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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界

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30/417

9話 真紅の瞳の享楽の女王.2


11/27 加筆修正致しました。



 門兵達に引き摺られながら、正門の端にあった扉を潜り、地下へと下りて豚箱イン。

 アレだよね?

 ここって、西洋の拷問室だよね?

 右見て、赤いシミが付いた石の壁。

 左見て、赤いシミが付いた鉄格子。

 上見て、赤い苔が付いた石の天井。

 下見て、赤い苔が付いた石の床。

 後ろ見て、門兵のおっさん。

 前みて、門兵のおっさん。


 狭い部屋で、おっさんに挟まれてます。

 おっさんサンドイッチかな?

 息切れ、胸焼け、加齢臭に効く、特別なお薬を処方して下さい。

 俺の臭いだって?


「まだ加齢臭酷く無いわっ!!」


「何だ貴様っ!?」

「聞かれた事だけに答えろ!」


 ミルン、物凄く怒ってたなぁ。

 あいつら、大丈夫なのだろうか。

 他の門兵達を、あの可愛いパンチで襲って、人の睾丸も悪く無いモゴモゴと、怒りで我を忘れては無いだろうか。


「睾丸は……駄目だぞミルン」


「さっきから何を言っている……私の質問に、さっさと答えてくれないか?」


 門兵のおっさんが睨んでくる。

 怖いな、怖い怖い。

 懐かしき豚野郎の、臭いお口の一割程度ぐらいには、怖いと思うよ。


「質問ねぇ……あっ、背中痒いっ」


「"真心の水晶"に触れて、貴様に罪が有るのは明白なのだ。まさか知らぬとは言わぬな」


「何それ? マジカルストーンですか?」


 今日初めて王都に来た人間が、そんなん知ってる訳無いだろうに。

 コイツら馬鹿なのか?


「……余程田舎から来たのか? 透明、緑、黄、紫、赤と、その者が犯した罪によって、その色が変わる、貴重な水晶なのだが」


「へぇーっ、俺は赤色だったな。情熱の赤だから、問題無いだろ?」


「っ、殆どの者は透明。兵でも緑、悪くても紫でな……赤くなる事など、私はここに着任して三年になるが、貴様が初めてだ」


「わー凄いね? おめでとうございます!」


 ああ、眼精疲労のポーズですね。

 余程辛いのだろう。門兵のおっさんが、目を押さえてもみもみもみもみ。


「それでだ、もう一度聞く。一体貴様は、どの様な罪を犯したのだ」


「俺は何もして無いぞ?」


「嘘を吐くな」


「村長の家のお高い紅茶を、勝手に飲んだぐらいだけど……それか?」


「それでは無い!!」 


 じゃあどれだろうか?

 村長の家に上がり込んで、パンを食べた事?

 それとも、村長が大事そうに隠していた、お高そうな酒を、勝手に飲んだ事?


「貴様っ、一体過去にどのような悪事を行いっ、人々を苦しめ、陥れたのだ!!」

 

「そんな叫ばれても、何も無いんだが」


 過去、過去、過去なぁ、あれか?

 村人一掃キャンペーン。

 でも、誰も死んでませんけど?


「貴様……ステータスを見ていないのか?」


「何でステータス?」


「その者の行動によって、ステータスが変化する事を、知らぬと言う気か?」


「いや知らんて……」


「貴様が、何の罪を犯していないと言うのならば、真心の水晶が、赤く輝く事は無かった。今一度、自分のステータスをよく見てみろ」


 門兵のおっさんは、もう一人の門兵に何かを伝え、話はそれからだと、牢から出て行った。


「チュートリアル乙……」


 そう言えば、ステータスを全く見てないな。

 予想していたとは言え、やっぱり勝手に、色々変わっていくのか。


「なんか、見たくないなぁ」


 嫌だなぁ……でも、少しだけ気になる。

 王都の道中確認してないし、こんな清廉潔白な俺が犯罪者って、可笑しいもんね。

 そっとぉ……ステータス確認。


====================


小々波 流 35歳

レベル 10→11UP(楽し…経…値効果)

能力

STA 15

INT 23

VIT 17→56

AGI 90→135

DEX 85→120

(村人男性平均100とした値)


スキル

・身体強化(これで貴方もマッスルバディに)

・楽…い経…値リシュエルのサプライズ

・空間収納(大人の本の隠し場所として)

・基本魔法(一人暮らしのお供に)

・歪みの叡智(どうなっても知りません)

・ー 判別不ー ー


称号

・逃げ惑うニート

・崖からダイブするニート

・ミルンを愛する者(あっマズイです〜)


 ミルンを愛する者の効果を発動。


・ケモナー(ゴールド免許)

    +

・種を超えた奇跡(魔物特効)

    +

・怒れるニート(恐怖)

    +

・火事場泥棒(生き抜く為に)

    +

・なんちゃって魔王(笑)

 

 以上の称号を確認。

 統合開始。

 …統合中…。

 …統合中…。

 …統合中…。

 …統合…リシュエルからの妨害を感知…。

 …リシュエルからの妨害を感知…。

 …リシュ…ルか…の…。

 …統合…中…。

 統合完了。

 

