13:お呼びです
翌日、コッツフェルド家からの迎えを、屋敷の応接間で、お父様お母さまリアムと一緒に待っていた。ウィルもいてくれる。
「姉さん、僕も一緒に行くから安心してね。はあ、僕とセリーヌ様が、こんな事になるなんて」
私の身を案じて心配げな家族の中で、リアムは一人血色よい頬をつやつや輝かせ、興奮している。
そうだった、セリーヌ様の自称ファンだった。
「あなたはお留守番よ」
「なんで!おめかししたのに!」
――――セリーヌ様にもらった一般用申込書で名前の練習でもしてろ。
慌てて部屋にやってきた侍女が、混乱した様子で告げる。
「あのう、お迎えの方々がいらしたんですが、お聞きしてた方と、かなり違うんですけど…」
「失礼いたします」
入って来たのは、白の制服に白のマント姿の男性達だった。胸元には金糸で紋章が縫い取らている。この国の者ならだれもが知っている、王家直属の騎士団の紋章。
「お迎えに上がりました。これからマリー様には王宮へお入り頂きたい」
なんで王宮?コッツフェルド家じゃなくて?
「なぜ、王宮なのですか?」
「王太子が、一刻も早くと、マリー様をお求めになられたので」
「王太子って、誰?」「そりゃあ、お前、あれだろう、王太子だろう」「そっか、へええ、すごいねえ。ごめん、やっぱわからないんだけど、どゆこと?」
混乱が止まらくて家族の会話が崩壊気味だ。
お父様がなんとか体制を整える。
「理由をお聞きしたい。娘は本日よりコッツフェルド家にお世話になる事になっています。しかし、突然王宮に召されるというのは、どういう事なんでしょうか。娘を、侍女か何かにご所望ということですか?」
「伯爵がお望みなら、そういう形でも構いません。しかし殿下のご意向は『マリー様さえ望めば、喜んで王太子妃待遇でお迎えする』との事です」
「王太子妃・・・!?」
その場にいる全員が息をのむ。
「マリー!お前、殿下に何をしでかしたんだ!?」
「何もしてないって!会った事もないのよ!てか、まだ隣国に留学中のはずでしょ!?」
「マリー、貴女あんなにもてなかったのに、いきなり大物釣ってくるのね、わたくしの寿命がまた縮むわ…」
「釣るとか言わないで!釣ってないし!」
「わあお…姉様ったらいつの間に・・・大胆」
ぽっと赤くなった頬に両手をあてる弟リアム。なぜあなたが照れてるのよ。
ウィルはがっくりと膝を落としていた。
「嘘だろ、そんな・・・!」
騎士達に急き立てられながら私は馬車に乗せられ、そのまま王宮に連れていかれた。




