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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女の居る世界

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間話 ルルシアヌ・ジィル・ジアストール.4


 2026/06/12 改稿!


 ゼイルノースお兄様、アシュノンお姉様、そして私。この三人で、現国王である、バハス・ゲイ・ジアストールと、三人の王妃達を、秘密裏に処刑する。

 決行は──僅か半年後。

 早過ぎるとは思いましたが、『麗しの尻尾の君に、一年待って欲しいと、言ってしまったからね』と、有言実行する気らしい。


「まったく……無茶な事ですわね」


 ボヤきながらも、私に出来る事をする。

 城下に流れる情報を、逐一確認して、冒険者達の動向を把握し、現王宮を良しとしない、反王政派に近付き、信用を得ていく。

 時には、影に指示を出し、脅しや工作なども行ったが、多用せずに、必要最小限に留める。

 そうして、一月、二月も経てば、私を筆頭とした、反王政派としての形が出来上がる。

 

「王や王妃を誅した後は、自分達が標的だとも気付かずに、愚かですわねぇ」


 私との繋がりを、悟られぬよう、信用に足る者程、距離を置き、後の混乱に備えている。

 特に、北の国境を守護する、アッパー辺境伯が、味方に付いてくれた事は、大きい。


「脳筋伯ではありますが、頼もしい味方ですわ」


 北の諸侯らを抑え込む為の、手札になる。

 中央は、反王政派である私。

 東の国境には、アシュノンお姉様が向かい、そのまま第二騎士団諸共、行方をくらます。

 問題は南の国境周辺の、諸侯達ですれど、今の所は、目立った動きが見られない。


「傍観かしら……あの肉塊達の考えは、よく分かりませんわね」


 そうして、あっという間に月日が経ち、計画を実行に移す日──私は、三人の王妃達と、庭園でお茶会をしていた。


「聞きまして、エルリダ様。最近奴隷の仕入れが、上手くいってないようですわ」


「あら、そのお話は古くてよ。デリノアは相変わらず、流行りに疎いのね」


「ほらぁ、そんな睨みあってないでぇ、新作の焼き菓子を、お持ちしましたのよぉ」


 実に詰まらないですわ。

 最近の服の流行りだの、伯爵に子供が、侯爵に子供がと、仲良く紅茶を嗜み、結局この王妃達は、私達の企みに、気付く事はなかった。

 

「ルルシアヌ、こちらへ来なさい」


 おっと──笑顔を忘れずにですわ。


「はい、デリノアお母様」


 優雅に、早くもなく遅くもない歩幅で、真っ赤なフリル付きのドレスを、汚さぬ様に気をつけながら、お母様の前で立ち止まる。


「貴女はもう、八歳になるのです。そろそろ婚約者を、決めなければなりませんわ」


「承知しておりますわ、お母様」


 あと少しで、お母様達の命が散るのに、何とも可笑しな話ですわ。警戒心の欠片もないだなんて、衰えましたわね。


「出来ましたら、お兄様の様な格好良い男性が、良いのですけれど……その様な殿方は、ジアストール中を探しても、おりませんわよね」


 第一王妃である、エリルダに顔を向け、ワザとらしくお兄様を持ち上げると、それに機嫌を良くしたのか、ゆっくりと近付いてきた。


「本当に、貴方達は仲が宜しい事。でも流石に、兄妹では婚約出来ませんわよ? ルルシアヌの願いは、叶いませんわね」


「可愛らしいですねぇ」


「ルルシアヌ。貴女にはしっかりと、相応しい殿方を、選んで差し上げますからね」


 そう口々に三人が言うと、何が可笑しいのか、「「おほほほほほほほほ」」と口元を隠しながらの、大合唱を始めた。

 とても耳障りな、苛々する声ですわ。


「あら、嫌ですわお母様。あくまでも、こんな方が理想と、申し上げたまでですの」


 ニコッっと笑顔を振り撒くと、ああ可愛らしい可愛らしいと、馬鹿共に囲まれる。

 香水臭いし、暑苦しい。

 合図も遅いし、いっその事始めようかしらと、悩んだその時、プウァ──ッププププウァ──ッと、正門の方から、ラッパの音が響いてきた。

 王妃達の視線が──私から外れる。

 このラッパの音が合図。

 この場に居る三人を、始末する合図。


「ようやくですわ……"影"、殺しなさい」


「ルルシア────」


 お母様と、目が合った。

 胴から首が離れ──そのまま地面へと、鈍い音を立てながら落ち、足下へそれが、転がってきた。

 その顔は、笑顔のまま。

 跳ね飛ばされた時──お母様の口が動き、『それで良いわ』と、言われた様な気がした。


「お母様……っ、貴女はまさか……気付いておられたのですか?」


 気付いていない、フリをしていた? 何故そのような事を? 何の為に、誰の為──私の、為に、お母様は見て見ぬフリを……。


「デリノア……お母様」


 その場にしゃがみ込み、お母様の頬をそっと撫でて、ゆっくりと立ち上がると、直ぐに次の場所へと、足を向ける。

 

「次は国王ですわ。影、その剣を寄こしなさい」


「……宜しいので?」


「お母様を殺しておいて、今更ですわ。それに私、こう見えて剣の腕は、一流ですのよ」


 もう、止まれませんわ。既に事を成したのだから、今、この場で、泣き叫ぶ訳にはっ、まいりませんの。


「後悔も、懺悔も、全て終わった後ですわ」


「"女王陛下"。王妃達の亡骸は、他の影を使い、丁重に弔っておきますので、ご安心を……」


「ええ、お願い……ではないわね。分かった。事が終わり次第、墓の場所を教えよ」


 影が女王と認めたのならば、それらしく振る舞い、前国王の前に、立たなければならない。

 私は大丈夫だと、敬愛する、ゼイルノースお兄様へ、示さなければならない。

 お兄様が旅立てるように。

 しっかりと、送り出さなければ。


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