 ・異界の無法者(これなら〜)

 ・半魔王(ぎりせ〜ふ〜ふふふ)


スキル

・身体強化(これで貴方もマッスルバディに)

 レベルアップ時DEX能力プラス値補正

 レベルアップ時AGI能力値プラス補正

 レベルアップ時上記能力値以外の成長を妨害

 

・楽しい経験値リシュエルのサプライズ

 行動内容によりランダムにレベルアップ

 レベルアップ時の効果音

 レベルアップ時のリシュエルの楽しい一言

 レベルアップ時の効果音


・空間収納(大人の本の隠し場所として)

 容量制限無し

 防腐効果 劣化軽減 

 効果範囲半径二十メートル以内

 手に持っている物は収納出来無い

 己の物と認識している物のみ収納可

 取り出す際は一覧を参照


・歪みの叡智(どうなっても知りません)

 使用時の心の揺らぎよる効果変化

 INT スキル使用毎にランダムでダウン

 -スキル使用制限中-

 

・基本魔法(一人暮らしのお供に)

 小々波 流の固有魔法

 全属性魔法中級まで使用可

 使用回数制限無し

 心の揺らぎにより範囲威力増減(抑制中)

 半魔王効果により制御可

 レベルアップ時INT成長を妨害

 

・ー 判別不能 ー

 運---捻-----ー判別不能ー


称号効果発生

・異界の無法者(これなら〜)

 空間収納効果範囲拡張

 レベルアップ時 VIT上昇補正大

 レベルアップ時 AGI上昇補正大

 レベルアップ時 DEF上昇補正大


・半魔王(ぎりせ〜ふ〜ふふふ)

 基本魔法制御解放

 心の揺らぎにより範囲威力増減の効果を抑制 

 特定の魔物好感度上昇

 レベルアップ時INT成長を妨害


====================


「……えっ、どゆこと?」


 俺はゆっくりと、背後に居る、もう一人の門兵のおっさんに振り向き、聞いてみた。


「ねぇ……どゆこと?」


「何がだ……おいっ、顔を近付けて来るな!」


 頑張って首を曲げ、伸ばして聞いているのに、何も答えてはくれなかった。


◇ ◇ ◇


「陛下っ、へいかあああ──っ!!」


「何じゃ騒々しい」


 ジアストール城、謁見の間。

 その直ぐ隣に作られた執務室にて、来期の税収入を計算していた、女王、ルルシアヌ・ジィル・ジアストールの下へ、大臣が顔に汗を張り付かせ、息も絶え絶え走って来た。


「へぃっ、へぃっ、へぃっ下!! 大変に御座いますううううう!!」


「少し落ち着かんか馬鹿者。儂は、へぃっ下と言われるのは面白いと思うが、今の其方の顔の方が、より面白く思えるぞぇ」

 

 ほれ、飲むが良いと、黒い液体を差し出す。


「あっ有難うこじゃいますへぃっ、へぃっ下っ」


 黒い液体が入った容器を手に取り、喉の渇きを癒す為、そのまま一気口へ────「ぶぶふううう──っ!?」

 

 入れた瞬間、盛大に噴き出した。

 見事な黒い噴水である。


「良いのう良いのう! その噴き出した勢いと、其方の顔……ぷっふふっぷっ、はっはっは!」

 

 持っていた羽ペンが手から離れ、実用性重視の椅子の上で、腹を押さえて笑いこけ、大臣は咳込み、其れを見て更に笑う。


「あーっ、笑うた笑うた。それで、大事とは何じゃ大臣。咳込んでおらずに、早よ申さぬか」


「ごふっ……」


 えーっ理不尽。

 大臣は、そんな言葉を飲み込みつつ、汗を拭き、息を整え説明する。


「現在、王都正門側の牢にて、犯罪歴のある者が居り、それが赤を示したとの事。また、その勾留している者の容姿が……っ」


 大臣の顔に、せっかく拭いたにも関わらず、再度大量の汗が吹き出す。


「赤じゃと……それより先の言葉を何故言わなんだ? 赤よりも重要な事なのじゃろ」


 大臣は首を縦に振り、言葉を続ける。


「勾留している者の容姿が……先の…そのぅ…ラクレル村を、蹂躙したと言われている魔王と、合致します!!」 

「何じゃとっ!?」


 呑み込むのに時間がかかった。

 村一つを軽く蹂躙せしめた、魔王と言われる存在。そんな存在が、王都に来ている。

 そんな存在が赤なのは納得しよう。

 赤なのは納得できるが。

 納得できるが。

 

「何故捕まっておるのじゃ……意味が分からぬのぅ。これは、確認せねばならぬなぁ、大臣?」

 

「……陛下?」


 女王は軽やかに執務机を飛び越え、そのまま全速力で、部屋から駆け出して行った。


「へいっっっ陛下ああああああ──っ!!」


 後ろから、大臣が何やら叫んでいた。



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