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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
二章 異世界とはのぢゃっ子ドラゴンが居る世界

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1話 やらかし男の後始末.5


 2026/03/11 加筆修正致しました。


 

 鑑定持ちの、羽人さんが見た、俺の称号。

 半魔王。イコール、半分魔王。

 ケモ耳達って、魔王崇拝者なの? 俺に向かって跪かれても、出せる物は無いのにね。


「えっとな……この村の長は、そこのヘラクレスって言う筋肉だぞ? 住んでも良いかどうかを決めるのも、勿論村長だ」


「この地は、魔王様の庇護下にあるのでは?」


「違う違う。俺は補佐みたいなモノだし、移住を許可出来る立場に無い。住みたいなら、村長の許可を貰ってくれ」


 村長に丸投げ出来れば、俺が助かる。崇拝なんて、されたく無いわ。


「……流君」


「あれっ? 商業ギルドの人と、話終わったのか? なんで怒り顔なんだよ」


「ボソッ(面倒事を、私に押し付ける気かねっ)」


「ボソッ(いや、ここの代表は村長だろ?)」


「流君まさか……いや、何も言うまいっ」


 何だ、急に下がったぞ? 俺の言ってる事を、理解してくれたのかね。


「済まんが、見ての通り家がまだ無い。多少不自由な思いをさせるが、陛下の命により、移住を認めるのである」


「あっ、有り難う御座いますっ」


「ここに住めるのか……」


「魔王様がいらっしゃるなら、安心できるぞ」


「自分の畑を持てるのか……うぅっ、やっと、マシな生活が出来るっ」


 ここに居るケモ耳達は、ルシィが寄越したケモ耳達だから、移住出来るのは当たり前か。

 代表である、村長の許可も貰ったし、早めに生活環境を、整えてやらないとな。


「村長、頑張ってくれよ」


「何を言っておるのだ流君。君も、村の復興の為に、働いて貰わねばならぬ」


「えっ? 職人さん居るんだし、俺要らないだろ。邪魔になったら、どうすんの?」


「なあに……流君でも出来る、簡単な仕事ばかりなのである。私の事を、代表と認めたのでな。従って貰うとしよう」


 さっきの意趣返しか。だが村長、忘れちゃいないだろうな。この地の長は村長だけど、立場的には、俺が上だと言う事を。


「相談役として、従うのを断固拒否するっ!」


「この村を、塵と化した責任を取るか、私にまた殴られるか……どちらにする?」


「脅しとかっ……チッ、何すれば良いんだ」


「先ずは、村を囲う柵の設置である。このままだと、魔物が来ても守れぬ」


 そりゃそうだわな。ゴブリン一匹でも、子供達からしたら、立派な脅威だし、村を守る為の柵は、必須だろう。


「でもなぁ……柵か」


 木の柵なんて、直ぐ壊されるだろ。それなら柵では無く、城壁の方が良いんじゃね。


「あそこの山って、岩山だよなぁ……」


 城壁ならケモ耳っ子達も、安心して暮らせるし、村を一から作るなら、規模を拡大しても、文句は言われないだろう。

 

