異世界人
俺は、あの少年を見ていた。村の人間とは、何かが違う。そろそろだな
とりあえず連絡をしておくか。
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私は、その話を聞いた。
「異世界人、ですか」
私はそう呟く。
昨日の話を思い出す。
全くもって不快だ。思わず怒りが顔に出てしまう。
私の友人が聞いてくる
「どうなされたのライラさん」
「オホホ...なんでもございませんわ」
優雅なティータイムを終えて私はすぐに現地に向かう。それにしてもまた、面倒ねあんな何もない村まで行かないといけないとは...
「もっと速くしてくださらない!」
「ハッ!ライラ様!」
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「疲れたぁ」
オレは日頃の畑仕事をこなし、休憩する。
「ふぅ〜」
「なに休憩してるんだまだ、始めたばかりじゃないか!しかも、今日は珍しく早く起きているのに!」
「まあまあwオレが父ちゃんの仕事ぶりを見てやるからお構いなくぅ〜w」
「...」
父ちゃんが近づいてきて普通に殴られた。
「カツン!」
「いってぇ...」
前世では親に殴られたことあったっけ?と少しセンチメンタルになった。
親父がオレの視線から外れた隙に持っていた道具を放り出し、その場から立ち去る。
「オッ!オイ!カイ!まだ話が...」
「わりぃ、父ちゃん今日はイベント日なんだわ早く現地に行かねえと」
なんとか嫌な畑仕事から逃れた。ショアの成人祝いの現地に一番乗りだ、内心ウキウキする。
みんなが来るまで席に腰掛けるとするか
大人になってから忘れていたけど...損得勘定がない友人関係は素晴らしい
嫌な考えを捨て素直になれる関係を思い出させてくれた彼らに感謝してる。まあ、大人になってもそう言う関係を築ける人はいるかもしれないが...オレは自分で言うのもなんだがコミ力が高くない。前世では息で吹いたら消えるような関係しか出来なかった...
まあいい、切り替えてこう!
暇なのでしょうもないこと考えているところに彼がきた。
オレは少し恥ずかしいと思いながら手を振った
「おい、ショア遅えじゃねえか」
ショアは少し困惑した表情で返す。
「カイが早すぎるんだよ...現にリアもまだ来てないじゃないか...」
「そうか?」
呆れているショアを見て思う。オレって彼らよりも、もしかして幼い?
そんなことを考えていると、遠くから聞き慣れた声が聞こえてきた。
「ショアー!カイー!」
リアだ。
「お、やっと来たか」
「なに、言ってんのよまだ始まるまで時間はあるはずよ。それにしても二人とも早いわね」
話しながらリアが腰掛ける。
「カイは僕よりも早かったんだよ」
「なんで、カイが今日の主役のショアよりも早いのよ...」
ショアの話を聞いてリアが呆れる。
「まあまあ、オレはいつだって主人公だから」
「何言ってんのよ」
ショアが笑みを浮かべ楽しそうに話す。
「カイはいつもその調子だよね」
「当たり前だろう!」
「ショアはカイにも優しすぎるのよ...」
リアの発言を聞き、オレってショアに甘やかされてるな、と感じつつ、リアのツッコミが心地よかった。
こういうくだらないやり取りが、オレは好きだった。
前世では、こんなふうに時間を忘れて笑うことなんてなかった。
だからこそ、今を大切にしたいと思う。
成人の日のお祝いが始まる。
くだらないやり取りを楽しんでいると、オレの前に今世の父が来る。
「どうした?」
「ハァ...どうしたじゃない、朝話そうと思ってたのに行ってしまうから話しそびれただけだ、君たち悪い少し借りるぞ」
オレと親のやりとりを見てリアがチャチャを入れる
「カイ、全く...また悪いことしたの?」
「なっ、わけねえだろ。て言うか、オレは悪いことしてない。ただ畑仕事をすっぽかしただけだ!」
「してるじゃない」
「ハハ、カイは相変わらずだね」
リアが呆れ、ショアが優しく笑う。
「ほら、行くぞ」
オレは会場から離れた所に来る。
そこには母親もいた
「連れてきたのね」
「あぁ、」
両親は軽い会話を済ませ本題に入る
「カイ、お前明日の成人の儀以降、何になりたいんだ...?」
「そうよ...お母さん心配で」
「えっと...」
あっ、なるほどこの雰囲気前世でいう進路相談みたいな感じだな、確かに自分の息子が何になりたいかよく分からない状態だもんなそりゃ心配になるわ。
「お前、前から冒険者になりたいと言っていたんだが、父さんと母さんなそれがよく分かっていないんだ」
えっ...?この世界って冒険者は憧れの職業じゃないの?ギャップに驚きつつもただ俺の両親が知らないってだけかもしれない。
「大丈夫だよ...ショアとリアも一緒になるから...」
オレは自信なく言う、もしかしたら職業に冒険者自体がないとは考えたこともなかった。もしないなら、オレはあの二人に何を勧めていたんだ?
