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オレ!誕生日

今日は、オレが主役だ!


日の出前に起きて成人祝いの会場に着く。流石に早過ぎた...まだ誰もいない。一回、飯食いに帰るか...あまり食いたくないが


いつもは、しょぼい塩味の野菜スープに、麦を水で煮ただけの麦粥だった。


誕生日など何かのお祝いの時は、麦粥の代わりにパンがある。

だが、なにぶん硬くて味気ない。美味くない。

硬い、味気ない、美味くないの三拍子揃ったパンだ。

まあいいさ、オレが冒険者で有名になれば美味いものなんて山ほど食えるだろう。


というか、このパンって何処から持ってくるんだ...?

村にパン屋なんて無いし作っていそうな所もないと思う。


「なあ、母ちゃんこのパンてどこから持ってくるんだ?」


「あー、このパンは村の案内人から貰えるんだよ」


「ん?案内人て誰?」


「村に立っているだろあの人達からだよ」


「へぇ〜」


オレは村の人と物々交換で貰ってるもんだと思ったら。なるほど、あのよく分からない人達から貰えるのか。納得。なっと...ん?なぜ...?

なぜあの人達はオレや親の誕生日まで知っている...


一度探りを入れるか。村に立っている人に声をかける


「ねえ、何してるの?」


どうだ、この完璧なガキ感はショアとリアから日々学んでいるんだぞ、オレは内心のニヤニヤをおさえる。

男は優しそうな顔をして話す。


「ここにきた旅人の案内をしているんだよ」


「どうして?」


「どっ...どうしてって言われてもこれがおじさんの仕事だからね」


「へぇ〜、そうなんだ。じゃあさなんで?あそこにも人が立ってるの」


「えっ……あ、ああ。あっちにも旅人が来るかもしれないからね」


「でも、誰も来てないよ?」


「そ、それは……いつ来るか分からないからね」


「ふーん」


なるほど。旅人が来るかもしれないから、あちこちに立ってるのか。


……いや、待てよ。


この村、旅人なんてほとんど来ないだろ。


「じゃあさ、おじさんって毎日ここにいるの?」


「ああ、そうだよ」


「雨の日も?」


「もちろん」


「夜も?」


「...夜は交代の人が来るんだよ」


「へぇ〜」


随分と暇な仕事だな。


まあ、村の案内人なんてそんなもんか。


「じゃあ、おじさんって村の人のことも知ってるの?」


「もちろんだよ。村に住んでいる人たちだからね」


「オレの誕生日も?」


「えっ...」


男の表情が、一瞬だけ固まった。


「おじさんは君を含めて、村のみんなのことをよく知っているからね。知っていてもおかしくないんじゃないかな?」


「そっか、ありがとうおじさん」


オレは怪しい者を見るような目で男を見た。

だが、すぐにやめる。


...まあいい。


これ以上聞くのは、逆に怪しまれるかもしれない。


今日の夜に確認してみれば分かる。


成人祝いの最中相変わらずリアはショアのことが好きなのに空回りしている。後、ショアもなんだこの鈍感ぶりは、まあ、俺も14歳ぐらいの時はまだ恋したことなくて分からなかったかもな...流石にここまではないか。

そんなことを考えながらため息をつく。


「どうしたのカイ?」


「いやなんでもない」


そんな具合で成人の日のお祝いがお開きになり、その夜。


松明の灯りを付けて案内人が何をしているのか確認する。


クソッ、相変わらず夜は何も見えねぇじゃねえか...

物陰に隠れているけど全然前方が視認できない。松明に火をつける。

昼の会話には、いくつか引っかかるところがあった。

その中に嘘がある気がする。確証はないが。


「何してるんだい?」


びっくりしオレは反射的に声のする方に振り向き、直ぐに言い訳を言う


「こ、この辺で物を落としちゃって...探してたんだ」


「そうかい、ならおじさんも探すの手伝ってあげるよ」


「あ、ありがとぅ...」


おじさんは嫌な顔ひとつせずしゃがむ。

沈黙の中、二人で探し始める。


...一時間。


...二時間。


何時間たったのだろうか。

冷や汗を手で拭く。ヤ、ヤバいな咄嗟とはいえどうしようか...そうだ!

オレはわざとらしく欠伸をする。


「ふぁ〜!そろそろ眠くなってきたなぁ。オレは家に帰るよ」


そんなカイの言葉を聞いて困惑しながらおじさんは話す。


「そ、そうかいでも君の探し物もまだ見つかってないけど良いのかい?」


「良いよ明日探すからそれとこれ以上探すとおじさんの仕事の迷惑になっちゃうから」


オレは内心「お願いだから探すのをやめて下さい。そもそもないから落とし物なんて!」と叫ぶ


願いが通じたのか分からないがおじさんが残念そうな顔で諦めて元の場所に戻った。


た、助かった。

いい人すぎるだろ、おじさん。肝が冷える思いだったよ、全く……。


結局、案内人が何をしているのかは分からなかった。


ただ、一つだけ分かったことがある。オレはこの世界を知らな過ぎる。


明日は街に行ってみよう。

村の外がどうなっているのか、少し見てみたい。ワクワクするな。


オレは、朝早く起き村を出ようとする。すると、おじさんが聞いてきた。


「ねえ、君どこに行くつもりなの?」


「えっと...外の街に行こうと思って」


「そうかい。シウダに行くのかい?」


「えっ、おじさん知ってるの?」


「もちろん。案内人だからね」


「...そっか」


「でも、君一人では行けないよ」


「え?」


「村の外へ出るなら、村長さんの許可がいるよ。昔からそういう決まりなんだ」


愕然とする。そ、そうなのかオレは何も知らないな。

おじさんが続ける


「あと、一人で行くのは危ないから、馬車が来る日に一緒に行くといいよ」


「馬車っていつ来るの?」


「次は○日後だね」


「そんなに先なの!?」


オレはすぐさま村長に許可を貰いに行く。


「今日は無理だ」


「な、なんでなんですか?」


村長は険しい顔で答えた


「金がないのだ...」

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