第9話 荷は道を選ぶ
薬は、届いて初めて薬となる。
小槌薬業の帳面にそう書かれた翌朝、大阪の空は低く曇っていた。
道修町の通りには、いつも通り背広姿の男たちが行き交っている。
薬箱を積んだ小さな車。
伝票を抱えた若い社員。
電話のベル。
判子の音。
古い町は、今日も薬を流していた。
だが、流れはいつでも滑らかとは限らない。
「若旦那、東京行きの荷が止まりそうです」
番頭の野口が、帳場に駆け込んできた。
小槌清吾は、急配札に目を落としていた顔を上げる。
「どの荷だ」
「東都医科大学の加納先生宛てです。試験用の薬液に近い調整液と、消毒用品の一部。三橋理工商会を通す予定のものです」
清吾の眉が動いた。
東京。
加納。
三橋。
その名に、真名彦が奥の座敷で小さく声を上げた。
泣き声ではない。
何かに反応したような、短い声だった。
清吾は一瞬だけ奥を見た。
それから野口へ向き直る。
「止まる理由は」
「いつもの路線便が、夕方発にずれます。途中で積み替えが入るので、東京着は明日の午後になるかもしれません」
「遅いな」
「はい。先方は明日の朝から試験に使いたいと」
「国鉄の小荷物は」
「間に合うかもしれませんが、駅まで持ち込みが必要です。梱包も変えた方がいい。液体なので、扱いを間違えると面倒です」
清吾は黙って伝票を受け取った。
量は多くない。
金額も大きくない。
大口の荷ではない。
普通の帳面なら、後回しにされる。
だが、急配札を挟めば意味が変わる。
これは、東京の研究室と町工場をつなぐ荷だった。
届かなければ試験が遅れる。
試験が遅れれば、部品の改良も遅れる。
部品の改良が遅れれば、医療に届く日も遠のく。
薬の町から出る小さな荷が、東京の工場の刃物の音につながっている。
清吾は、急配札を一枚取った。
届け先。
東都医科大学、加納健一。
経由。
三橋理工商会。
中身。
調整液、消毒用品。
急ぎの理由。
翌朝の試験に必要。
代わり。
なし。
誰が運ぶか。
そこだけが空欄だった。
「野口さん」
「はい」
「駅へ持ち込む。梱包を二重にする。漏れた時に外へ出ないようにして、割れ物扱いに近い形にする」
「承知しました」
「それから、港南運送の水野さんに電話してくれ」
野口は少し驚いた。
「水野さんですか」
「あの人は国鉄の小荷物と路線便の両方に顔が利く。どの便が本当に早いか、こちらだけではわからない」
「手数料を取られますよ」
「取ってもらう」
清吾は即答した。
「ただで急がせたら、次は雑になる。きちんと払って、きちんと運んでもらう」
野口は小さく笑った。
「若旦那、その言い方、だいぶ板についてきましたな」
「うるさい」
清吾は伝票の端を指で叩いた。
「薬は、道を間違えると薬でなくなる」
◇
港南運送の大阪営業所は、道修町から少し離れた倉庫街の一角にあった。
看板は古い。
壁には雨の染みがある。
中には段ボール箱、木箱、紐で縛られた包み、布で覆った機械部品が積まれていた。
電話は鳴りっぱなしである。
「水野さん、三番にお電話です」
「またか。今度は何や」
水野勝次は、机の上の伝票を押さえながら受話器を取った。
四十代半ば。
肩幅があり、声が大きい。
運送屋らしく荒っぽい口を利くが、荷物を見る目は細かかった。
「はい、水野。……ああ、小槌さん。薬? 東京? 明日の朝?」
水野は眉を寄せた。
手元の時刻表に目を走らせる。
路線便。
国鉄小荷物。
駅持ち込み。
積み替え。
東京側の受け取り。
ただ早い便に載せればいいわけではない。
荷は、出す時より受ける時の方が詰まりやすい。
