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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界

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17/404

間話 ジアストール王国の小さな悪魔.3


 11/10 加筆修正致しました。



 遠くで声が聞こえる。


『一体いつ私が、この様にせよと命令した?』


 この声は……ぴかぴか王子様?


『旦那の命令を無視したんですぜ? 痛め付けねぇと、他の奴らも理解しやがらねぇ』


 薄っすらと目を開ける。

 もう一人は……腹がデル監督だよね。


『しかもこいつ等は、化物。いくら痛め付けても、躾をして死んだとしても、何の問題無いでしょう?』


 問題大アリ。

 化物じゃ無いし、普通に痛いモノは痛いし、死ぬのなんて絶対に嫌です。


『そうか。ならば貴様は、私の言葉を勝手に解釈し、捻じ曲げ、弁明も無いと言うのだな』


『旦那……?』


『挙句、我が国の所有物である、"価値のある奴隷" を、"自己の判断で勝手に傷付けた"と言うのだな』


 私は私のモノです。

 国の所有物なら、一日三食おやつ付きで、休みもしっかり下さい。


『いや、何言ってるんですか旦那? こんな化物に、価値なんてある訳無いでさぁ。せいぜい魔物の餌か、夜の『影、殺せ』────?』


────プシュッ!!


 うぇっ、気持ち悪いっ!?

 監督がミンチ宜しくっ、細切れになった!?

 あの黒い人、何処から現れたの?

 今さっきまで、居なかったよね?

 何か怖いっ!!


『おい、起きているのだろう』


 尻尾をパタパタ────(寝てまーす)


『僕はまだ、昼食を食べていないんだ』


 尻尾をパタン────(はいそうですかー)


『一緒に、"肉料理"など如何だろうか?』


 尻尾をピンッ────『是非食べましょう!』


 魔法発動っ!!

 ヒュッと風が巻き起こり、檻を切り裂き破壊して、ぴかぴか王子様の目の前へ。


『早く肉っ! 血が足りないっ!!』

 

 こちとら血が出て、腹が減ってるんだ。

 嘘だったら、喰うからね?


『影、持って来てるか』


 影さん?

 大きいマンガ肉持ってるっ!!

 それ私にくれるの!?

 影さんから渡された、マンガ肉……こんなの、前世でも食べた事無いよ。


『じゅるっ……頂きますっ!』


 お肉♪、お肉♪、お肉♪

 自然と尻尾が揺れちゃうよ。

 だって、涙が出る程美味しいもん!


『っ……美味しいか?』


『最高だね。有難う御座います!』(ニコッ)


『あふんっ……』


 その時、その瞬間、王太子であるゼイルノース・ゲイ・ジアストールは────全力で初恋を拗らせた。


『さっ……触りたいっ!』


『急に何っ!?』


 尻尾を狙ってる!?

 手をワキワキしながら近付いて来るもん!

 来たら殴るからね!!

 



 それからは、あっという間に何だろう?

 ミンチになった監督の代わりに、この場所の管理者に任命されたのは、あの影さん。


 デルミンチを作った張本人が、管理者になるって、ある意味乗っ取りでわ?


 王子様本人?

 何処かへ行きました。

 顔が気持ち悪かったよ……本当にね。


『すまない。一度本国へ帰り、なるべく早くに迎えに来れる様、努力する。そうだな……一年。あと一年だけ、耐えてくれるかい?』


 などと、意味の分からない事をのたまい、私の尻尾を、名残惜しそうに眺めながら、この場を去って行きました。


 私? 私はね……で影さんから、簡単な指導書を渡されて、私が他の子達を管理する様、小さな声で言われたの。


 文字何て読めないよ。

 だってここ、日本じゃ無いでしょ。

 そう思って指導書を見てみたら、普通に読めるんですけど。

 何で、私が文字読めるって分かったの?


 ねえ影さん。

 これ、丸投げだよね?

 そんな事、言える訳が無い。デルミンチを、作った人だからね。


 指導書を読む。

 そこには、キッチリと労働時間が定められており、食事は一日三回、休憩時間にはお菓子も支給され、自由時間まで確保されている。

 しかも、必要だと思える物を申請すれば、買って来てくれると言うのだ。

 

 何この高待遇。

 今迄の、私達の暮らしは……何だったの。

 有難いけどさ。


『貴女はそれを、彼らに徹底してして下さい』


 影さんの声初めて聞いた!?

 男性? 女性?

 声が通ってて、凄く良い声だよね。


 命令なら仕方がない!

 この私がちゃんと守らせますとも!

 安心して下さい!


 頭では応えているのに、口からだせない。

 あーっ、眼がぼやける。

 埃入った。

 私は顔を隠しながら、首を縦に振った。


 影さんが、私の頭を優しく撫でるのだった。


◇ ◇ ◇


 薄暗い空間に設置された、円卓を囲む者達。


『さて……以上が、今回の視察の報告となる。この状況、計画を早める必要が、あると思うのだが。どうだアシュ?』


 ゼイルノース・ゲイ・ジアストールは、彼女達に問いかける。


『そうですわねぇ……このままだと良くて暴動、悪くて国が滅ぶ。でしょうかぁ? う〜ん、どう思いますかぁ、ルシィ?』


 蒼き瞳の慈愛の姫君。

 アシュノン・ゼァ・ジアストールは、末妹に問いかける。


『間違いなく滅ぶでしょうね。そうでしょう、ゼイルノースお兄様?』


 真紅の瞳の享楽の姫君。

 ルルシアヌ・ジィル・ジアストールは、長兄に問いかける。


「そうだ。各労働施設全てで、いつ爆発してもおかしく無い状況が、既に出来ている。父上も母上も、人種の事しか見ていないから、気付かない。気付けないのだ」



 暴動が起きれば、其れを鎮圧すれば良い。

 非常に簡単な事だ。

 だが、それをしてしまえば、国は自らの首を絞める事にも、なってしまう。


 今までこの国は、耕作、鉱夫、汚水の処理等の、過酷な労働に、奴隷を利用して来た。

 獣族など、掃いて捨てる程にいる。

 そう言わんばかりの、生死を問わぬ環境。

 建国から続く永い時の中で、小規模であれば、幾度も経験した事態。


 ただし今回は、規模が桁違いに大きい。


 金色の瞳の知恵者。

 ゼイルノース・ゲイ・ジアストールは、息を吸い、覚悟を決めて声を発する。


『今、この時を持って……』


 確固たる意思を胸に。


『王の首狩ってガス抜き作戦を……開始する!』


 あの麗しき尻尾をっ、愛でる為に!!


『あれぇ……首狩って、お花で飾りましょう! 作戦では無かったですかぁ?』by.アシュ


「違いますわ。首狩って投げ合いましょう! 獣族達と! 作戦ですわお姉様」by.ルシィ


 纏まりの無い、悪魔達が動き出す。



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