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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界
12/201

5話 異世界の現実.4



 俺は、寿命を頂きますと言わんばかりの最悪の目覚めを経験し、元凶である豚野郎(革製品)の剥製を蹴り飛ばしつつ眠気眼で屋敷から出る。


「ふぁあぁあぁあ…眠い」


 普段であれば二度寝三度寝は当たり前の生活だったのに何で健康おばあちゃん朝のウォーキングの時間ですみたいな時間に起きなければならないのか…ぁあビールが飲みたい。


 村中に行く為獣道を進む。

 とりあえず村長に飯をたかりに行こうかな。

 そんな事を考えながら村の出入り口へと到着すると、塀の外から村長の物騒な声が聞こえてきた。


 「追い詰めろー!」

 「遠くから魔法隊、弓隊で縫い止めろ、戦士隊は包囲にて逃げ場を与えるなー!」

 「冒険者は隙を見て奴を仕留めろ!」

 

 さすが異世界、魔物でも追いかけてるのかねと思いながら早足で逃げるように村長宅へ向かう。


「今なら村長宅には誰も居ない。ゆっくり茶でも飲みな、ご飯を食べながら帰りを待つとしよう」


 他人の家でもお構い無しに不法侵入、RPGの醍醐味だよね? えっ? 犯罪? 友達だから良いんだよ。


            ※


 村長宅に鍵が掛かって無かったので優雅に朝のモーニングタイムだどれどれ。


 台所にあったお茶(物凄く高級そうな)と戸棚にあったパン(異世界産)をテーブルに並べて、さぁ頂きますムグムグうまぁい。

 

「おはよう流くん! それで! 不法侵入と言う言葉を君は知っているかね!!」


 チッ、タイミング良いな。


「何の事だ。昨日服を貰う時に明日飯を食いに来いってアンタが言ったから来たんだぞ?」

「ははは! そんな事言ってはいな」


「言った」

 村長の言葉尻を潰す。

「いや、流くん! 言って──」

「言ったぞ」

 村長の目を見ながら更に潰す。


「言った事忘れたのか村長? 何とも村の長様は記憶力が乏しい様でいらっしゃる。全部筋肉に持っていかれてるんじゃないか? それとも何だ、俺が村に来たのは昨日で食べる物も無い。そんな状況でどうしろと? 俺に死ねと言うのか? 死ねと言う気か? あと俺のリュッー鞄返せ」


 淡々と煽る。

 おっ村長の笑顔がピクついてる。


「ふぅ…先ずは鞄を返そう! ご飯も構わない! 後で仕事を紹介するからその顔をやめなさい!」


 おっと、煽りフェイスになっていた様だ反省反省。


 そして次の日。


「流くん!? 昨日紹介した仕事はどうした!?」


 村長宅モーニングを優雅に堪能しながら答える。

 畑作業の邪魔になるからって言われてクビになった。


 また次の日も。


「流くん!? 村の外の見回りはどうした!?」


 村長宅モーニングを静かに堪能しながら答える。

 うん、武器なんて持った事が無いので使えないと伝えたら呆れられてクビになった。


 そのまた次の日も。


「流くん! 村の子供達に変な事を教えないでくれたまえ!!」


 村長宅モーニングを堪能しながら答える。

 聞かれたから答えた。

 村長は優しいモンスター(魔物)だよって。


 少し、楽しかった。いや、楽しかったんだ。

 異世界にー俺は浮かれていた。


             ※


 今日も今日とて村長宅へ飯をたかりに行きましょうと鼻歌を口ずさみながら村の中を歩く。


「おぉにいちゃん! これ、村長のとこ持って行きな!」


 肉屋のおっちゃんからブロック肉を持たされる。


「「流にいちゃーん今日も遊ぼー」」


 はいはい朝飯食べた後でなと村子供達に手を振り合図する。


「お仕事見つかるといいわねぇ」


 花屋のお母さんから嫌味を言われる。


 ここ数日で話しかけられる事が多くなった。まぁ人畜無害なニートですからねと自分を納得させながら歩いていると、村に設置している櫓がある方角から鐘の音が響いてきた。


 初めて聴くこの音を疑問に思っていると──

「おい、にいちゃん。あの鐘が鳴ったら討伐完了しましたって合図だな! 今日は店閉めて見にいかねぇとな!」

──後ろから肉屋のおっちゃんが教えてくれた。


 そう言えばここに来てから豚野郎以外の魔物を見たことが無いなと思い、鐘を鳴らしたであろう櫓へとのんびりと足を進めた。


             ※


 先へ進むと人だかり、お立ち台の上に村長の姿があり声高らかに叫んでいた。


「村人達よ! これでここ、ラクレル村に迫る脅威を取り除く事が出来た!」


 いいぞー! 流石はヘラクレス様だ! と周りの村人達の熱も高い。そんなにヤバい魔物だったのか。


「この魔物! 数年前よりこの地に現れ、我々の暮らしを悉く脅かして来た!」


 どれどれと凄く気になり、俺は魔物見たさに村人達の間を通りぬける。


「この醜い姿! 我らの神々を冒涜し! 貶め! 踏み躙るこの魔物を!」


 ようやく抜けれたと一息。


「この世界から根絶する事を皆に誓う!!」


 俺は魔物を見る為前を向き目を見開く。


 村人達の歓喜の声が響く中。

 

 犬耳幼女ミルンがー血溜まりに倒れていた。

 


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