東京に着いても、誰が取りに来るのか。
研究室までどう運ぶのか。
駅の荷扱いで止まらないか。
中身が液体なら、雑に積まれないか。
それを考えなければならない。
「小槌さん、その荷、どれくらいの大きさです」
水野は聞いた。
「重さは。割れるんか。漏れたら危ないんか。いや、危ないかどうかやなくて、漏れたら使えんのかを聞いとる」
受話器の向こうで清吾が答える。
水野は紙に殴り書きした。
東京。
薬液に近い調整液。
消毒用品。
翌朝試験。
三橋理工商会。
加納。
「普通の路線便やと明日午後や。間に合わん。国鉄小荷物なら、今日の夕方前に駅へ入れれば、明日の朝に拾える可能性がある。ただし東京側で誰が受けるか決めておかんと、そこで腐る」
水野は言い切った。
荷物は勝手に目的地へ歩いていかない。
運ぶ人間。
受ける人間。
待つ人間。
その三つが噛み合わなければ、早い便も遅い便になる。
「東京側の受けは三橋さんにしてもらえますか。大学へ直接より、商社が受けた方が早い。大学は門で止まることがある」
水野は受話器を肩に挟み、別の紙を引き寄せた。
「あと、荷札を赤にしてください。目立つように。中身を書く時は細かく書きすぎんでええ。けど、上積み厳禁、液体、割れ物、至急。この四つは大きく」
近くの若い社員が、感心したように見ている。
水野はそれに気づき、睨んだ。
「何見とる。時刻表持ってこい」
「はい」
水野は電話を切った後も、しばらく紙を見ていた。
明日の朝。
東京。
薬。
小さな荷だ。
だが、こういう荷ほど面倒で、こういう荷ほど止めてはいけない時がある。
その時、営業所の奥から赤子の泣き声が聞こえた。
水野の妻が、奥の部屋で娘をあやしている。
名は湊子。
生まれてまだ数か月。
港の子と書いて湊子。
水野が海と陸の荷を扱う仕事をしているから、妻がそう名づけた。
湊子は、トラックのエンジン音がすると泣き止む妙な子だった。
港の汽笛にも反応する。
荷台の揺れの音にも、目を丸くする。
今日も、営業所の外でトラックがエンジンをかけると、泣き声がふっと弱まった。
水野は奥をちらりと見た。
「お前も急かしとるんか」
赤子は答えない。
ただ、小さな手を空に伸ばしていた。
◇
その日の午後、小槌薬業の帳場では、梱包が始まった。
調整液の瓶を一本ずつ包む。
隙間に詰め物を入れる。
外箱をさらに油紙で巻く。
赤い荷札をつける。
上積み厳禁。
液体。
割れ物。
至急。
野口は慎重に紐を結んだ。
「若旦那、昔の薬箱みたいですな」
「昔の方が、こういうところは丁寧だったのかもしれん」
清吾は急配札を箱の控えに挟んだ。
その横で、千代が真名彦を抱いている。
赤子は、赤い荷札をじっと見ていた。
「この子、赤い札が気になるんやろか」
千代が笑う。
清吾は冗談で返そうとして、やめた。
真名彦の目が、あまりにも静かだったからだ。
まるで、その小さな箱の向こうにある東京を見ているようだった。
「野口さん」
「はい」
「荷を出したら、三橋さんへ電話を入れる。三橋さんには東京側で受けてもらう。加納先生には、三橋さん経由で届くと伝える」
「承知しました」
「それから、運送代と手数料は別に記録する」
「試験費用に乗せるんですか」
「相談だな。だが、急ぎで運ぶなら、急ぎの費用がかかることは最初から見せる」
千代が頷いた。
「ただで急げは、薬にも人にも毒や」
清吾は母を見た。
「おふくろ、それ、帳面に書いておく」
「書かんでええ」
「いや、書く」
清吾は本当に書いた。
ただで急げは、薬にも人にも毒。
野口が横で笑いをこらえていた。
◇
