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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界

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9話 真紅の瞳の享楽の女王.4


 11/29 加筆修正致しました。



『そうか……ならば仕方がない。明日、貴様のステータスを鑑定して貰う』


「そのあとになら、水責め万歳ってか……流石に、逃げないとなぁ」


 門兵のおっさんの言葉が、頭から離れず、そのまま夜を迎えて、地味にピンチです。

 拷問耐性のバフとか、無いですか?

 無いですよねーっ!

 アレかな、水車みたいなモノに括り付けられて、ぐるぐる回してガボガボなるヤツ。


「お腹がたぷんたぷんに、なっちゃうぞ♪」


 不幸中の幸いとでも言うのか、門兵は、鉄格子の外で見張ってるし、まずは枷をどうにかしないと、動けないな。


「半魔王より、こっちのがチートだわな」


 ぶっちゃけ、コレを有効活用すれば、一生暮らして行けるであろう、反則級のスキル。

 但し、万が一このスキルを、悪用している事がバレれば、一生お尋ね者間違い無し。


 使い方は簡単。

 今この場所、この城壁を、俺の住まいだと仮定して、ここに有る物全てを、俺の物だと認識すれば良いだけだ。

 目を閉じて、集中する。


「……ふぅ。失敗したら、水死体だからな」


 俺の物と、認識すれば良いだけ。

 俺の物と、認識すれば良いだけなんだ。

 あの、国民的人気長寿アニメのキャラ、心優しき苛めっ子も、言ってたじゃ無いか。


「良しっ……」


 お前の物は俺の物、俺の物も俺の物。お前の物は俺の物、俺の物も俺の物。お前の物は俺の物、俺の物も俺の物。お前の物は俺の物、俺の物も俺の物。お前の物は俺の物、俺の物も俺の物。お前の物は俺の物、俺の物も俺の物。

 

「ボソッ(この城壁の物はっ、俺の物おおおおおおおおおおおおおっ、空間収納っっっ)」

 

 スキルが発動した感じがした。

 有難うっ、心の友よ。


「ふぅ……入ってるか? 入っているよな? 入って無いと困るぞ……どうだ?」 


 ステータスの一覧で、持ち物確認。

 指でスクロールせんでも、視線でスクロール出来るって、有難いけど意味分からん。

 

 空間収納のスキル効果。

 半径二十メートルの、俺の物を自動収納するんだけど……そりゃあ、鉄格子の鍵だけじゃないわな。


====================


 (一覧)

 ハイオークの魔石

 ミルンの尻尾の毛玉

 ミルンの耳毛

 ミルンの髪の毛

 肉屋の在庫▼

 花屋の在庫▼

 農作物▼

 資材▼

 汚れた村人A装備セット

 流のリュック▼

 門兵Aの家の鍵

 門兵Bの家の鍵

 門兵Cの家の鍵

 門兵Dの家の鍵

 門兵Eの家の鍵

 門兵Fの家の鍵

 門兵Gの家の鍵

 門兵Hの家の鍵

 門兵Dの不倫相手の家の鍵

 門兵Fの不倫相手の家の鍵

 門兵Hの不倫相手の家の鍵

 門兵Eの貞操帯の鍵

 隊長室の扉の鍵

 門兵詰所の鍵

 門兵女性用詰所の鍵

 手錠の鍵×二十五錠

 手枷の鍵×十二錠

 牢屋の鍵A

 牢屋の鍵B

 牢屋の鍵C

 牢屋の鍵D

 牢屋の鍵E

 牢屋の鍵F

 通路の鍵


====================


「不倫の証拠、ゲットだぜ?」


 門兵のD、F、Hよ。

 お前ら妻帯者で、しかも不倫してるって、マジで巫山戯んなよ。俺なんて……俺なんてっ、女性と手を繋いだ事も無いのにっ。


「いつか必ず。奥さん探して、手紙と一緒にこの鍵を渡してやるからな」


 手紙の内容は勿論、俺が不倫相手に成りすまして書く、愛のラブレターだ。

 

 門兵Eさんは、絶対女の子だよね? マジで御免っ、いつか必ず返すから。

 貞操帯って、マジで有るんだなぁ。


「……直ぐ近くに、八人か」


 半径二十メートル圏内の物だからね。

 見つかったりしたら、直ぐに確保されて、直ぐに拷問始まりますよってか。


「鍵をっ、手にっ、出てこい……うしっ」


 上手く手に出せた。

 あとは、手首を捻ってえええっ、腕も死ぬる痛さじゃんこれえええっ。


「……門兵のおっさん、反応が無いな」


 結構ガチャガチャ音してるのに、何も言ってこない……耳を澄ませば、寝息が聴こえる、ボンクラ門兵有難う。

 

「今のうちにっっっ」

 

 んぎぎぎっ、もうちょいでっ、あとは鍵を回すだけええええええっ。


 カチッ────「よっしゃ、回った」


 静かに枷を外して、そっと地面に置き、手首をくねくね腕をぐるぐる。

 

「あーっ、手首痛い」


 足の拘束も解いて、準備完了だ。

 抜き足、差し足、忍び足。

 そ──っと、鉄格子の鍵を開けて、門兵のおっさんの顔を見つつ、通路を確認した所で、ふと、頭によぎった事。

 鍵をどうこうせんでも、枷をそのまま空間収納に入れれば、手首痛めずに済んだんじゃ……っ、今は脱出が優先だ。


 T字路……両側に扉?