「なあ村長」


「何かね、その笑みは」


「建築屋の親方、借りて良いか? 村の防備に関わる事だから、ガチでするわ」


「何を考えておるっ」


「そんなん、ケモ耳っ子達の安全だ」


「むぅ……」


 悩む必要なんて、無いのにな。

 一度やると決めた以上、妥協なんてせずに、徹底的にやり尽くすぞ。


「その目は、本気であるな……バリアス殿っ! こっちへ来てくれっ!」


「なんじゃいっ! 儂は今から、木材の調達をせねば、ならんと言うのにっ!」


「建築木材か、丁度良いじゃん」


「何じゃ御主っ!」


「良いから聞けよ。俺のスキルをフル活用して、速攻で資材を、集めてやるからさ」


 俺の思い付きを、村長と親方に伝えると、二人とも即了承。そりゃぁ、作業効率爆上がりだし、コレ出来るの、俺だけだからね。


「ミルンは……ネリアニスが見てくれているから、大丈夫だな。それじゃあ親方、準備しといてくれよ」


 俺とミルンが、初めて出逢った場所。

 魔龍の川近くの山。

 樹齢何百年なのって、聞きたくなるぐらいの大木が、所狭しと生えている。そんでもって、普通の山と岩山が、隣同士の有難い場所。


「ほいほいほいっと、素材集め無双だわ」


「……山が簡単に、削られて行きますね」


「凄えスキルだなっ!」


「リスタ、アジュ。魔物来たら頼むぞーっ、ほい"空間収納"。おっ、あの岩もーらいっ」


 リスタとアジュに、俺の護衛を依頼して、大量の木材と岩を回収。手ぶらでぶらぶら、村へと帰り、親方の前に積み上げる。

 俺の物と思うだけで、簡単収納流便。引っ越し屋とかに、向いてそうなスキルだな。


「……はっ!? おうお前らっ! 呆けてねぇでっ、仕事をおっ始めるぞっ!」


「「「へぃっ! 親分っ!!」」」


「親方だよな? 何故に親分……」


 山と村を行ったり来たりと数十回。ほんの僅かな時間で、城壁用の石材が、それこそ山の様に、集まりました。


「ここからは、親方衆の仕事だ。宜しくっ!」


「おうお前らっ! 道具は持ったなあっ!」


「「「へぃっ!」」」


「そいじゃ行くぞ──っ! せいやっ!」


「「「そいやっ!」」」


「せいやっ!」


「「「そいやっ!」」」


「せいやっ!」


 ドガガガガガガッと、削岩機の様な音を立て、岩がゴリゴリ姿を変えて、あっという間に、長方形ブロックになりました。


「化物親方衆だ……怖ぇ……」


 ある程度の数を作ったら、再度空間収納内に保管して、城壁予定地へと運ぶ。

 位置で言うと、ラクレル村跡地を越えて、王都側へ三千歩進んだ所だ。二キロ程だろうか。


「時計が有れば、楽なんだけど。"空間収納"」


「流さんが居れば、石材運びも簡単ですね」


「色々使える、便利なスキルだぞ。リスタはスキルを、持って無いのか?」


「持ってますけど、戦闘系ですから。アジュも同じで、冒険者向きですね」


「へぇ……俺のスキル、変なモノばっかりだから、少し羨ましいわ」


 こうして、加工した石材を、山の様に積み上げておくと、親方の子分達が集まって来て、近場に小屋を建てた。城壁作りの拠点だろう。


「うしっ、運びまくるか。リスタ、ここの護衛は任せたぞ。アジュは村の護衛だからな」


「任せて下さい」


 俺のちょっとした思い付き。

 村の規模を拡大して、城壁で囲い、ケモ耳っ子達が、安心して暮らせる場所を作る。


「最初に会った豚野郎なんて、俺の倍は大きかったし、木の柵なんて、意味無いだろ」


 そうしてまた、行ったり来たりと石材を運んでいると、もう壁が作られてんのよ。

 

「化物だらけじゃん……流石異世界」


 数百キロの重さの石材を、まるで小石の様に持ち上げて、壁の上の職人に、『おらよっ』と声を出して、投げ渡してんの。


「護衛要らないんじゃね? 何よアレ……」

 

 足場も作らず、そのまま垂直に駆け上り、あの図体で忍者なの? 異世界忍者?


「なあ、そこの職人さん」


「へいっ、何でしょうや」


「アレって、どうやってんの? 皆さん化物?」


「あぁ、アレはスキルでさぁ。人、物問わずに一定時間、重さを十分の一に出来るんですわ」


「何それ? 全員チート持ちかよ」


 俺の意味不明な魔法と、交換して欲しい。

 空間収納と、そのスキルがあれば、マジで忍者になれるじゃん。


「おーいっ! そこの兄ちゃんっ!」


「んっ? 親方じゃん。なんだーっ!」


「そろそろ杭打ちしてくれぇーっ!」


「……杭打ち?」


 何じゃそりゃと、親方の方へ向かうと、俺の終わらぬ地獄が、始まった。




「で、今に至ると……よいしょっ!」


 杭と杭の間は、六メートル程。

 道幅三メートルとして、形の違う杭を使い分けて、畑区画、居住区画となる目印とし、間違え無い様に、打ち込んで行く。


「何百戸建てる気だよ、あの筋肉めっ」

 

 直ぐ近くの穴を見ながら、悪態を吐いていると、そこからパシャっと、音が聞こえた。


「んっ? 何か飛んだ?」


 太陽光が眩し過ぎて、良く見えない。

 すると今度は、ドポンっと音が聞こえ、何かが落ちて行った様だ。


「何今の……デカい魚か?」


 そっと穴を覗き込み、溜まってきている水を眺めたが、何も見当たらない。


「と言うか、落ちたら危ないな。この穴こそ、柵で囲んでおかなきゃ駄目だろ」


 手が空いている職人達に、お願いをして、山から採って来た大木を材料に、穴の周りを囲う様にして、柵の完成。

 移住希望者達も、手伝ってくれたので、人海戦術で、夜までにやり切ったぞ。


「疲れた……辺りも暗いし、そろそろ帰って、ミルンの尻尾に癒されよう……ふへぇ」


 こんなに働いたのは、社畜時代以来だなぁ。

 そんな事を懐かしみながら、ふらふらと、屋敷へ歩いて行った。



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