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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界

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22/415

7話 魔王?違いますニートです.3


11/17 加筆修正致しました。


 

 聖女と御対面。

 何故そんな話になってるの?

 それはね、俺を呼んでるんだって。

 誰が?

 面識の無い、聖女様とやらがだよ。

 

 そんなこんなで、ミルンに装備を剥ぎ取られ、輝きを失ったおっさん共をひきずって、聖女さん何処かいな?

 

 肩の上のミルンは、おっさん共から剥ぎ取った装備を身に付け、御満悦状態。

 振り振りしてる尻尾が、背中をパシパシと、リズミカルに叩いてるよね。


「その聖女様って、何処にいるんだ。この村に、偉い奴が泊まれる場所なんて、見た事無いんだけど」


「其れならば問題は無い。聖女様は、護衛付きの馬車で、泊まられておるからな」


「ふーん。高級宿に案内しろとか、無いんだな」


 俺の勝手なイメージだけど、大体この手の人間は、高飛車、傲慢、偏屈と、三拍子揃った、名ばかり聖女だと思ってる。


『オホホ。私、ナイフとフォークより重たい物を、持った事が有りませんの』


『言う事を聞かないと、貴方死刑よ? それが嫌なら、薬草を摘んで来なさいな』


 こんな感じの聖女。

 あとは、イケメンにコロッとなびいて、他の人見捨てたりとかする、最悪な奴とか?


「流さん、見て見て! ぴかぴかっ!」


 ミルンは、腕に付けている剥取り品を、愛でながら遊んでるな。

 光り物が好きなんだね。

 物凄く可愛いし、俺も遊びたい。


「流君、あそこだ」


「あそこ……何あれ?」


 村長が指差した場所。

 確かにら馬が居るな……あれが、馬?

 異世界の馬って、脚が六脚あるの?

 凄い格好良い。


「お馬さん! お肉!」


「ミルンさんや、涎が頭に垂れてるよ?」


 あのお馬さん達は、お肉じゃ無い。

 と言うか、ミルンの殺気に勘付いたお馬さんが、一歩下がったよ。


『ブルゥッヒヒイイイイイイインッッッ』

『ブルゥブルゥッッッ』


「あぁ……暴れ出したな」


 繋がれてるから、逃げられ無いもんね。

 なんかスマン。

 

「それで、聖女様何処だ? 馬だけなんだけど」


「流君の目は節穴かね。繋がれておる先を、よく見るのだ」


 繋がれた先?

 くそ太いロープが伸びてて……んんっ?


「なあ村長」


「なんだね流君」 

 

「これは、馬車とは言わない」


 コンテナハウスって、言うんだ。


             


 ガコンッ────『どうしましたかぁ?』


 お馬さんが暴れたから、結構鳴き声響いて、コンテナハウスから、誰か出て来た。

 お馬さんに近付いて、撫でてるな。


「よーしよし。どうしたの、こんなに震えてぇ」

『ブルゥブルゥッ』


 お馬さんが、甘えた声を発してる。

 しかしそんな事よりも、俺はその、馬をあやすその姿に、眼を奪われてしまった。


「あれぇっ、ヘラクレス様じゃないですかぁ」


 こちらに気付き、静かに近付いて来る。


「あの姿は……」


 フリフリのメイド服に身を包み、青ずんだサラサラの髪の毛を、肩まで短く揃え、頭からピョコッと言わんばかりにでている、三角のお耳様。

 その三角に尖った両耳が、辺りを伺うようにピクピク揺れており、目が離せない。

 エプロンスカートからは、細くて長い綺麗な尻尾が、歩く度に振り振り振り振りと、後ろから付いて来るかの様に揺れ、その姿はまるで、天から与えたもうた人類の至宝。


 胸元に左手を当て、片膝を付き、右手の手のひらを上にしたたまま、前にだす。



「貴女が、聖女様ですね」



 俺の瞳から、涙が止めど無く、溢れて来た。


「ヒィッ!?」


 その麗しきメイド様は、何故か腰を抜かして、後退りをしている。


「流さん!?」

「何をしておるのだ流君!?」


 ミルンが俺の背中に、強めに尻尾を当ててきた、気持ちいい。

 

