9話 真紅の瞳の享楽の女王.3
半魔王…何ぞ?
「なあ門兵のおっさん」
「なんだ、これ以上近づくなよ。椅子に固定してるのに良く動けるな」
確かに俺は後ろ手に枷をはめられて椅子に固定されているが、あくまで椅子が固定されている訳ではないのでこう上手く体重移動をすれば、ほっはっ、と門兵のおっさんの方へ身体を向ける事が出来る。
「これ以上は近づかないよ。それでさ…魔王って聞いたことあるか?」
俺の称号に半魔王って半分は優しさで出来ていますみたいな感じか?
そもそもミルンを愛して何故半魔王!?
せめて獣魔王になれよ!
あとずーっと無視してたけどリシュエルって誰だよ神様か? 悪魔か? 俺のステータスに干渉してなんやかんやして来るし、レベルアップ毎に毎回喧嘩売って来る奴よ本当に…誰?
「なんだ、魔王を知らないのか? 子供の頃によく、言うことを聞かないと魔王に内臓食べられちゃうぞーって言われなかったか?」
何その魔王恐っ!?
「まあ御伽話みたいなものだろ? 龍を従え、幾つもの神級魔法を使って人種に破滅と混乱を与えて最後は神によって裁かれたみたいな話も有るぐらいだしな」
実際に有りそうな展開じゃん。
まあ半魔王が存在するなら魔王も何処かには存在するんだろうけどなぜ! 俺が! 半魔王!? なんちゃって魔王で良いじゃ無いか。
「喉渇いた…なぁ水くれないか?」
えっ、駄目?
門兵長がもどる迄まて?
さっきの門兵おっさんが長かよ。
あっ門兵おっさんが来たよ早く水!
「どうだった? 自分の犯した罪を理解した?」
そんな罪は無い! 自身満々に胸を張る。
「そんなん無かったぞ、あと水ちょーだい」
「そうか、ならば仕方がない。明日、貴様のスキルを鑑定してもらう」
おお、やっぱいるんだな鑑定持ち。
「その後なら幾らでも水を飲むと良い」
わぉ…それ、拷問する気満々じゃん。
※
門兵詰所にて。
「だからぁ流に合わせろゆーとるんじゃ! いてもうたるぞワレェ!」
柄の悪い聖女とーーー
「とうさんをだせ! ださないとかみちぎる!」
ーーー腹ぺこミルンがーーー
「だから上に連絡したから待ってて下さい!」
ーーー内股になって股間を守っている門兵の若者に今にも襲い掛からんとばかりの勢いで詰め寄っていた。
「待つっていつまでや!? 太陽が上か斜めか? 鐘が何回なったら? あとどのくらい待たなあかねんん!? 聖女様待たせてどないなるかお前わかっとるんやろなぁ!?」
ほら言えさあ言えと言わんばかりに首根っこを押さえ前後に振り、ミルンは門兵の若者の脚を開こうとひたすらに力を入れている。
「なあ、ニアノール殿」
「はい、ヘラクレス様」
二人はただ、早く流を返して貰うよう、心から願うのだった。
「そこの二人! コイツらをどうにかしろぉおおおおおお!? あっ…あーーー」
門兵の若者の股間がミルンの手によって。