完全におかしな奴じゃないか...過去の自分の発言を思い出し顔が熱くなるのを感じる。
「彼らが一緒になるのは分かった。で、何をする仕事なんだそれは?」
言葉に詰まりながら答えた
「えっと、多分...モンスターを狩ったりダンジョンを攻略する?」
「そうか。で、そのモンスターとダンジョンはどこにいるんだ?それで暮らしていけるのか?」
父親の話を聞いてオレは目を見開く、そもそもこの村に生まれてダンジョンはおろかモンスターすら見たことがない。全然考えに至らなかった。
彼らは二つ返事で頷くもんだから気付かなかった。
父が続ける
「それにもし、帝都でやるんならやめておいた方がいい」
「ん?なぜ?」
母が視線を下げ、父が神妙な面持ちで話し始める。
「父さん達な、成人の儀の日帝都で...人が残酷なことをされているのを見てしまったんだ...」
「残酷なことって...?」
「ご、ごめんなさい。私、席を立つわ」
母は真っ青になり、口元を手で押さえてこの場を離れる。父が聞こえない位置まで行ったのを確認してから、話す。
「帝都でな...縛られた人間に笑って石を投げていたのを目撃したんだ」
「えっ...?そんなことあるわけ...」
父の話を聞いて、俺は言葉を失った。
やっぱり、この世界は何かがおかしい。
でも、ショアもリアもそんなことを気にした様子はない。
...いや。
そもそも、何がおかしいんだ?
前世の常識と、この世界の常識が違う。
ただ、それだけなのかもしれない。
俺にはまだ、何が正しいのか分からなかった。
とりあえず、帝都が危険な場所だと分かったから。冒険者になるって話は無しか。他の街でなることにしよう。会場にて戻って、彼らに相談だな
「カイ、ちょっといいか」
戻る途中で声をかけられ視線を向けた。そこには村長がいた。周囲を警戒するように見回してから、耳打ちするように言った。
「ワシの家まで来てくれんか」
家に着く。
「まあ、入れ」
オレに手招きをしている。
「なあ、村長。ショアのお祝いをしに戻りたいんだけど、オレ」
「まあ、そう焦るな。大事な話なんじゃ」
「大事な話?」
「そうじゃ」
村長はそう言うと、部屋の中を見回した。
何かを探しているというより、誰かに見られていないか確認しているようだった。
「...どうしたんだよ?」
村長はオレをじっと見つめた。
その目には、何かを確信したような色があった。
「おぬし、異世界人じゃろ?」
村長の口から出た言葉に一瞬固まってしまった...
オレは一瞬で頭をフル回転させる。
「な、なんで?」
口から出た言葉は、あまりにも間抜けだった。
これじゃあ、オレが異世界人だと認めているようなものじゃないか。
そもそも、異世界人だと知られたら何がある?
