10話 影さんと一緒.5
12/4 加筆修正致しました。
この建物は、どうやら孤児院の様だ。
外観は、スラムのボロ屋よりも良いけど、良く見るといろんな箇所が、崩れかけたり剥がれたりと、やっぱりボロい。
しかし、中に入ってみると、それは一変。
外観からは想像出来ない程、しっかりとした作りで、何より埃一つ無い。
お陰で息がし易いです。
スラムは埃が凄いから、咽せるんだよ。
「ちゃんとぉ、お掃除してますねぇ」
「ニアノールさん……姑?」
スッと、ニアノールさんが窓枠を指でなぞり、清潔にしている理由がハッキリしたぞ。
ニアノールさんが、お掃除チェック担当。
そりゃケモ耳達が、怖がる訳だよ。
「院長居るし大丈夫やろ。ウチら居らんでも、ここのガキ共はしっかりしとるって。そやんなガキ共?」
「「「しっかりやってるよ!」」」
「怠けて居たらぁ、御仕置きだったのにぃ」
「「「なまけてないよ!」」」
合唱団ですか?
息ピッタリに答えてるし、ニアノールさんへの恐怖が、植え付けられてるなぁ。
「おとうさん、はやくいくの」
「へいへい、分かってるよミルン」
「"へい"はいっかい!」
「何でそんな言い方知ってんの?」
「なんのこと?」
ミルンさんや、今さっきの事だぞ。
ノリで言ったから、忘れちゃったのかな?
「流さん。こちらに……」
「今行くよ」
影さんを筆頭に、後ろに俺(ミルン付き)、村長(ケモ耳幼女付き)、ニアノールさん、リティナが歩いて行く。
それは良いんだけど、何でかケモ耳っ子達が楽しそうに、後を付けて来る。
何かこんな風に、子供達を攫う童話が、あったような、無かったような?
「リティ、ニア。貴方達は先に、院長室で報告を。流さんとミルンさんは、こちらの部屋で、少しだけお待ち下さい」
「はいよっ。村長はどうするんだ?」
「ヘラクレス様。お手数ですが、子供達の相手をお願い致します」
「なっ、私に子守をしろと申すかっ……」
そんな事を言われた、村長の顔が引き攣っているというか、肩に乗ってるケモ耳幼女が、笑顔で顔を引っ張っている。
脂肪が少ないからか、変顔にならない。
面白味の無い筋肉だ。
「っ、院長殿。私は子守をする為に、王都まで来たのでは無いのである。そこの流君は、仮とは言えどもラクレルの住民。私にも同席する権利が、有ると思うのだが……」
「村長……そんな事言ったら、危ないぞ」
「何がであるか?」
村長の言わんとしている事は、理解出来る。
出来るんだけど、村長が肩車している、ケモ耳幼女の尻尾が垂れて、ガチ泣き十秒前発射準備良しに、なってるぞ。
「おじちゃん……ミウと、あそんでくれなぃ?」
「ぬぅっ!?」
「ミウのことっ……きらい?」
「ぐっ……」
ケモ耳幼女は、ミウちゃんと言うのか。
流石の村長も、肩の上で泣きかけているケモ耳幼女には、何も言えない様だなな。
「ボソッ(村長慌ててんじゃん)」
「泣くので無いぞ、ミウとやらっ。何も、遊ばぬとは言っておらんっ。流君も笑ってないでっ、助けてくれ!」
どうやら俺は、笑っていた様だ。
こんな、慌てふためく村長の姿なんて、初めて見たからな。
「村長。影さんからの話は、後で伝えるから、遊んでやったらどうだ?」
「なっ、流君!?」
「どうやら……話があるのは、俺とミルンだけみたいだし。頼むよ村長」
「むぅ……」
考えている村長ではあったが、溜息を吐いて、『分かった』と了承した。
その瞬間────『取り囲めーっ!』
ケモ耳の一人が声を上げ、アレよアレよと村長を取り囲み、狩りでもするのかな?
「黒い身体…人種?」
「おじちゃん誰?」
「めっちゃおおきーい」
「ミウちゃんかわって!」
「どうやったら、そこまでの姿に」
「きんにくっ、はぁはぁ……きんにくっ」
「いきるためにはっ、ちからがいるのっ!」
何この光景……村長変わって?
「まんざらでも無いって、顔してるな」
その時の村長の顔は、困りながらも、少しだけ、ほんの少しだけ、楽しそうではあった。
約一名やばい子がいるけど、大丈夫だろう。
「ふううぅぅぅっ……はあああぁぁぁ」
何で深呼吸?
筋肉が盛りってなったけど……まさかっ、アレを子供達に見せる気か?
「やあ、はじめまして!」
ムキィッ(手を後方で組み)
「私はっ!」
ムッキィッ(爪先立ちで)
「ラクレェル村から来た村長っ!」
ムキッムキッ(大胸筋が歩いている)
「ふぅぅぅ……っ、むんっ!!」
ムキッムキッ(ゆっくりとポージング)
「ヘラクレスゥゥゥウ! ヴァント!!」
ムッキィ!!(両腕を前に持ってきて)
「宜しくであるぞっ、子供達よっ!!」
モリモリッ!!(笑顔で白い歯を見せる)
この瞬間、筋肉村長コト、ペクレス筋肉は、ケモ耳っ子達の人気者となった。
何でなの?
ただの筋肉の塊だよ?
「羨ましいっ。これが……っ、筋肉の力なのか」
「おとうさん。ドンマイなの」
「ミルンさんや、何でそんな言葉知ってるの?」
「ミルンだけをなでるっ!」
モフモフは気持ち良いんだけど、あんな風に、ケモ耳っ子達に埋もれたいっ!!




