10話 影さんと一緒.8
12/5 加筆修正致しました。
影さんから、俺の母さんの話を聞いた。
聞いたんだけど、最後おかしくね?
「王子様に……拉致られてるよね?」
尻尾がラブで誘拐エンドって、ラブストーリーじゃ無くて、ただの犯罪ですよ?
「俺がこっち来る前に、転生か……」
リシュエルの悪戯。
そのリシュエルって巫山戯た奴が、関わっていない訳が無いよなぁ。
会った瞬間、顔面グーぱん確定。
鼻を凹ますっ!!
「それで母さんは、自分が転生者って事、知らなかったんだよな?」
「はい。産まれてからずっと、奴隷だった様ですので、ステータスの存在を、教える者が居なかったのではないかと」
「産まれてからずっと……」
あっちで殺されて、こっちでもハードモードって、人生バクってんじゃん。
アレか……不運属性でも付いてるのか?
まあでも、今は何処かで、ケモってるんだろうし、王子様ナイス誘拐? 誘拐は駄目だろ誘拐は。
「今何処に居るかって、知ってる? ちょっと見に行って、おちょくりたいんだけど」
俺の事、覚えてるのか知らんけど、ケモ耳母さんを見るのも一興……いや、見たく無いな。
やっぱり、探さなくて良いか?
だって、黒歴史になりそうじゃん。
「もう、亡くなっています」
「んっ……?」
なんか、影さんが冗談言ってる?
探さないし、見に行かないぞ。
「もう、この世にはいません。由香里様も、その夫も……亡くなっております」
「はぁっ!? どうっ、して……?」
「一部の、獣族達による反乱に巻き込まれ、亡くなった様です。私も、知ったのはここ数年で、調べていて、判明いたしました……っ」
影さんが、唇を噛んでいる。
余程、仲が良かったのかな。
でもなぁ、これは、あまりにも。
あっちで殺されて、こっちでも巻き込まれてって、何だそれ……っ、何だよそれはっ!!
「何一つっ、報われないじゃ無いか!?」
殺されて、転生したのに奴隷で、結局は、また殺されて、人生を終える。
力無く椅子に座り、顔を覆う。
思いだしてしまった。
あの遺体安置所で見た姿。
傷口の縫合痕。
白くなった姿。
火葬場の光景。
「っ、巫山戯るなよ……」
神様が居るのなら、こんな仕打ちをして、糞みたいな人生送らせやがってっ……呪うぞ。
「流さん。由香里様と、その夫との間に、子が産まれていた事が、判明しております」
「それがっ、何だ……っ」
「何故私が、お二人に話をしているのかを、考えて下さいませ」
膝の上で丸まって居たミルンが、ぐしゃぐしゃになった俺の顔を、心配そうに見上げて、口を開いた。
「おとうさん、ママ知ってるの?」
「ミルンの……ママ…?」
「うん。パパも、ユカリママも、もういないの」
「あっ────」
その言葉で、俺は理解した。
村長の奥さんが、死んだ理由。
だから村長は、異常なまでに獣族達を嫌い、排除を行っていた。
村の近くにあった魔龍の川で、何故ミルンだけが、一人ぼっちで居たのか。
ラクレル村の廃墟。
そこに居た、住んで居た家族は。
俺はミルンを、抱き抱えた。
ごめんな。
ミルンに合った時に、聞けばよかったな。
遅くなってごめんな。
あの時感じた怒りは、間違ってなかった。
血は繋がっていないけど。
繋がっていた。
本当に繋がっていた。
母さんが、救われ無いのなら、せめて家族だけはっ、守ってやらないとな。
俺はミルンを見て、笑みを作る。
「ああっ、ミルンのママを知ってる。知ってるんだ。だって、俺の……っ」
パパとママで、俺はおとうさん。
ミルンはちゃんと理解している。
本当に、賢い子だよ。
なあ、母さん。
「おとうさんっ、くるしぃっ」
「ぐぅっ……ぅぅっ」
「おとうさん、どこかいたいの?」




