10話 影さんと一緒.4
リティナがケモ耳っ子達にもみくちゃにされている…羨ましい。
そんな姿に血の涙を流してミルンに慰められていたら凄い笑顔のニアノールさんがーーー
「皆んなーそろそろ離れましょうね?」
ーーーとケモ耳っ子達に言うと。
「ニアだ逃げろ!」
「尻尾刈り取られるぅっ」
「ニアちゃん恐いいい!」
「わたちはおいしくないもんっ」
「いんちょーせんせーいっ!」
「悪い事しません悪い事しません」
「もっとみてっもっとみてーっ」
「わたしはいきるいきるんだ」
一人やばい子がいたが、一斉にリティナから離れて脱兎の如く目の前の建物へ走り去って行く。
「リティナ様大丈夫ですかぁ」
「あ…有難うなニア…死ぬかと思ったわ」
ケモ耳っ子達はニアノールさんが苦手なのか建物内からチラチラ見てくる…可愛いなぁ。
そんな事を考えていたら建物から一人のケモ耳幼女と手を繋ぎ、歩いてくる人影…黒外套?
「皆様、ようこそお越し頂きました。私はここの孤児院の院長をしております影、と申します。何卒宜しくお願い致します」
あれ…影さん?
「えっと、院長、影さん? あんた女王と一緒じゃ無かったっけ?」
そう。その黒外套は女王が呼んでミルンを捕まえた姿と同じというかその者なんだけど。
「それは別の影、で御座いますね。小々波、流さん」
ん? 俺名前言ったか? 言ってないよな?
「お待ちしておりました。リティナに頼み、貴方を呼んだのは私です。詳しくは中でお話しします」
そんな話をしている最中、影さんと手を繋いでいるケモ耳幼女が俺の事をまじまじと見て、その上のミルンを見る。
「そこかわって?」
「このばしょはミルンだけのもの」
少し考えていたケモ耳幼女が、影さんの手を離して俺の後ろに居た村長をまじまじと見つめ、軽やかに頂上へ昇る。
「こっちのが高い!」
ケモ耳幼女とケモ耳幼女が眼を合わせ威嚇し合っているけども…可愛いすぎる。
「流君…これはどうしたものだろうか」
役得だろ、村長。
「似合ってるよ村長」
俺達はそのままケモ耳幼女を肩に乗せ、影さんの後をついて行った。