さっきの父さんの話が頭をよぎ、途端に血の気が引いていくのを感じる。
オレは咄嗟に村長へ鋭い視線を向けた。
そんなオレを見て、村長は笑った。
「ハッハ! そんなに警戒するな。ワシはおぬしの味方じゃ」
「そうなのか...」
「ワシはおぬしをどうこうするつもりはない。むしろ...頼みたいことがある」
「何を?」
「昔からな、異世界人が来たら、その桜の木の下を掘らせろと伝えられている」
「何が埋まっているんだ?」
村長は一瞬、何かを思い出したように表情を曇らせた。
「それは、ワシもよく分かっておらん。だが...おぬしには何か使命があって、この世界に来たはずじゃ...」
「た、確かに。オレは使命を受けている...」
「カイよ誰にも見つからず今日中に掘り当ててくれ」
そう言いながら村長は穴を掘る道具を渡してきて、困惑しながら受け取る。
外に出た時にはもう成人の日の祝いは終わっていた。
まあ、いいか明日彼らに話せば
それにしても暗いな、松明に火をつけようとしたところで、オレは村長の言葉を思い出した。慌てて火を消す。
まあいい、月明かりのみで桜の木まで向かうか
ザクッ。
ザクッ。
ザクッ。
何時間掘っただろう。腕はとっくに限界だった。
なんだこの重労働、なんの意味があるんだコレ...
内心文句も言いながらも黙々と掘り進める。木が近いので根が邪魔だし、土を外に飛ばすのにも一苦労。
それでもオレを突き動かすものは好奇心だった。
掘り進める
オレの体よりも深くなったころ周りが少し明るくなってきて、冷静になる。
えっ、オレヤバくない?一晩中穴掘ってたの...?
しかも、一晩掘った割に何も出てこない。
後で、村長にクレーム言いにいかないと
オレは穴を這い出ようとした。
その瞬間
「随分と熱心ですわね」
「...えっ?」
そこには、村で見たことのない女性が立っていた。
セミロングの白い髪。その生え際だけが金色に染まっている。背が高く、黒に近い紺色のローブを身に纏っている。
その手には、細かな装飾が施された、見るからに上等な杖が握られていた。
そして、金色に輝く瞳がオレを見下ろしていた
「ウフフ、カイさんお疲れでしょう。少し休まれてはいかがです?」
「...誰だ、お前。そして、何故オレの名前を」
「あら、警戒なさらなくてもよろしいですわ」
女は微笑みながら、ゆっくりと近づいてくる
なんだ...コイツ。
笑っているのに、妙に怖い。
「...お前、村の人間じゃないよな?」
「ええ。そうですわね」
「わたくしと少し、お話して頂けませんか」
「...なんの話だよ」
「そう警戒なさらないでくださいな。少し確認したいことがあるだけですわ」
「確認?」
「ええ」
女は微笑んだまま、オレの目をじっと見つめている。
「あなた、この世界の人間ではありませんわね?」
「...っ」
心臓が大きく跳ねた。
村長に言われたばかりの言葉。異世界人。
まさか、コイツも知っているのか?
「...なんで、そう思うんだよ」
「ウフフ」
女は答えなかった。
ただ、顔を見ながら微笑んでいる。だが、目線はオレを蔑んでいる。
「悪いけど、今日オレは忙しいんだアンタの相手はしてられない」
そう言い、穴を這い出ようとする。
何故かコイツは口をパクパクしている。すると
「なんだコレ...」
オレの視界は歪み始め、ひどい睡魔に襲われる。
「ふぁ〜」
や、ヤバイコイツは...本能が警告信号を出す。
オレは睡魔を飛ばすために、自分の頬を強く殴った。
バシンッ!
「……っ!」
そんなオレを見てコイツは目を見開いた。
そして...
「アッハハ!」
殴っても殴っても眠気が消えない。。。




