありがとなっ! ながれっ!」


「鬼っぽい角だ……モスクだな」


 言葉使いは雑だけど、あの村長の股間を、もう少しで潰せてた角っ子だ。ちゃんとお礼が言える、鬼っ子だな。


「わたしは……ラナスですぅ。ごさいっ……よろしくっ、おねがいしますぅ」


「くっ、暗い……ラナス」

 

 暗いながらも、村長と一緒になって、筋肉マッスルを、頑張っていた子だ。肌が少し浅黒いし、俺的には、これぞ魔人って感じの見た目。根暗可愛いって、不思議な子だなぁ。


「ノリスです。ろくさいになりますっ。よろしくおねがいっ、いたしますっ!」


「ノーインの……弟? ノリスか」


 ケモ狐のノーインを小さくして、ケモ耳をなくしたような感じの子だ。人間だけど、本当の弟みたいに、可愛がられてるし、今後、こう言った偏見を持たない子が、増えると良いな。


「コルルです。よんさいになりますっ! しにたくないのでっ、たべないでくださいっ! おねがいしますーっ!」


「天使の羽根が、凄い震えて……コルルか」


 天使の羽根で連想されるのは、御使なんだけど、あの糞リシュエルの、関係者じゃあないだろうな……取り敢えず羽根をモフモフ……っ、めっちゃ肌触り良いっ! 何この天使の羽根っ!


「ラカスです。十歳になります。趣味は人の物を隠したり、壁で爪研ぎっ!? 悪い事しません悪い事しませんっ!!」


「猫耳猫尻尾の、ラカスか……」


 ニアノールさんが、柱の影から……ラカスをジッと、見つめてるんです。それを見たラカスが、異様に怯えている。同じ種族っぽい二人だけど、猫なだけあって、上下関係でもあるの?


「うしっ……これで、自己紹介は終わりだな。そんじゃあ皆、これからも宜しくな」


「ぼくは、モンゴリといいますううう──っ!」


 覚醒者が、食い気味にきちゃったよ。せっかくこのまま、自然にフェードアウトしようとしてたのに、駄目だったか。


「ろくさいにっ、なりまあああ──っす!」


 元気いっぱいテンション爆上げ。何なのこの子? また若干、オーラを放ち始めたんだけど……人間だよね?


「しゅみはっ、からだをいためつけられることと、つめたいめでぇぇぇっ、みられることおおお──っ! ……ですね」


「情緒どうなってんの?」


 急にテンション下げるなよ、恐いから。

 人に見えるんだけど、異世界の人って、オーラを放てるの? それに、六歳に見えない程の筋肉だし、一瞬だけど、あの筋肉村長を、羽交締めにしてたよな。


「モンゴリ君……人?」


「わかりませええええええ────んっ!」


 人かどうか分からない? そうか……分からないのなら、仕方がない。


「モンゴリ君も……宜しくな」


 自己紹介も済んだ事だし、ミルンを寝かそうと、寝転がってるミルンを見たら……寝転がってるんじゃなくて、動けないのか。


「ミルンさんや……寝る時間だよーい」


「ぬぅぅぅ……っ、ふぬぅぅぅっ」


 おっ、動いた……何それ、匍匐前進? いつもの軽やかさは、一体何処に行ったのかと思う程、動きが遅い。俺の足首を掴み、登ろうとするも、動きが止まった。


「……どうしたミルン?」


「お父さんっ、お腹がいっぱいっ、登れないっ」


「ここで一句……じゃないよな?」


 俺の足首を掴み、必死に体を起こそうとしているけど、重量過多により、行動不能。こんなミルンは初めてで、物凄く新鮮だなぁ。


「それじゃあ、肩車じゃなくて、お姫様抱っこだな。失礼しますよい」


 小さいミルンなんて、軽い軽い。斧も持ってないし、今なら楽勝で持てるわ。


「そんじゃ、よいしょっ────っ、重っ!?」


「重っ、酷いのお父さんっ!」


「あっ……ミルンっ、今は駄目だ!」


 ミルンを抱えて、両手が塞がってます。

 ミルンの指が、俺の鼻にゆっくりと、じわじわ来るんだけど、この状態だと防げないよ。


「ミルンは重たくないよねっ! 腕が悲鳴をあげているだけだよねっ! だからミルン御免ってああああああああ────っ!?」


 ピンポンパンポーン(上がり調)


 レベルが1上がりました(鼻血ぶーっ)


 ピンポンパンポーン(下がり調)


「おいコラ糞っ、今アナウンスってえいっ!」


 糞リシュエル……お前見付けた瞬間に、絶対グーパンかますからな。絶対だからなっ! 顔面フルボッコにしてやんよっ!!


「ふんっ! ふんっ! 鼻血を出すのおっ!!」


「ちょまっ、御免ってミルンっ!?」


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