9話 真紅の瞳の享楽の女王.2
右見て…赤いシミが付いた石の壁。
左見て…赤いシミが付いた鉄格子。
上見て…赤い苔が付いた石の天井。
下見て…赤い苔が付いた石の床。
後ろ見て…門兵のおっさん。
前みて…門兵のおっさん。
はい、狭い部屋でおっさんサンドイッチのできがありですね胸がムカムカとむさっ苦しい熱苦しい加齢臭が漂ってきます。
門兵達に囲まれながら引き摺られて、正門の端にあった扉を潜り、奥へ奥へと歩き続けて二十分くらい歩いたかなぁミルン物凄く怒ってたな…大丈夫なのだろうか。
他の門兵達を襲っては引き千切り、襲っては引き千切って人の睾丸もわるくないモゴモゴと怒りで我を忘れては無いだろうか。
と歩くのが疲れたので本当に引き摺られてます楽なんだよねーお尻が若干痛いけど。
門兵さんが凄く苛々しながら立てだの歩けだのと言ってくるが聴こえません!! などと思っている間にこの部屋? へ押し込まれ、椅子に優しく座らされ、固定されてからのおっさんサンドイッチで具は俺かよ。
「何をきょろきょろ見ている。私の質問にさっさと答えてくれないか?」
門兵のおっさんが睨んでくるよ怖いなぁ、怖い怖い、懐かしき豚野郎(亡)の十分の一ぐらい怖いよーはいはい。
「貴様が触ったあの石は、真心の水晶というのだが、触れる事により、その者の罪を暴くものだ」
マジカルストーンですか?
「順に、透明、緑、黄、紫、赤とその者が犯した罪の内容によって色が変わるのだが…殆ど透明、少しは緑、悪くても紫でな。実際に赤く輝く事を見たのは私が着任してここ三年の間に貴様が始めてとなる」
わー凄いね、おめでとうございます!
ああ、眼精疲労のポーズですね。
余程辛いのかな門兵のおっさんが目を押さえてもみもみもみもみ。
「それでだ、もう一度聞く。貴様は何をしたのだ?」
俺は何もして無いのだが?
「俺は何もして無いぞ。」
「嘘を吐くな」
「石を触ったらなんか光だして門番が俺の手を掴んできたから掴み返して、胸ぐら掴まれたから足を踏んで、訳が分からないから辺りにいる人達に助けを呼ぶため叫んだだけだ」
「それでは無い!」
じゃあ何なんだよ。
「貴様、一体っ過去にどれ程の事を行い、人々を苦しめ、陥れた!?」
そんな叫ばれても何も無いんだが。
過去、過去、過去なぁ、あれかなぁ。
「貴様…まさかステータスを見ていないのか? その者の行動に、生き様によってステータスは変化する。貴様が何も犯してはおらんと言うのならば、真心の水晶が赤く輝く事は無かった!! 一度、自分のステータスをよく見てみろ!」
門兵のおっさんは、もう一人の門兵に何かを伝え、話は後だと鉄格子を開けて出ていった。
あぁーそう言えば全く見てないなというかやっぱり勝手に色々変わっていくんだな。
なんか、見たくないなぁ。
嫌だなぁ…でも気になるし。
そっとぉ…ステイタス。
小々波 流 35歳
レベル 10→11UP(楽し…経…値効果)
能力
STA 15 INT 23
VIT 17→56 AGI 90→135
DEX 85→120
(村人男性平均100とした値)
スキル
・身体強化(これで貴方もマッスルバディに)
・楽…い経…値
・空間収納(大人の本の隠し場所として)
・基本魔法(一人暮らしのお供に)
・歪みの叡智(どうなっても知りません)
・ー 判別不ー ー
称号
・逃げ惑うニート
・崖からダイブするニート
・ミルンを愛する者(あっマズイです〜)
ミルンを愛する者の効果を発動。
・ケモナー(ゴールド免許)
+
・種を超えた奇跡(魔物特効)
+
・怒れるニート(恐怖)
+
・火事場泥棒(生き抜く為に)
+
・なんちゃって魔王(笑)
以上の称号を確認。
統合開始。
…統合中…。
…統合中…。
…統合中…。
…統合…リシュエルからの妨害を感知…。
…リシュエルからの妨害を感知…。
…リシュ…ルか…の…。
