9話 真紅の瞳の享楽の女王.3
11/27 加筆修正致しました。
牢屋の中で、ステータスを確認したら、何やかんやと知らないうちに、半魔王。
半魔王って……何?
ステータスに半魔王?
半ライスと同じ括りかな?
若しくは半チャーハンかな?
「なあ……門兵のおっさん」
「なんだ。それ以上近づくなよ。椅子に固定しているのに、何でそんなに動けるんだ……」
確かに俺は、後ろ手に枷をはめられて、椅子に固定されている。
但し、椅子が固定されてる訳じゃ無い。
だからこう、『よっ、よっと』上手く体重移動をすれば、門兵のおっさんの方へ、身体を向ける事ぐらいなら出来る。
小学生の時、学校の椅子に座りながら、体重移動で上手く移動してたからな。
「これ以上は近づかないよ。それでさ、魔王って聞いた事ある?」
俺の称号に、半魔王って出てるんです。
そもそも、ミルンを愛して何故半魔王?
中途半端に半魔王。
「ボソッ(半魔王になるぐらいなら、獣魔王の様な、ケモ耳の魔王になれよなっ)」
それに、ず──っと無視して来たけど、リシュエルって誰なんだ。
神か、悪魔か、何様だ?
俺のステータスに、なんやかんや干渉してるみたいだし、レベルアップ毎に、毎回喧嘩売って来る奴……本気でウザい。
「なんだ、魔王を知らないのか。子供の頃、言うことを聞かないと、魔王に内臓食べられちゃうぞーって、親に言われなかったか?」
「何その魔王っ、恐!?」
「御伽話みたいなものだ。龍を従え、幾つもの神級魔法を使って、人種に破滅と混乱を与え、最後は神によって裁かれた。そんな話も、有るぐらいだしな」
実際に有りそうな展開じゃん。
魔王は御伽話……いや、コイツが知らないだけで、他にも何か伝承とかが、有るかもだな。
だって今ここに、半魔王が居ますから!
でもさ……なぜっ、俺がっ、半魔王になるのかがっ、意味が分からんわ!!
「喉渇いた……なぁ、お水頂戴?」
「飲ませる訳無いだろ……門兵長を待て」
えっ、駄目?
門兵長が戻るまで待て?
さっきの門兵おっさんが長かよ。
あっ、門兵おっさんが来たぞ。早くお水!!
「どうだ。自分の犯した罪を、理解したか」
「そんな罪は無い!」
自身満々に、胸を張って答えたぞ。
本当に無いからな。
「冤罪にも程が有るぞ。ほら、水ちょーだい」
「そうか……ならば仕方がない。明日、貴様のステータスを鑑定して貰う」
おおっ、やっぱ居るのか鑑定持ち。
「その後なら幾らでも、水を飲むと良い」
「わぉ……それ、拷問する気満々じゃん」
拷問耐性なんて、俺には無いからね。
マジで洒落にならんぞっ。
◇ ◇ ◇
王都正門に有る、門兵詰所。
その詰め所から、ドスの効いた大声と、物騒な声が、辺りに響き渡る。
「なんべんも言わすなやっ! 流に合わせろ言うとるんじゃボケェっ! ええ加減にせんとっ、いてもうたるぞワレェ!!」
一人は、任侠の人顔負けの口撃をする、最早聖女のカケラも無い、なんちゃって聖女。
「とうさんをだせ! ださないとかみちぎる!」
もう一人は、口から涎を垂らし、門兵の股間を喰い千切らんと、狙いを定めている、腹ペコケモ耳のミルン。
「さっきも言った通り、上の方には連絡したので、返答待ちなんです! ですのでっ、今しばらくお待ち下さい!」
もう一人は、内股になって、必死に股間を守っている、貧乏籤を引いた、門兵の若者。
聖女リティナと、ケモ耳ミルンは、流を返して貰おうと、門兵に詰め寄るものの、膠着状態が続いていた。
「いつ迄待たなあかんのや? 太陽が上か斜めか? 鐘が何回鳴ったらやねん……っ、聖女様待たせて、どないなるかっ、お前分かっとるんやろなぁ!!」
ほら言えさあ言えと言わんばかりに、首根っこを押さえ前後に振り、ミルンは門兵の若者の脚を開こうと、ひたすらに力を込めている。
「ニアノール殿……」
「はい……ヘラクレス様」
二人はただ、早く流を返して貰える様にと、心から願うのだった。
「オラァッ! ミルンっ、やったれ!!」
「ぬぃぃぃっ、もうすぐひらくの!!」
「そこの二人っ、コイツらをどうにかしろおおおおおお!? あっ……っ、あ────」
門兵の若者の股が、ミルンの手によって、大股に開かれた瞬間であった。




