9話 真紅の瞳の享楽の女王.7
俺は門兵馬鹿を城壁から蹴り飛ばし、それを見た他の門兵達にフルボッコされて見るも無惨な顔に…俺のイケメンフェイスが…そしてそのまま引き摺られてミルン達と合流した瞬間、ミルンが俺の姿をみてブチ切れ。
「おまえらのタマぜんぶひっこぬく!!」
それはほんの一瞬。
二十人いた内の五人が瞬く間に股間を押さえて力尽き、さらにミルンが追撃をしようと動いたがーーー
「はぁ…影」
ーーー派手なねーちゃんの一言で現れた黒外套にミルンが優しく捕まえられる。
「ルルシアヌ・ジィル・ジアストール。何でアンタがここにおんのや」
聖女が真面目な顔してる!?
「ふむ、聖女リティナ•オルカスか。久しいの、院長は息災か? いや、彼奴は病気になる様な者ではないかのぅ」
どうやら二人は知り合いのようだな。
とりあえず影さんとやら、ミルンを離してあげてね。
村長とニアノールさんは跪いて動かないし他の門兵達も固まったまま。
「なぁそこの派手なねーちゃん。アンタ誰なんだ?」
俺の問いに周りの空気が変わる。
何か門兵達から凄い殺気がでてるよ。
村長もなんか汗かいてるし、ニアノールさんは合掌してるし何でよ?
確か上にいる時に門兵が陛下って、陛下…?
「なぁそこの派手ねーちゃん。アンタ王様なのか?」
どうした、鳩が豆鉄砲を食ったよう顔して。
「貴様、名を何と言う?」
いやいや、このねーちゃん礼儀!
「いや、名前たずねるならまず自分からだろ」
派手なねーちゃんの目が点になってる。
「流君」
村長声、小さくね?
「何だ村長?」
「そのお方はこの国の女王。ルルシアヌ・ジィル・ジアストール陛下だ」
ん? 女王様? 本気で? この派手なねーちゃんが? キャバ嬢じゃ無くて?
「なぁ派手なねーちゃん。アンタ女王様なのか? キャバ嬢じゃ無くて?」
「くっくははっぷぷぷっくっくっくはーはっはっはっ!!」
何か急に笑い出したよヤベェねーちゃんか。
「はーすまぬな。キャバ嬢とやらは知らぬがな、その様な事を言われたのは初めてであるぞ。貴様の言う通り、先に名乗らせて貰おう。我が名は、ルルシアヌ・ジィル・ジアストール。このジアストール国の王をしておる。ルシィと気安く呼んでくれて構わぬぞ? 宜しくな魔王殿」
見る者全てを魅了する真紅に染まった眼、流れるような睫毛に細い顔立ち。長い銀髪を纏め上げ、腰に手を当て、長く引き締まった脚を見せつけて来る。
女王、ルルシアヌ・ジィル・ジアストール。
俺は解放されたミルンを撫でながら、やっぱり派手なねーちゃんだなと、そう思った。
「とりあえず魔王殿、その粗末な物を隠せ」
あっ…何て言った?
俺はそっと、両手で股間を隠した。
粗末ってっ言ったの? そんな事言わないで!?