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~万年婚約者なし令嬢、出奔予定ですが自称婚約者と王太子に求められました、ついでに命も狙われてます~  作者: 紫蘭かな


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18/22

17: 犯人確保、だけど・・・

ある日早朝から王宮内が騒がしくて目が覚めた。あわただしい足音が響き、張り詰めた空気を感じる。

何事かと慌てて身支度していると、

「マリー様、よろしいですか?」

とセリーヌ様が部屋に入ってきた。いつもと違い表情が強張っている。

「なにかあったんですか?」

「はい、今朝登庁してきジュード卿が捕らえられたそうです。アレクサンダー殿下の暗殺計画の首謀者としてです。数年前粛清された反王政勢力の一部が、平民に偽装して生き残っていたようで、密かにその者たちと繋がっていたようです」


「殿下がおっしゃっていた、『目途が立っている』というのは、この事だったんですね」


「ええ。権力者であるジュード卿に絡む件でしたので、慎重に事を進めていらしたようです」


「シシィは」

「一緒に行動していたジプシー達は捕らえたと。シシィと思われる女も身柄確保した、と報告があったそうです。疑わしい者は全員捕らえられたそうで、ほっとしましたわ。まだ王宮内は騒がしいので、マリー様も落ち着かないでしょうけど、ひとまずご安心くださいね」


「そうですか、お知らせくださりありがとうございました」




報告を聞いても私は不安なままだった。本当にその人はシシィなのか?それとも、捕らえた騎士達は、まだ、わかってないのか?



もしシシィがまだ逃げていれば、殿下をまだ狙っているかもしれない。


「殿下はどちらへ?」

私の部屋の外で警護していたものに聞く。

「陣頭指揮をとっていらっしゃいます。これで全て解決したようですよ。マリー様ももうご安心ください」

いつもの厳しい表情ではなく、朗らかに答えてくれたので、つられて笑顔になる。


(やっぱり私の考えすぎなのだろうか)


「ずっとお部屋にいらして気がめいられたでしょう、庭園でもご覧になられたら。通常通り警備の者が巡回しておりますので」


護衛と挨拶して別れ、庭園に向かった。

自分の頭を冷やしたかったのだ。


シシィは捕まった。


殿下に何もなくて良かった。シシィも大きな罪を犯す前につかまって、本当によかった。

これからシシィはどんな罰を受けるんだろう…。


「わあ、見事な薔薇!」

よく手入れされた花々に心が弾み、花の香りを胸いっぱい吸うと心が落ち着いてきた。家に帰る前に来られてよかったなと思いながら歩いていると、気になる個所を見つけた。葉っぱ一枚落ちていないほど完璧に整えられている庭園において、それは違和感があった。作業に使うような衝立が、壁に立てかけられたまま残されていたのだ。庭師が置き忘れたのかしら…と、衝立の裏をみると、壁石が外されて、無雑作に転がっていた。その外された部分は、人が通れる程の大きさの穴になっている。


マリーの中で警報が鳴る。

これは、通路だ。

転がっている石は壁石そのものではなく、壁石に模した軽い石で、普段は穴をふさいでいたものを、誰かが外したのだ。

人に知らせるべきだろう。でも、呼びに行っている間に何かあったら。取り返しの使いない事が起きたら。胸のざわつきは大きくなるばかりだ。


マリーは意を決して、足を踏み入れていった。


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