第二十九話~再会
「メトス、死んじゃ駄目だよ」
背後から聞こえたのは、ルーメの声だ。振向くとそこには、地面もないのに空に浮遊している、白いワンピースの少女の姿があった。
何で飛べるんだという疑問を一瞬抱いたが、よく考えたら幽霊だし、飛べるか。イメージ的に。
「ルーメ……何故君がここに、そんな筈はない。だって君は、とっくの昔に僕の手で」
「驚いた?この町に来た魔王様の強大な魔力が、魂だけの存在だった私に仮初めの姿を与えてくれた。今この町は、魔王様の魔力で満ちてる。だから、メトスとも会えるようになったんだよ。魔王様に感謝だね」
メトスがゆっくりと立ち上がり、小さく震えながら酷く狼狽える。そんなメトスの言葉を聞いて分かった。ルーメは、俺にしか見えなかったんだ。
ルーメが死んでからずっと、彼女は幽霊としてメトスと共に過ごしてきたんだと勝手に思っていたが、そうじゃなかった。
メトスはずっと、独りだったんだ。
「そんなことを聞いてるんじゃないよ……今まで君は――」
メトスの言わんとしていることを察したかのように、ルーメは言葉に詰まるメトスの沈黙を遮り言った。
「貴方が私を楽にしてくれたあの日から、ずっと見守ってたよ。その鎌の中で。」
「鎌の中……成仏せずにずっと、魂の姿でいたのか。ずっと独りで。どうして、僕は君に、今度こそ幸せな来世を迎えて欲しかったのに」
死神が言うって事は、この世界には間違いなく輪廻転生ってのがあるらしい。
そして、死神に殺された人間の魂は、彼らの命を刈り取った鎌に宿り、成仏して生まれ変わる。
メトスの言葉を聞く限り、ルーメは自分の意思で、鎌の中に魂のまま残り、メトスの側にいることを選んだんだ。
「貴方が私を殺したときのこと、覚えてる?」
ルーメが問いに、メトスは拳を握りしめる。きっと、思い出しているんだ。その喪失感が、昨日の事のように思い出せるほど、鮮明に。
思わずルーメの顔を見れず、メトスは俯く。
「覚えているよ。死んだ時の君は、僕が今まで殺してきた人達の中で一番、安らかな魂だった」
「うん、あの時は安心してた。だってメトスが側にいてくれたんだもん。なのに、私が最後に見たのは、貴方の寂しそうな顔だった」
メトスはその言葉を聞いて、罪悪感を顔一杯に広げる。
「あんな顔されたら、独りになんてできないよ」
そう、メトスは気付いたんだ。ルーメが成仏しなかったのは、自分のせいだと。
だがルーメは、愕然とした表情のメトスの頭を優しく撫でた。
「そんな顔しないで、メトス。私は、見届けられて良かった。ずっと独りだった貴方を、仲間が迎えにくるところを」
ルーメはそう言うと、俺とリーズの方を見た。
「これから世界は、大きな戦乱の渦に飲まれていくわ。私はその渦に、この町の皆が飲み込まれてほしくない。メモントリの花園が、焼かれてほしくない。だから、全てが終わるまではこの町を、氷の中に閉じ込めて、貴方の力で守ってほしい」
ルーメの驚きの発言に、その場にいた皆が顔を上げた。
「本当に良いのか?こいつら氷漬けにしたままで」
俺が問うと、ルーメは




