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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界

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23/418

7話 魔王?違いますニートです.4


 11/17 加筆修正致しました。



 ミルンは怒っていた。


「もう嫌ああああああああああ────!?」


 ドアを開けた瞬間、おとうさんが急に、鼻水をたれながし、泣きながら踊り狂って、そのまま倒れた。


 若干尿臭い。

 何をされたのかは、分からない。


「うっひゃははは! 何や今の顔っやばいわ!」

 

 けど、誰にやられたのかは、分かる!

 手を床に着き、牙を見せ、意識を、殺意を鋭く、尖らせていく。


「おーおー恐い怖い、お犬さんさやねぇ。飼い主やられて血管ぷちぷちっ、くくくっあかんっ! 笑いがとまらへんっ!」


 目の前の女が、足をばたばたさせながら、腹を押さえて転がっている。


「ころす!」────ドンッッッ!!


 一度天井に飛びつき、それを足場にして勢いをつけ、女の腹を目掛け────全力の蹴りを放つ!!


『だめですよぅ』


 女の腹に、全体重を乗せた足がとどく瞬間、ニアノールが現れ、足首を掴まれ、そのまま投げ飛ばされた。


 宙返りをして勢いを殺し、そのまま着地。

すかさず床を蹴り、今度は真正面から突っ込んで、ニアノールの眼球を狙う。


「恐い事しないで下さいよぅ」


 それも難なく避わされ、逆に回し落とされ、床に優しく、組み伏せられた。

 

「じゃっま…しないで…にあのーる」


 何とか、抜け出そうとするけが、腕を完璧に押さえられ、一向に抜け出せない。

 ニアノールは溜息を吐き、メイド服からゆっくりと、ナイフを取り出す。


「聖女様! お戯が過ぎますぞ!」


 白い歯を見せ、筋肉を膨らませたヘラクレスが、いつでも動ける様に、腰を低く構えた。


 聖女と呼ばれた女は、ヘラクレスに顔を向け、ゆっくりと体を起こした。


「ニア、もうええやろ。ヘラクレスがキレる前に、そん子離しーや」


「……分かりましたぁ」


 ミルンは、拘束から解放されて、流を護るように移動して、威嚇する。


「お前っ、何! おとうさんに何したの!!」


「なんや? そこの筋肉達磨に、聞いとんのんちゃうんけ?」 


 しゃあないなーと呟きながら、立ち上がる。

 ニアノールが、いつの間にか、見た事も無い形のモノを、肩に添えた。

 

 突然部屋が部屋が、暗くなった。

 ミルンは四足で構え、警戒する。

 暗がりだろうと、夜目が効く獣族。一切の油断無く、何か有れば直ぐ飛びかかる。


 ────ポンッ!


「魔物蔓延るこの世界ぃぃぃ」


 ────ポンッ!


「迷える人を、救うためぇ」


 ────ポンッ!


「古今東西、なんのそのぉ」


 ────ポンッ!


「亡者共も救いを求め来るぅ」


 ────ポンッ!


「清き心の、聖なる乙女ぇ」


 ────ポンッ!


「あ、我のこそわぁ」


 ────ポンッポンッ!!


「聖女、リティ────」

『もう嫌ああああああああああ────!?』


「……あらぁ」

「おとうさん起きた!」


「今起きんなやああああああ──っ!!」


             


「へーへー。すまんかった、すまんかった」


 胡座をかきながら、不貞腐れた顔で、テーブルに肘を付き、お菓子をぼろぼろこぼしながら、食べている女の子。

 行儀が悪いと言うか、汚い食べ方だ。


 空色の瞳には、何者にも支配されないと言う、力強さを感じさせる。

 褐色の肌に、白銀の纏められた髪色。

 何だか、神々しさが滲み出てるな。

 日本の着物と、似た衣装を着ており、大人になれば、男を惑わす傾国の美女に成りそうだ。


 胸が成長する事が、大前提ではあるが。

 あとこの性格と、喋り方もアレだな。

 残念聖女、リティナ・オルカス。


「なあ聖女様。俺が見たあの豚野郎……何処行った? アレは、何だったんだ?」


 俺は、目が覚めてから、村長に別室へ連行され、臭いからと着替えろと言われた。

 股間が滲んでますからね。

 じんわりしっとり、温かい。

 空間収納から、懐かしの、赤ジャージ上下セットを取り出し、装着完了。

 んで戻ると、さっきまで、歌舞伎のポージングをしたまま、固まっていた女の子が、不貞腐れたまま自己紹介。


 因みに、ミルンはずっと、俺の腰に万力の力でしがみ付いてます。

 ベアバッグかな?

 犬耳なのに?

 腰の骨が、メキメキってヤバいけど、ミルンの頭を撫でながら、何とか耐えてます。


 それで、俺が気を失っている間、何がおきたのかの説明を、村長から受けた。

 うん、犯人確定したぞっ♪


「お前のせいかこの糞餓鬼いいい──っ!!」


 俺がプチ切れを起こして、聖女に掴み掛かろうとしたら、首元に冷たい感触が。


『だめですよぅ』


 いつの間にか、ニアノールさんが背後から、俺の首元にナイフを添えていた。

 ミルンが其れを見て威嚇し、村長は頭を抱えて、ニアノールさんは目がヤバい。

 何この混沌。

 一瞬で冷静になったわ。


「あぁひょれな…ぷはっ。ウチはアンタが、何見たんか知らんのよ。ほんまゃやで。アンタがここ最近で、いひゅ番恐怖を感じた物を、見せる力やからな」


「食べながら喋るなよ……お菓子をボロボロと、行儀悪過ぎて何も言えんわ」


「んくっ。それでな、なんかニアが『気持ち悪い人来た!』って、涙目で言うて来たんや」


「気持ち悪っ……それで?」


「それでな、可愛いニアに何してくれとんじゃ! って、懲らしめたろ思ってん。ホンマすまんかったわーっ」


「あーなるほどなるほど……」


 俺は椅子から立ち上がり、ニアノールさんに身体を向け、両手の先をを揃えたまま勢いをつけて膝をおり、地面に額を押し付けた。



「すみませんでしたあああ────っ!!」



 これぞ、完璧な"DOGEZA"である。

 光るおっさんとは、モノが違う。

 こちとら社会人になってから、至る所で研鑽を積んで来た、本場の"DOGEZA"だからな。


「ヒィッ!?」

「いひゃっひゃっひゃ!!」


 一人は怯え、一人は笑う。

 大丈夫。

 これは、謝罪をしているだけなのだから。

 因みに村長は、空気になってる。


「あかんっ、ホンマおもろいなアンタ。まあええわ、挨拶もこのへんで、来てもろた本題や」


 聖女は、笑いを堪えてこう言った。


「一緒に王都へ、行って欲しいんよ。まお────」

「ニートです!!」


「……」

「……」


「ま」

「ニートです!!」


「……」

「……」


 俺は断固として譲らない。

 絶対に言わせて、あげないんだからね!!





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