荷は、野口が駅まで運んだ。
水野の手配で、駅の荷扱いを知る男が待っていた。
その男は箱を見て、紐の締め方を確かめ、荷札を読む。
「きれいに作ってありますね」
「薬問屋の荷です」
野口が答える。
「明日の朝、東京で拾いです。途中で寝かせないでください」
「それは荷物次第です」
「荷物は寝ません。寝かせるのは人です」
男は一瞬きょとんとし、それから笑った。
「水野さんの受け売りですか」
「ええ。たぶん」
野口も少し笑った。
箱は、台車に載せられ、駅の奥へ運ばれていった。
野口はその背中を見送った。
薬問屋で働いて長い。
これまで、荷を出すことは何度もあった。
だが、ここまで一つの荷の行き先を気にしたことは少なかった。
箱がどの便に乗るのか。
どこで降ろされるのか。
誰が受け取るのか。
いつ開けられるのか。
そこまで考えて、初めて急配なのだとわかった。
店に戻った野口は、急配控に一行書いた。
荷は出して終わりではない。
受け取られて初めて届く。
清吾はそれを見て、何も言わずに頷いた。
◇
東京では、三橋理工商会の三橋が電話口で背筋を伸ばしていた。
「はい。明日の朝、駅で受け取ります。ええ、こちらで大学へ運びます。加納先生には伝えておきます」
電話を切ると、三橋はすぐに別の番号を回した。
東都医科大学。
研究室。
加納は、試験装置の前で部品を眺めていた。
電話が鳴る。
「加納です」
「三橋です。大阪からの荷、明日の朝に私が受け取ります」
「本当ですか」
「ただし、大学に直接入れると手続きで止まるかもしれないので、私が持ち込みます。朝一番で駅へ行きます」
「助かります」
「助かるではなく、費用がかかります」
三橋はわざとそう言った。
加納は一瞬黙り、それから苦笑した。
「はい。わかっています。急ぎの費用は研究費に入れます」
「それを最初に言っていただけると、こちらも動きやすい」
「覚えておきます」
三橋は受話器を持ったまま、少し表情を緩めた。
「それと、加納先生」
「はい」
「明日、大国製作所にも一部持っていきますか。試験液の性質を、工場側にも見てもらった方がいいかもしれません」
「それはありがたいです」
加納の声が明るくなった。
「水では安定しても、薬液に近いものでは乱れる。そこを現場と一緒に見たい」
「では、大学で分けた後、大国さんへ回します」
「三橋さん」
「はい」
「運ぶだけでなく、順番まで考えてくださってありがとうございます」
三橋は少し照れた。
「商社の仕事ですから」
電話を切った後、三橋は手帳を開いた。
駅。
大学。
大国製作所。
受け取り。
分配。
費用。
確認。
そこまで書いてから、彼はふと思った。
自分は物を右から左へ流しているだけではない。
どこで止まるか。
誰が待っているか。
どの順番なら次の仕事が進むか。
それを見るのが、商社の仕事なのかもしれない。
大きな商社ではない。
世界を相手にしているわけでもない。
だが、小さな商社にも、小さな国の血管を整える役目がある。
三橋は、手帳の端に小さく書いた。
荷は、道を選ぶ。
◇
翌朝、東京の駅は人であふれていた。
通勤客。
学生。
荷を抱えた男。
新聞を売る声。
構内には、朝の湿った空気と鉄の匂いが混じっている。
三橋は予定より早く着いた。
荷扱いの窓口で、控えの番号を出す。
しばらくして、赤い荷札のついた箱が出てきた。
上積み厳禁。
液体。
割れ物。
至急。
三橋は、まず箱の角を見た。
潰れていない。
紐も緩んでいない。
外側に染みもない。
ほっと息を吐く。
「これで全部ですか」
「はい」
