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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界

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9話 真紅の瞳の享楽の女王.8


 11/30 加筆修正致しました。


 女王、ルルシアヌ・ジィル・ジアストールのおかげで、何とか無事、ミルンと合流できた。

 そういう事にしておこう。

 俺のゴールデンボールを、粗末な物と言ったのは、許せないけどな。


「おとうさん! きたないモノをかくして!」


「……はい」

 

 ミルンが近くに来てました。

 俺の玉は、汚いんだって……しっかりしたお風呂に浸かって、汚れを落としたいよ。


「ルルシア……ルシィで良いか。さっさと服寄越せ。お前のところの奴に、燃やされたんだからな」


「そうであったのか。そこの者、この者に着せるモノを持って来るのじゃ」


『っ、ははっ!!』


 そうして、門兵詰所から新品の服を貰い、いそいそと着用完了。

 下着は履いてませんけどね。

 無いんだって……下着。


「んしょっ、んしょっ、がったい!」


「ミルン装着完了!!」

 

 尻尾を俺の背中に擦り付け、頭をヘッドロックッと言わんばかりに締め付け来る。

 

「ミルンさんや、頭が割れちゃう割れちゃう」


「ここがおちつくの!」


「さいですか……ミシミシ鳴ってね?」


「もう良いかのぅ」


 ルシィが門兵達に、何かを言った後、ゆっくりと近づいて来た。

 モデル歩き?

 生脚見えてて、ご馳走様です。


「……さっきの黒外套、どこ行った?」


「しらないうちに、きえてたの」


「影って言ってたな……また人が増えてる?」


 ルシィの側に、文官っぽい人が居るな。

 何か、腹黒そうな爺だ。


「それでは魔王殿。このまま王城に来て貰い、話をしたいと、思うておるのじゃが?」


「ボソッ(断るのだっっっ)」


 文官っぽい人が小声で、断れって言ってる様な気がする。しかも、左右に首を振り、必死に訴えてくるぞ。

 首振り人形か?


「待てや女王……先約はこっちやねん」


「ふんっ。儂より優先させる事など、有る筈が無いであろう」


「ウチが連れて来たんや、女王は引っ込んどれ」


 聖女が女王へ突っかかるって、大丈夫?

 確かに、俺は聖女に連れて来られた訳だから、言ってる事は合ってはいる。


「なあ、ルシィ陛下。ルシィ陛下の呼び出しには応じるけど、聖女の用件を済ましてからでも、良いだろうか?」


「貴様……陛下に向かってその様なっ」


 女王をルシィ呼びした事に、文官っぽい人が目を細め、右手を挙げた。

 周りの兵士達が、腰の剣に手をかけたんだけど、本気でやり合う気か?


「やめよ大臣。儂がそう呼べと命じたのじゃ。御主が手を出せば、儂自ら、貴様の首を刎ねねばならぬが……」


「……苛々するなぁ」

 

 門兵、大臣、女王も、見てて苛々するけど、何でだ……あぁ、この目だな。

 人を小馬鹿にした様な、見下した様な"目"。

 こんな奴等、日本にも居たわ。


「うん無理。おいルシィ、さっきの言葉訂正するわ。王城には、絶対に行かない」

 

「貴様っ! 陛下を付けぬか!!」


「やめよと…儂は言うたぞ大臣。して、理由を聞いても良いかの、魔王殿……」


 女王の顔から、さっきまでの、ニヤニヤした笑みが消えた。

 真面目な顔も、出来るんだな。

 最初からそんな風に、真面目な顔して、話をしていれば良いモノを……もう遅いけどな。


「理由ね……先ず一つ。来て早々、訳の分からない理由で、牢屋に拘束された」


 まあこれは、俺にも責任が有るのか?

 あの石は、セキュリティ装置みたいな物だろうし、拘束は仕方が無い。


「一つ。拷問前提の取り調べで、逃げ出そうとしたら、焼かれて全裸になった事」


 リュックサック、カップ麺、赤ジャージ。

 この異世界だと、二度と手に入れる事が出来ないであろう、貴重な品々。

 これだけでも、殺意が湧くぞ?


