ご主人さま♡
丸太に縛られた人が民衆に「やめてくれ!」「投げないで!」と懇願し、それを笑いながら石を投げつけている。少しずつ懇願の声が小さくなっていく...
その光景はあまりにも壮絶で、リアは目を背けていたし、ジルもあまり良い顔はしていなかった。
「な、なんであんな酷いことしてるんですか!ジルさん!」
僕は怒りを露わにして振り向く。ジルは苦々しい表情で言った。
「あの、縛られてる者たちは罪人なんだよ。」
「にしても……もっとやり方があるでしょう。あんなにいたぶって笑ってるなんて、あんまりじゃありませんか」
「それも、そうなんだが。いまの俺の力じゃ、やめさせることもできない...行くぞ...。」
「ゴッ、」
「ゴツッ!」
「ドッ」
「ギャハハ!.....ギャハハ!....」
僕達は足早にその場を離れる。
食事処に着いたが、あの光景が脳から離れず、大好きな食事も喉を通らない。
そんな僕を見て、ジルさんは察したような表情をする。
「分かるよ。あれを初めて見たらしばらく食が喉を通らなくなる。俺も初めはそうだった」
「だがな、あれがここの日常だ...罪人は、言い方悪いが、それ相応の報いを受けなければならない。言わば罪滅ぼしなんだよ、あれは...」
「...」
俯くことしかできなかった...。
帝都で色々な経験をした僕に、1つの疑問が浮かんだ。
「ジ、ジルさんは何故、僕達に良くしてくれるんですか」
ジルはしばらく黙り込み、俯いた。
「それはな、昔、お前達のような新米冒険者がいてなあ。俺がちょっと面倒を見てやったんだよ」
「その時にな、こいつらが冒険者として成長していくのを見るのが楽しくなっちまってな」
「その冒険者って今はどこにいるんですか?」
「ああ、それがな、もう冒険者をやめたんだ。あんなのを見たら故郷に帰りたくなったって」
「そうだったんですね。」
「お前達も冒険者やめて故郷に帰りたくなったか?」
「....」
確かにその通りだ、故郷に帰りたくなっている。
だけど、カイがまだ帝都に来ていないから帰るわけにもいかない。僕の夢は冒険者になること。でも、それは3人でなることでもある。
だが、流石に遅すぎる。カイに限ってそんなことはないと思うが、少し心配になってきた。
リアに聞く。
「カイ、流石に遅いね」
リアは苦笑いをするのみだった。
次の日からまた、僕とリアは冒険者の仕事をする。
まずは、Eランクのスライム一頭討伐。
森で二泊したが、スライムを見つけることはできなかった。
クエスト失敗
次に、Eランクの薬草採取。
半日かけて森で薬草を集め、カゴ一杯になった。
クエスト成功 報酬 銅貨15枚
さらに、Eランクのペットの捜索。
一日かけて帝都じゅうを探し回ったが、見つからなかった。
クエスト失敗。
後日、依頼者が自分でペットを見つけたらしい。
その夜、僕達は硬いパンを齧りながら話した。
「冒険者ってこんな感じなのか」
「そうね、でも毎日パンが食べられるわ」
「確かに...」
イメージでは、もっと人のためになっているという実感がある仕事だと思っていた。だが、現実は思い描いていたものとは違っていた。
翌日の早朝、ギルドが開くのを待つ。僕は数日冒険者をして分かったことがある。それは、良い仕事はすぐなくなるということだ。
ギルドが開き、掲示板を見る。
「えっと、運搬依頼...報酬、 銅貨50枚!」
僕は思わず目を見開く。
す、凄い。この依頼、運搬するだけで50枚も貰える。
僕達は顔を見合わせすぐに依頼を受けた。
地図に載っていた場所は行ったことがなくかなり遠いが、なんと、移動には屋根付きの馬車で行けるらしい。
すぐに納品の物を手に、馬車に乗って向かった。
山道をしばらく進み、いくつもの山を越えた。
「もうすぐ着くぞ」
馬車の窓から外を見る。
すると、木々の向こうに大きな建物が見えてきた。
馬車が進むにつれて、建物の全貌が見えてくる。
壁は継ぎ目がほとんどなく、一枚の巨大な板のように見え、白くて平らな壁には、規則正しく並んだ窓。建物は何階もあり、周囲の自然とはあまりにもかけ離れていた。
「す、凄い...」
僕は思わず窓から身を乗り出してしまう。
帝都で見た建物も凄かったが、ここにある建物はそれとはまた違った。
