帝都(ザック)
帝都は、シウダとは全く違っていた。高価そうな服を身にまとった人々が行き交い、街には活気が溢れている。道は綺麗に整備され、どこまでも遠くへ続いていた。
その中央には王宮が建っている。
そして、その少し奥には、王宮よりも高く巨大な壁がそびえ立っていた。
特に僕が驚いたのは、街に並ぶ建物だった。
シウダで見た建物とは、何かが違う。
石造りにも見える。でも、石とは違う。表面が滑らかで、建物そのものが一つの塊になっているように見える。
「アシュさん、あれは何でできているんですか?」
「鉄筋コンクリート、という素材ですわ」
「鉄筋...コンクリート?」
聞いたことのない言葉だった。
けれど、それよりも今は成人の儀のことが気になっていた。僕はそのために、ここまで来たのだ。
「アシュさん、僕達は成人の儀の為にここに来たんですが、会場は何処にあります?」
「成人の儀?あぁ、それならあそこに見える壁まで歩いていけば分かると思いますわ」
アシュさんは、遠くに見える巨大な壁を指差した。
「わたくしは少し用事ができましたので。では、ご機嫌よう」
「えっ、あ、はい。ありがとうございました」
僕達はアシュさんと別れ、遠くに見える壁に向かって歩く。すると、門が見えてきた。
どうやら、あの門の向こう側が帝都の中心らしい。
門へ近づいていくと、直ぐに数人の門番兵が慌てた様子で僕達に駆け寄って来る。
「おい!お前ら、どうしてこちら側にいるんだ」
兵士は鋭い目つきで僕達を睨みつける。怖い。とりあえず身分証を見せればいいのかな。
「あ、あの、身分証を...」
僕が身分証を取り出そうとした瞬間、兵士に腕を掴まれた。
僕達は数人の門番兵に手首を掴まれ、そのまま門の外へ引きずり出された。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
抵抗する間もなく、背中を強く蹴られた。
僕は地面に倒れ込みながら、締まりかける門にいる兵士に慌てて叫んだ。
「ちょ、ちょっと待ってください! 僕達は成人の儀をしに来ただけで」
締まりかける門の隙間から兵士の一人が言う。
「ああ、ならコッチであってるよ」
「えっ」
門は閉まる。
追い出された先には、舗装されていない道が広がっていた。浮浪者や酔っ払いが道端に寝そべり、服装も僕達と変わらない人々が歩いている。
さっきまで歩いていた綺麗に整備された道とは、まるで別の場所のようだった。
「ここが……帝都?」
リアも周囲を見渡している。
僕は何が何だか分からなかった。
結局成人の儀の場所はよく分からなかったので、僕は出店がポツポツと並んでいるのを見つけ、その中の店主に聞くことにした。
「お、いらっしゃい!」
「あ、あの〜僕達成人の儀で来たのですがどこですか?」
店主は怪訝な顔で話す。
「何だてめえら、客じゃないのか。なら、何か買ってくれねえと教えられねえな。」
僕は店主に手持ちの銅貨を見せて聞いた
「じゃ、じゃあコレで買えるものを」
店主はニタニタしながら答える
「それじゃあこの大根一本だな」
僕は即答した。
「...へ?」
銅貨を手渡す。
店主は目を丸くした。
まさか本当に買うとは思っていなかったらしい。
そのまま、店主は質問に答えてくれた。
「ここから見えるだろ、あのデケェ、教会だよ」
「あ、ありがとうございます。」
僕は大根を片手に、リアと教会を目指す。