「一つ。あろうことか、罪が無いミルンや、他の奴らも捕らえて、拷問にかけようとした事」


 落ちたあの門兵、まだ生きてるっぽい。

 そのまま一生、入院しててくれ。


「これが最後……女王ルルシアヌ・ジィル・ジアストール陛下、良く聞けよ」


「ふんっ、言ってみよ」


 一番許せない事。

 未だコイツらが、理解していない理由。


「ルシィ……お前がコイツ等、門兵の親玉だ。トップであり、リーダーだ。何でここの門兵達に謝らせない」


「魔王殿にか?」


「俺にじゃあ無い。真心の水晶とやらで、何もしてないと判断された、聖女や、ニアノールさん。村長やミルンにだ」


「っ、それは……」


「それとな……あの俺が落とした門兵。ミルンの事をっ、獣族だからっ、生きてるだけで罪だってほざきやがったっ!! そんな奴等の親玉がっ、誰にっ、王城に来いだって?」


 あーもう、ミルンが肩に乗ってるのに、ブチ切れが収まらないな。


「寝言は寝て言え糞餓鬼がっ……先ずはミルン達にっ、御免なさいだ!! 国のトップだからとっ、そんな事も出来んのかあああああああああああああ────っ!!」


 ミルンを見下し、蔑み、傷つける奴等を、俺は絶対に許さない。

 例えそれが、どんな存在だとしても。

 

「無理矢理謝らせるぞ……この糞共」


 怒りで血管が切れそうだ。

 この感じはアレだ……ラクレル村の奴等を、半殺しにした時と、同じ感じだな。

 

 そう思い、目の前の女王に魔法をぶち込もうとしたその時────『おとうさん、めっ』


 ミルンの可愛い声が聞こえた。

 肩の上から、優しく俺の頭を撫で、そのお陰だろうか、怒りが収まって行く。


「じょおうさま、ないている……」


「えっ……うわぁ……」


 大臣は腰を抜かし怯え、門兵達は気を失い、村長は震え、ニアノールさんは、聖女を守る様に立っているけど、何でだよ。

 んで、目の前の女王は……ガチ泣き。


(わたくし)だってっ、どうにかしようと頑張ってっ、おりますのにっ。ひどりでっ獣っ族もわたっ、わたくしっ、頑張ってっ、ミルっンだってっ、目がっおにぃっ…ひっくっ……」


「一人称、儂じゃないのかよ?」


 あっ、うずくまった。

 女王の三角座り。

 腕を組み、胸を強調させながら、偉そうに言って来た、あの女王が……三角座り。


「良い歳した大人が、泣いたら済むと思うなよ。なぁ、ルシィ陛下様?」


 俺は伝える言葉は捻じ曲げない。


「うああああああ────んっっっ、何で(わたくし)だげえええっ!!」


 鳴き声が、更に酷くなったな。

 良い気味だ!!


「なぁ、魔王のにーちゃん。流石にな、若い子に言い過ぎやて」

 

「若い? この糞陛下様が?」


 何ちゃって聖女が、嗜めて来たぞ。

 どう見てもこの糞陛下、成人してるだろ?


「十八歳で、女王やっとるんや。せやからもうな、堪忍したって」


「えっ……こいつ本当に、糞餓鬼だったの?」


「流君…言い過ぎであるぞ」


 震えていた村長が、俺の背中を軽く叩く。


「流さんっ、恐いですよぉ……」


 ニアノールさんに至っては、さっき迄リティナを守ろうとしてたのに、いつの間にか、気絶している門兵を盾にしている。


 仕方無いなぁ……ここは大人の対応だ。


「さっさとミルンに謝れ糞餓鬼があああっ!!」


 俺は女王に、追撃を入れた。

 


『おとうさん! めっ!』

『御免よミルン。手は出さないから、口は出させて?』

『陛下に暴言……流君は恐ろしいな』

『リティナ様に敵意向けたらぁ、斬りますよぅ』

『大丈夫やろ。それよりも、こん女王やな……』


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