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VS 一反もめん(1)

 10月も最初の祝日をすぎると、今治市の空気も急に肌寒くなり始めたが、エアコンのないシェアハウス住まいの3人娘にとっては、過ごしやすい季節の到来である。


 3人で簡単な昼食をとったあと、5時間目は国語総合であった。瑞鶴みつるは国語が苦手である。前後に舟を漕ぎながらタブレットの画面越しの授業を受けていると、明奈のスマホが鳴った。


「あ、はい、そうです。紺原です。愛ちゃん? こんにちは。え、ホンマに? 分かりました。すぐ行きます。はい」


 明奈が飛鳥と瑞鶴をみた。


「学校に魔物が出たんやって。相手は空を飛ぶ魔物なんやって」


 瑞鶴の出番である。一気に目が覚めた。



*****



 魔物が発生する特異点、通称ゲートを愛が破壊して以来、私立せとうち青雲高校の生徒と教職員は平穏な日々を過ごしていたが、ついに恐れていたことが起こった。学校のゲートが復活したのである。


<一反もめんを確認しました>


 愛の耳腔に女性の声が反響した。グランドではこれまでエルデリアで遭遇したことのない魔物が空中を乱舞し、逃げ惑う生徒たちに上空から襲いかかろうとしていた。


「させないっ!」


 愛は生徒をかばいながら爆裂ヨーヨーを放ったが、一反もめんは即座に反転し上空へと逃げていった。


 開放空間での対空戦闘は、重合金の爆裂ヨーヨーを武器とする愛には不利であった。爆裂ヨーヨーは愛の手に収まる小ささでありながら、重量は5kgを越える。上方に向けて放つと、その重さのせいで速さと威力が失われた。


 グランド上空では愛達をあざ笑うかのように3体の一反もめんが乱舞していた。志津香がマジシャンズステッキで狙撃していたが、一反もめんの変幻自在な動きに加えて彼我の距離があるために、なかなか有効打を与えられない。


 愛、紗良、花梨、志津香にとって対空戦闘は初めての経験であった。一反もめんに襲われている生徒のもとに駆けつけては追い払うのが精いっぱいという状況であった。


「愛ちゃ〜ん、志津香さ〜ん」

「あ! 明奈ちゃ〜ん、みんな、こっちこっち!」


 グランドへとやってきた明奈、飛鳥、瑞鶴を愛達は手を振って迎えた。3人はそれぞれ1機ずつドローンを抱えていた。明奈は上空を乱舞する一反もめんの一団を指さした。


「空飛ぶ魔物やって聞いたんやけど、あれ?」

「そうなの。一反もめんっていうみたい」


 明奈達3人はドローンを地面に静置した。愛はドローンを見るのは初めてである。愛が瑞鶴に尋ねた。


「それを使うの?」

「うん、でも先にグランドの人たちに校内に避難してもらわないと」

「そうやね」


 愛達は2手に分かれると、一反もめんから生徒達を守りながら校内へと誘導し、まもなく最後の一人の避難が完了した。


「じゃあ、瑞鶴ちゃん?」

「うん」


 瑞鶴が頷くと同時に、モーターが回転する甲高い音を立てて3機のドローンが浮上した。


 瑞鶴はドローン操作を行う簡単なプログラムをCPU上で走らせて操作を一部肩代わりさせることによって、3機からなるドローン編隊を脳波コントロールすることができるようになっていた。


 3機のドローンはテレビカメラ付ドローンを先頭にして数珠つなぎになると一直線に急上昇していった。


 瑞鶴の網膜ディスプレイに映る空の青さが鮮烈だ。


 ドローンは一反もめんが乱舞する空域を越えてなおも上昇を続け、高空でホバリングに入ると、おもむろにカメラを下方へと向けた。網膜ディスプレイには高空から見おろした光景が映しだされた。


「見つけた」


 網膜ディスプレイに一反もめん達が遊弋する姿を捉えると、瑞鶴は躊躇することなく3機のドローンを一反もめんに向けてダイブさせた。まるで猛禽類が狩りを行うように、ドローン編隊は高空から一反もめんに襲いかかっていく。


 カメラに映った一反もめんがどんどん大きさを増してゆく。一反もめん達は自分たちに向かって上空から逆落としに飛来する存在に気づき散り散りになった。


 瑞鶴は一番動きが鈍い1体に狙いをつけた。風の影響を受けて一反もめんの影がカメラの視界から外れそうになるのを補正しながら、衝突寸前まで待ってからブレードを射出する。同時にドローン編隊は反転、急上昇した。


 放たれたブレードのうち1つが一反もめんを貫いた。一反もめんはゆらゆらと地上近くにまで落ちてきたところを飛鳥の白銀剣によって真っ二つに切られ、姿を消した。

このお話これからどうなるんだろうと、少しでもワクワクしてもらえてたら嬉しいです。

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次も頑張ります!

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