こんな山奥に、こんな大きな建物があるなんて。
馬車が止まる。
「着いたぞ!ここで降りな」
ガラスの扉の前に下ろされた。中から白い服を着た男性が出てくる
「お待ちしておりました。」
「あ、あの冒険者ギルドから派遣して来ました。どうぞ依頼品を」
「いえいえ、私が受け取るのではなく、お出迎えに来ただけですので、どうぞ中で依頼者に渡して下さい。」
「ご案内いたします。」
そう言われ、僕達は男性と施設内を歩く。
男性は施設内に数ある扉の一つに立ち止まった。
「お連れいたしました」
扉が横にスライドする。
中には同じく白衣を着た女性が椅子に腰掛けていて、その前には、何か絵のようなものがいくつも並んでいる。
女性が話す。
「はるばる遠い所までお越しくださいましてありがとうございます」
「いえいえ、僕達は依頼品を渡しに来ただけですので」
「ごめんなさい、私も依頼者ではありませんので依頼者が来るまで待合室があります。そちらへお連れ致します。」
先程の男性と別れ女性と僕達は歩く。
女性が扉の前に着き、一言言った。
「では、この中で依頼者をお待ち下さい」
中は物一つない真っ白な部屋だった。
ガラス越しにさっき入った部屋が見える。
しばらく待っていると、この部屋に案内してくれた女性が先ほどの部屋に入ってくるのが見えた
そこで、僕達は意識を失った。。。
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ぼくは目を覚ます。大きな欠伸をし、伸びをする。
相方はまだ寝ているようだ。
ご主人さまが部屋に入ってきた。
「おはよう!あそぼ!あそぼ!」
「◼︎◼︎◼︎...」
ぼくはご主人さまが何を言っているか分からない、だが、一生懸命話す。
「おはよう!あそぼ!」
ご主人さまがぼくを撫でる。
ぼくは撫でられるのが大好きだ!ご主人さまは撫でながら何かを話す。
「◼︎◼︎◼︎ごはん◼︎◼︎...」
分かる言葉が出たので叫ぶ。
「ごはん!ごはんって、いまいった!」
ご主人さまがぼくの皿にご飯を入れている音を聞き相方が起きてきた。
相方はぼくのご飯を貪る。ぼくは怒った。
「ちょっと!これはぼくのご飯だぞ!」
「何よ!お腹減ってるのよ!」
ぼくたちはケンカを始める。そこでご主人様の声色が変わった。
「待て!お座り!」
ぼくたちはケンカをやめ指示に従う。ご主人さまがもう一つの皿にご飯を入れる。ぼくはお座りをしながらヨダレを流し見守る。相方も前のめりになって待っている。
「よし!食べてよし!」
ご主人さまからの合図で競うように食べる。
「よしよし、いいこいいこ」
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その様子をガラス越しに観察していた人間達が、会話を始める。
「素晴らしい...実験結果は予想以上だ」
「脳を書き換えるだけで、これほどまでに行動様式が変化するとは...興味深い」
「まだデータが足りない。ボールを使って追跡行動を誘発しろ。運動能力と反応速度を測定する」
ショア達にボールを追わせ、その様子を注意深く観察する。
そして、再び研究者たちが会話を始める。
「やはり、脳機能を変化させるだけでは不十分か。肉体そのものの性能には限界がある」
「そうだな。身体能力に対して、脳からの指令が効率よく伝達されていない。現状では実用性に乏しい」
「まあいい。次は長期的な経過を観察しよう」
「サンプル個体AとBを交配させた場合、次世代個体にどのような変化が現れるのか...」
話の途中で研究所の責任者の男が慌てた様子で入ってくる。
「実験は中止だ」
「えっ...な、何故だ!」
「ま、待て!この実験は、これからが重要な段階だぞ!」
入ってきた男は険しい顔で話す。
「上からのご指示だ」
「...」
その場にいた全員が黙る。
「もう一度言う。上からの指示だ。安全を最優先し、帝都まで送り届けろとのことだ」
「ま、待て! 安全にって……どうするんだ!もう後戻りできないところまで来てるんだぞ!この実験は!」
男は苦々しく話す。
「恐らく、教会なら元の状態まで回復させて下さるだろう」