「ありがとうございます」
三橋は箱を抱えた。
思ったより軽い。
だが、その軽さに反して、箱の意味は重かった。
この箱を待っている人間がいる。
加納。
大国製作所。
そして、まだ名も知らない患者たち。
駅の外に出ると、朝の東京の空気が顔に当たった。
三橋はタクシーを使うか迷った。
費用はかかる。
だが、遅れれば試験が遅れる。
迷っている時間がもったいない。
彼は手を上げた。
「東都医科大学まで」
タクシーが走り出す。
三橋は膝の上の箱に手を添えていた。
◇
東都医科大学の研究室では、加納が待ちきれずに廊下へ出ていた。
三橋が箱を抱えて現れると、ほっとしたように近づく。
「無事ですか」
「見たところは」
「開けます」
研究室の机の上で、箱が開けられた。
梱包は丁寧だった。
瓶は一本も割れていない。
中身も漏れていない。
加納は、まるで手術前の器具を確認するように、一つ一つを見た。
「助かりました」
「小槌薬業さんと、港南運送さんのおかげです」
「港南運送?」
「大阪側で便を選んでくれた運送屋さんです。普通の路線便なら午後だったそうです」
加納は少し黙った。
自分は、薬が届くものだと思っていた。
注文すれば届く。
伝票を書けば届く。
だが、実際には違う。
誰かが便を選び、誰かが梱包し、誰かが駅へ運び、誰かが受け取ってここへ持ってきた。
そのどれかが止まれば、試験は始まらない。
「見えていませんでした」
加納が呟く。
三橋が聞き返す。
「何がですか」
「部品と薬液の間にある道です」
三橋は頷いた。
「私も、昨日少し見えました」
加納は瓶を手に取った。
「今日の試験記録に、輸送条件も書きます」
「輸送条件?」
「届いた時間、梱包の状態、保管時間。液体ですから、状態が変わる可能性もあります。そこまで見ておかないと、試験の条件が揃わない」
三橋は驚き、それから笑った。
「また記録が増えますね」
「必要な記録です」
加納は真剣だった。
「研究室だけで完結していると思う方が、間違いでした」
◇
その日の昼前、三橋は小分けにした調整液の一部を持って、大国製作所へ向かった。
徹は旋盤の前にいた。
岩男は、拡大鏡を手に部品を見ている。
「三橋さん、どうしました」
「大阪から荷が届きました。加納先生が、工場側でも見てほしいと」
徹の顔が変わった。
「薬液に近い試験液ですか」
「ええ」
岩男が手を止めた。
「水じゃねえやつか」
「はい」
「見せろ」
三橋は慎重に瓶を出した。
岩男は瓶を透かして見た。
徹も横から覗く。
「これが流れるのか」
「加納先生は、これで流量を確認すると」
岩男は小さく唸った。
「見た目は水みてえだが、動きは違うんだろうな」
「そう言っていました」
徹は仕事帳を開いた。
試験液、到着。
大阪、小槌薬業。
港南運送経由。
三橋受け取り。
加納研究室。
大国製作所へ一部共有。
徹はそこまで書いて、手を止めた。
これは、加工記録だけではない。
部品がどう使われるか。
薬液がどう届くか。
誰が運ぶか。
そこまでが、同じ仕事の中に入ってきている。
岩男が低く言った。
「徹」
「何だ」
「仕事帳、工場の中だけ書いてりゃ足りねえな」
徹は顔を上げた。
「親父もそう思うか」
「思う。こいつがいつ、どこから来て、どう扱われたか。そこが変われば、結果も変わるかもしれねえ」
三橋が静かに聞いていた。
町工場の老人が、輸送と試験条件の話をしている。
昨日までなら、考えられなかった。
大きな声で改革を叫んだわけではない。
ただ、小さな荷が一つ、道を選んで届いた。
それだけで、人の見方が変わり始めている。
