第十八話〜冒険者ギルドにて
俺は冒険者のおっさんに礼を言い、言われた通りの道を辿って冒険者ギルドへと向かった。
道中の道にも花々がいたるところに先ほこる。ほんのちょっぴり自分が称えられている気分になり、恥ずかしいと思いながら小走りで進む。
言われた通りに三つ目の角を曲がると、剣のマークが入った看板が目に入った。
「ここか」
俺は看板のある建物まで歩く。某検査ギルドというのでかなり大きなゴツイ施設のようなものを期待していたが、案外喫茶店程度の広さしかなく、外装にはやはり花が咲き誇っており、想像していた殺伐とした雰囲気とは違う。
「すいませーん」
扉を開けると、目の前には小さな階段が一つ。どうやらギルドは地下にあるらしい。
「とりあえず行ってみるか」
階段を下っていくと、もう一つ扉が出てきた。俺は再び扉を開ける。
「これが、冒険者ギルド」
外装の華やかな印象とは打って変わった硬い印象を抱く。目の前にはカウンターがあり、その奥には受付嬢がこちらを見てニコリと笑いかける。
中へ入ると、視界が広がる。カウンターの右手には、冒険者が身に着ける基本的な装備。剣、盾、槍、弓矢、鎧がそろっている。
カウンターの左には巨大な一枚の板があり、そこには様々な冒険者への依頼が書かれた紙が張り出されてた。
その奥にはまたカウンターがあり、そこでは冒険者らしき人々が、ウエイトレス風の女性から食事や酒を受け取っている。
そしてこの部屋は左側へ広がって行き、建物二つ分くらいの広さの空間には、机と椅子が規則的に並んでおり、数多の冒険者たちが食事や依頼の会議を行っている。
俺は受付嬢のいるカウンターへと進む。
「あのー、話を聞きたいんすけど」
「ようこそおいでくださいました、冒険者様。私フローラルの冒険者ギルドの受付嬢でございます。御用があれば何なりと申し付けください。仲間探しや以来の斡旋、情報の提供等、様々な面でサポートいたします」
茶髪を後ろで結んだポニーテールにメイド服の受付嬢は、満面のビジネス笑顔で言った。
「あ、じゃあ情報の提供お願いしたいんすけど」
「はい、なんなりとお聞きください」
さっきから、俺の強面に全く動揺しない。流石冒険者ギルドの受付嬢。いや、冒険者なんて俺より顔怖い奴ごまんといるか。
「ビスケルとか言う奴のことを、知ってる限り教えてくれ」
「はい、承知いたしました。ビスケル様、というのは、この町の領主であるビスケル・ア・フルール様でお間違いありませんか?」
「はい」
「では、ご説明いたします。ビスケル様は30代続くフルール財閥の現当主です。先代のビスコット様の次男として生まれ、長男のコットン様は5年前、ユーシア帝国との戦争で――」
待て待て待て待てキリがない。本当に全部知ってる事を喋ってたら一体どんだけ時間がかかるんだよ。
いや、知ってること全部教えてって言った俺が悪いか。
俺が今必要な情報はないか、整理して伝えないと。
まず、ビスケルの居場所は必要だ。知っておけば最悪本人に無理やり聞きに行ける。
他に必要な情報は、ルーメが言っていた、死神がビスケルに利用されてるってことについて詳しく知る必要があるな。
「――ですがある日、この町の領主や、反ビスケル派に属する貴族たちが、次々とげ人不明の突然死。結果的にビスケル様がこの町の領主となられました」
やばい、考え込んでて話止めるの忘れて‥‥‥え、今反ビスケル派が、原因不明の突然死って言ったか?
「はい、それに加えこの町の領主であったビュティー・フローラル様も、同じように亡くなられています」
邪魔な奴が急に一辺ににいなくなるなんて都合が良い話、簡単に起こるか?
偶然‥‥‥それよりも、ビスケルが味方につけていると考えた方が筋が通る。命を奪うことができる、強大な力を持った魔物、死神を。
ビスケルは、死神の居場所を知ってるんだ。
「受付嬢さん、ビスケルの家の場所を教えてくれ」
「はい、ビスケル様は、このギルドのそばにある大通りを北に真っすぐ進み、突き当たったところにある巨大なお屋敷に住んでおられます」
「ありがとう、受付嬢さん」
「初回は無料ですが、次回からは有料です。また冒険者登録を行い、ギルドに入会しなければ利用できません。今ここで冒険者登録をされて行かれますか?冒険者ギルドは国を問わずすべての町にございます。登録料は少々かかりますが、貴方の冒険をきっと豊かにするでしょう」
登録料か‥‥‥今はリーズがいないし、俺は金なんかもってないし。
冒険者ギルドに入会してた方が後々便利そうだが、金ないんじゃどうしようもない。
「すいません、金ないんで今日のところはこれで帰‥‥‥」
「待てよにぃちゃん」
背後から、聞き覚えのある声がした。振り向くとそこにいたのは、先程大通りでギルドの場所を案内してくれた冒険者のおっさんだった。
「帰らせねぇよ。ってか生かしちゃおけねぇな。なんたってあんた、魔王なんだからよぉ」
気づくと、俺の周りは、ギルドにいたすべての冒険者達によって作られた、色とりどりの魔方陣によって囲まれていた。