 その後、村長の拳骨と、ミルンの脳天ナックルを受け、俺は我にかえった。


「君と言う人種は……彼女は、聖女付きのメイド兼護衛の────」


 エプロンスカートの両端を、指で摘み、軽く持ち上げ、流れる動きで頭をさげる。


「初めましてぇ、ニアノールと申します。ヘラクレス様の仰る通り、聖女様のお付きを、させて頂いております。宜しくお願い致します」


 笑顔が可愛い、猫耳が可愛い、モフっと尻尾が細くて、素敵な尻尾。

 メイド猫耳……流石異世界。

 神の創りたもうた、素晴らしい存在だ。


「ニアノールさんだね……ハァハァ」


「ヒィッ!?」

「流君!?」────ゴッッッ!

「流さん!?」────ボクッッッ!


 二人にまた怒られた。

 あとミルンさんや。脳天肘打ちは、下手したら死ぬから、止めて下さいクソ痛い。


「でっでは、こちらでお待ちください」


 急いで何処かへ、行っちゃった。

 猫耳メイドさんカムバーック!!


 コンテナの中に案内され、少し待機。

 見れば見る程、小さな家だ。

 壁として、太めの木材を使い、それを組み合わせて、待合室やお手洗い、各用途に合わせた部屋としているっぽい。


「ふむふむ……」


 考えている風を演出だ。

 頭の中は正直、ミルンのモフモフ尻尾と、ニアノールさんの猫耳で、埋め尽くされている。

 他の事を考える余裕なんて、無いっ!!


「目が犯罪者っ、どうしたのだ流君」


「流さんは、私と初めて会った時も、身体を弄って来て、楽しんでいたの……」


「ミルンさんや……それは誤解だよ?」


 ミルンの爆弾発言に、村長は真面目な顔をして、俺の細腕を捻り潰さんばかりの力で掴み、濃い顔を近づけて来た。


「流君……頼むから、頼むからっ! 聖女様に失礼の無い様っ、頼むのであるっ!!」


「顔近いっ、念押しせんでも分かってるよ!?」


 ここ迄念押しって。俺が一体、いつ、誰に、失礼を働いたと、言うのだろうか。

 酷い村長だぜまったく。


「お待たせ致しました。此方へどうぞぉ」


「ようやくか」

「頼むぞ流君……」

「猫耳には要注意……」


 ニアノールさんの案内で、ドアの前に立ち、軽くノックして、声をかける。


 コンッコンッ────「入って良いか?」


『入って来てええでーっ』


 関西弁の様な、少女の声が聞こえた。

 さぁさぁ、聖女様とご対面だ。

 どんな奴なのかね。

 ゆっくりと、ドアを開く。

 因みにドアは、引いて開けるタイプだ。

 

「んっ? 壁……」


 壁があるんだけど……壁…かっ!?

 ペタペタと、その壁を触っていたら、生臭い鼻息を、俺の顔に吹いて来た。


 頭がデカく。


『プギィ』(片目ウインク)


 顔もデカい。


『プギィプギィ』(片足立ち)


 身体は丸身を帯びており。


『プギィプギャ』(腹肉掴みブルブル)


 腕はミルンの大きさで。


『プギプギ』(力こぶっ!)


 股間に光る、もっこり感。


『プギィィィ』(大股)


 鼻息荒くその姿。


『プギィ』(腕を上げ)


 忘れはしない夢の中。


『プギィッッッ!!』(マッスルポーズっ!!)


 二足歩行の、お豚さん。


『プギイイイイッ! プギャァッッッ!!』



「もう嫌ああああああああああ────!?」



 恐怖で股間が若干湿り、涙が溢れて思考がバグり、俺はそのまま、意識を手放した。



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