…統合…中…。
統合完了。
・異界の無法者(これなら〜)
・半魔王(ぎりせ〜ふ〜ふふふ)
スキル
・身体強化(これで貴方もマッスルバディに)
レベルアップ時DEX能力プラス値補正
レベルアップ時AGI能力値プラス補正
レベルアップ時上記能力値以外の成長を妨害
・楽しい経験値
行動内容によりランダムにレベルアップ
レベルアップ時の効果音
レベルアップ時のリシュエルの楽しい一言
レベルアップ時の効果音
・空間収納(大人の本の隠し場所として)
容量制限無し
防腐効果 劣化軽減
効果範囲半径二十メートル以内
手に持っている物は収納出来無い
己の物と認識している物のみ収納可
取り出す際は一覧を参照
・歪みの叡智(どうなっても知りません)
使用時の心の揺らぎよる効果変化
INT スキル使用毎にランダムでダウン
-スキル使用制限中-
(一覧)
ハイオークの魔石
ミルンの尻尾の毛玉
ミルンの耳毛
ミルンの髪の毛
肉屋の在庫▼
花屋の在庫▼
農作物▼
資材▼
汚れた村人A装備セット
流のリュック▼
・基本魔法(一人暮らしのお供に)
小々波 流の固有魔法
全属性魔法中級まで使用可
使用回数制限無し
心の揺らぎにより範囲威力増減(抑制中)
半魔王効果により制御可
レベルアップ時INT成長を妨害
・ー 判別不能 ー
運---捻-----ー判別不能ー
称号効果発生
・異界の無法者(これなら〜)
空間収納効果範囲拡張
レベルアップ時 VIT上昇補正大
レベルアップ時 AGI上昇補正大
レベルアップ時 DEF上昇補正大
・半魔王(ぎりせ〜ふ〜ふふふ)
基本魔法制御解放
心の揺らぎにより範囲威力増減の効果を抑制
特定の魔物好感度上昇
レベルアップ時INT成長を妨害
俺は、ゆっくりと背後に居るもう一人の門兵のおっさんに振り向き「どゆこと?」っと囁いたがーーー
「何がだ? おいっ? 顔を近づけるな! 来るな!」
ーーーと何も教えてはくれなかった。
※
「陛下っ陛下ああああ!」
「何じゃ騒々しい」
王城の謁見の間から直ぐ隣部屋、執務室にて来期の税収入を計算していた女王、ルルシアヌ・ジィル・ジアストールの元へ大臣が顔に汗を張り付かせ、息も絶え絶え走って来た。
「へぃっへぃっへぃ下!一大事じぇ御座います!」
「少し落ち着かんか馬鹿者。儂はへぃっ下と言われるのは面白いと思うが、今の其方の顔の方がより面白く思えるぞ」
ほれ、飲むが良いと黒い液体を差し出す。
「あっ有難うこじゃいますへぃっへぃっかっ」
黒い液体が入った容器をそのまま一気に口へーーー
「ぶぶふぅうううっ!?」
ーーー入れた瞬間に噴き出した。
「良いのう! 良いのう! その噴き出した勢いと其方の顔っぷっふふっぷっはっはっは!」
持っていた羽ペンが手から離れ、実用性重視の椅子の上で腹を押さえて笑いこけ、大臣は咳込み其れを見て更に笑う。
「あー笑うた笑うた。それで、大事とは何だ大臣はよ申せ」
えーっ理不尽と言う顔のまま大臣が息を整え説明する。
「現在、王都正門側の勾留所に犯罪歴のある者がおり、それが赤を示したとの事で! また、その勾留している者の容姿が…っ」
大臣の顔に更に大量の汗が吹き出す。
「赤じゃと!? いや、何じゃそれより先の言葉を止めおって、まて、赤よりも重要な事なのか大臣」
大臣は首を縦に振り言葉を続ける。
「勾留している者の容姿が…先の…そのぅ…ラクレル村を蹂躙したと言われている魔王と合致します!!」
呑み込むのに時間がかかった。
村一つを蹂躙せしめた魔王と言われる存在。
そんな存在が、ここ、王都に来ている。
そんな存在が赤なのは納得しよう。
赤なのは納得できるが。
納得できるが。
「何故捕まっておるのじゃ? 来ている、近くに? 凄く気になるのぉーなあ大臣?」
女王は執務室から、飛び出していった。
後ろから大臣が何やら叫んでいた。