 え──っと、俺どっちから来たんだ。

 門兵を気にしながら、右の扉まで近付いて、ゆっくりと鍵を開け、先へと進む。


 すると、またT字路。


「ボソッ(次はこっちかなぁ)」

 

 左に進み、鍵を開け、またT字路。


「ボソッ(次は右か?)」


 鍵を差し込もうとするが、鍵穴に合わず、持っている鍵を適当に試して、合う鍵を発見。

 カチャっと回して、前方確認。


「ボソッ(お邪魔しまーす……ぅえ?)」


「……はっ?」


 目の前には、貞操帯を必死で外そうとしている、見事な太腿全開の女性。


「ほうほう……これはこれは」


「……」


 筋肉の筋が見える、健康的な御御足。

 美脚とは言えないが、これはこれで、一定層の支持を集めるだろう。


「ふむふむ……」


「きっ……」


 しかも、身体のラインと、その御御足のバランスが、絶妙にマッチしており、活発的なその顔立ちも相まって、普通にエロいんです。


「きゃあああああああああ────っ!?」


「ご馳走様でしたああああああ────っ!!」


 俺はすかさず、扉を閉めて逆ダッシュ!!

 反対側の鍵を開け、右に左に鍵を開け、ただただひたすら猛ダッシュ!!


「だあああ──っ、無駄に広いんだよ!」


 直ぐ近くで、門兵達の声が聞こえた。

 左右に通路、目の前には階段。

 二択から三択になっちゃったよ?


「上るかっ、違う道を行くかっ、どうするよ俺! マジでどうするよ!?」


『あそこに居るぞ!』

『逃すなあああ──っ!!』

『俺達の好一点を泣かしやがってっ、殺す!!」


 挟み込んで来た!?

 階段一択になったのは有難いけど、何で一人だけ殺る気満々なんだよ!!


『眼前の敵をっ、焼き尽くせ……』


「えっ……それって、詠唱?」


『豪炎!!』


「ヤバっ、こっちも魔法っ、間に合わない!?」


 俺は咄嗟に、『空間収納』を発動させ、何でも良いからと、迫り来る炎の塊に投げ付けた。

 咄嗟に投げ付けてしまった物。

 それを見て、後悔した。

 愛用の、もう二度と手に入らないであろう、買物用リュック。その中身は、炭酸飲料とカップ麺。


 ────バシュッウウウウウウウウウ!!


 熱を帯び、その炭酸飲料が破裂した。

 甘ったるい液体を全身に浴びながら、全力で階段を駆け上がる。


「カップ麺……っ、大切な日本の食べ物なのにいいいいいい──っ、熱っ!!」


 糞っ、火が残って!?

 階段を上りつつジャージを脱ぎ、下も脱ぐと同時に下着も脱げ、光が差し込むその先へと、飛び出した。


「──っと、すげぇ高いんだけど!?」


 脚がすくみ、睾丸も縮こまる程の高さ。

 城壁の上じゃん……怖っ。

 でも、このままここに居ると、背後から迫る兵達に捕まって、フルボッコだ。


「すうううっ、はあああ──っ、うしっ!!」


 先ずは一歩、足を進めて、二歩三歩。

 これは……案外大丈夫?


『上に居るぞ──っ! 急げえええ──っ!』


「行くしか無いよねえええあええ──っ!!」



    

 空が視界を覆い尽くし、照りつける陽の暖かい日差しを、全身で浴びつつ、石畳の上を駆け抜ける。


「フッフッフッハーッ、フッフッフッハーッ」


 ただ前を見ながら、脚を上げ、腕を振る。


「フッフッフッハーッ、フッフッフッハーッ」


 横幅三メートル、高低差約三十メートルの城壁の上を、口に笑みを浮かべながら、ただひたすらに足を動かす。


「フッフッフッハーッ、フッフッフッ、ははっ」


 背後から追って来るのは、立派な鎧に身を包んだ、殺気立っている兵士達。


『待てええええええ──っ!!』

『止まれ──っ!』

『くそっ、騎士団に連絡しろ!』

『何で追いつけないんだ!』



「「「待てえええ──っ、変質者──っ!!」」」



 産まれたままの姿だからって、変質者呼びは失礼じゃ無いのか? 全裸にひん剥いたのは、お前達だろうに。

 取り敢えずは、煽って逃げなきゃな。


「待てと言われりゃ、全力疾走だ馬鹿共がああああ──っ! はっはっはっ! この桃尻を、捕まえてごらんなさぁいっ!!」


 こうして俺は、痴態を晒している訳だな。



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