◇
その夜、水野家では、湊子が眠っていた。
大阪営業所の奥の小さな住まいである。
外では、夜のトラックが一台、エンジンをかけている。
湊子はその音に合わせるように、眠ったまま小さく息をした。
水野の妻が、布団の横で洗濯物を畳んでいる。
水野は帰ってくるなり、帳面を広げた。
「また仕事?」
「今日の荷を書いとく」
「伝票なら会社にあるでしょ」
「伝票には、なぜ急いだかまでは残らん」
妻は少し驚いた。
水野は鉛筆を走らせた。
小槌薬業。
東京行き。
薬液に近い調整液。
翌朝試験。
路線便では不可。
国鉄小荷物。
東京側、三橋受け。
荷札赤。
上積み厳禁。
液体。
割れ物。
至急。
それを書き終えてから、しばらく考えた。
そして表紙に文字を書く。
急ぎ荷控。
妻が覗き込む。
「そんな帳面、前からあった?」
「今作った」
「急に?」
「急にや」
水野は湊子を見た。
赤子は、トラックの音が遠ざかると、少し眉を寄せた。
「この子が生まれてから、変な荷が気になるようになった」
「変な荷?」
「小さいのに、止めたらあかん荷や」
妻は笑った。
「それ、前からあなたの仕事じゃないの」
「そうやけどな」
水野は頭を掻いた。
「前は、早く運べと言われたら腹が立った。今も腹は立つ。けど、何で早いのか聞いたら、道が変わることがある」
「道が変わる?」
「路線便か、駅か、車か、誰が受けるか。荷はな、勝手に届かへん。道を選んでやらなあかん」
妻は、少しだけ真面目な顔で頷いた。
「湊子の名前みたいね」
「何が」
「港は、船が勝手に集まる場所じゃないでしょう。帰る場所で、出ていく場所で、荷を渡す場所」
水野は目を瞬かせた。
「お前、たまにええこと言うな」
「たまに余計よ」
湊子が、眠ったまま小さく笑った。
その内に宿る宗像三女神の一柱の御魂は、まだ目覚めきってはいない。
だが、海の道、陸の道、人の道が交わる音に、確かに反応していた。
荷は道を選ぶ。
道は人を選ぶ。
そして人は、誰かの必要に応じて動き出す。
◇
東京の夜。
大国家の二階で、誠は眠っていた。
夢の中で、光の線が見える。
東京の大国製作所。
まつ乃弁当。
南東京信用金庫。
片倉医院。
大阪の小槌薬業。
港南運送。
三橋理工商会。
東都医科大学。
線は、町の中だけではなくなっていた。
東京と大阪を結ぶ細い線。
薬と部品と人の判断が通る線。
それはまだ一本である。
だが、一本あるということは、増やせるということだった。
大国主神は、その線を見つめた。
国を滅ぼすものは、外から来る敵だけではない。
届くべきものが届かないこと。
急ぐべきものが急げないこと。
大事な小口が、大口の陰で消えること。
現場の理由が、伝票の数字に潰されること。
それらが積み重なれば、国は静かに弱る。
ならば、荷にも縁を結ぶ。
物と人。
出す者と受ける者。
道と時間。
急ぐ理由と、払う金。
そこを結ばねばならない。
誠は夢の中で、小さく息を吐いた。
食。
医。
金。
工。
そして運ぶ道。
ようやく、国の毛細血管に血が流れ始めた。
遠く大阪では、真名彦が薬草の匂いの中で眠っている。
さらに別の場所で、湊子がトラックの音に包まれて眠っている。
神々はまだ赤子だった。
だが、それぞれの家で、それぞれの大人たちが動き始めている。
それでいい。
神が歩くより早く、人の仕事が道を作る。
昭和五十五年。
小さな薬箱が、大阪から東京へ届いた。
ただそれだけのことだった。
だが、その箱が通った道には、やがて日本の物流を結び直すための最初の印が残っていた。




