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魔物退治チーム VS 妖怪退治チーム(1)

 1学期の終わりに2つのゲートが波方愛により破壊されると、魔物の発生が学校生活に与える影響も少なくなり、学校生活も次第に落ち着きを取り戻していった。


 そんな中、毎年恒例の運動会が開催されることになった。


 朝から天高く雲ひとつない秋晴れであった。生徒達は1組から3組までの文系クラスが西軍、4組から6組までの理系クラスと近隣に住む通信制コースの生徒が東軍に分かれて競技を行っていた。準備期間はあまりなかったが、生徒たちは久々に人間らしい充実した時間を謳歌したのである。


 昼からはせとうち青雲高校運動会の名物である、全校参加による騎馬戦が行われていた。1年女子の騎馬戦が終わり、2年女子の騎馬戦が始まろうとしていた。


 西軍陣地では紗良、愛、志津香、花梨が円陣を組んでいた。4人は意気軒昂。愛の手を中心に各々が手に手を載せていった。


「いくよー、みんな!」

「「「「えい、えい、おー!」」」」


 一方、東軍陣地では飛鳥、明奈、瑞鶴の3人娘と新聞部部長の石持が円陣を組んでいた。石持は3人組を間近で取材し、学内新聞と今治銀座かわら版の両方の記事にしてやろうと、今回騎馬の一翼を担うことになった。この娘もたいがい、タフな女子生徒なのであった。


「みんな、今日は絶対に負けへんで!」

「「「「おー!」」」」


 どん


 太鼓が1つ打ち鳴らされた。騎馬を組む合図だ。西軍の陣のなかでは紗良を騎手として愛、志津香、花梨の3人が騎馬を組んで立ち上がった。東軍では飛鳥を騎手として明奈、瑞鶴、石持の3人の騎馬が立ち上がった。


 約50mの距離をはさんで、紗良と飛鳥がお互いの騎馬を認めた。彼らの間には無論、わだかまりや遺恨はなかったが、それはそれ、今日はお互いのチームにとって負けられない日なのであった。


「愛ちゃ〜ん、可愛い〜」

「紗良ちゃ〜ん、頑張れ〜!」


 ここ半年のあいだに多くの生徒が愛達によって魔物から救われていた。愛達への温かい声援で溢れたグランドは今の飛鳥達にとっては敵地のように感じられるかも知れない。


 観戦に訪れた今治銀座商店街の人々は固唾をのんで見守っていた。彼らのなかには3人娘の境遇を知るものも少なからずおり、祈るような気持ちでこの一戦を見つめていた。


 戦いの前に一瞬の静寂が訪れた。


 どん


 再び太鼓が打ち鳴らされ、集団戦が始まった。紗良の騎馬は西軍の右端で、飛鳥の騎馬は東軍の左端でゆっくりとお互いに近づいていった。彼らの強さは全校生徒の知るところであったので、両軍が彼らを避けつつ近づいていった結果、校舎側に多数の騎馬が集中する偏った会敵となった。


 校舎側で両軍によるハチマキの奪い合いが激しさを増すなか、飛鳥達の前に西軍の騎馬が立ちはだかった。その騎馬の騎手の手には数本の白ハチマキが握られていた。腕に憶えのある強者が飛鳥に一騎打ちを挑もうというのだ。


 飛鳥は決して、挑まれた試合からは逃げない。


 西軍の騎手は上背のある女子生徒で、上から覆いかぶさるように飛鳥に襲いかかった。その動きは、しかし、飛鳥にとってはスローモーションにも等しい。襲いかかる腕を上段受けで払い除けると、神速の速さで相手の赤ハチマキを奪い取る。


 挑戦者を鎧袖一触で退けた余勢を駆って、飛鳥達の騎馬は紗良達へと近づいていった。


 馬上の戦いに先立って、先頭に立つ花梨と明奈の戦いが始まった。お互いに睨み合いながら、右側から近づいてゆくと、相手も同様に右側から近づこうとするため、自然に騎馬同士のドッグファイトとなった。やがて機は熟し、花梨が明奈に右肩をぶつけていった。だが明奈も一歩も引かない。お互いの顔と顔がぶつかる距離で両者はにらみ合った。


 騎馬が十分に接近すると、次は騎手の戦いだ。


 飛鳥は右手を前に伸ばし、左手を引く半身の構え。紗良の左手はこめかみ、右手は顎の位置に引かれたボクシングスタイル。紗良が軽く左のジャブを放ち始めるが、飛鳥はそれを前に出した右手で捌いていた。


 しばらくはそうした攻防が続いたが、やがて飛鳥が身を乗り出した。騎馬戦ではハチマキを奪うという目的があるため、上を取られると圧倒的に分が悪い。飛鳥に相対する形で紗良も腰を浮かせた。紗良の赤ハチマキに向け、飛鳥が素早く伸ばした右手を紗良の左手が捌いたが、飛鳥の右手は執拗に赤ハチマキを攻め続けた。


 騎馬の当たり合う角度が変わった。今度は紗良の伸ばした右手が飛鳥の白ハチマキを奪おうと襲いかかる。飛鳥の左手は顔の近くで待ち構え、右手が伸び切った所で紗良の右手首を掴み、渾身の力で引いた。紗良がバランスを崩しかけた。


 それをみた志津香が紗良の足をがっちりホールドしつつ、声をかけた。


「みんな、進んで!」


 花梨、愛、志津香は騎馬の形を少し崩しながらも我武者羅に猛烈なプレッシャーを与えて前に進むと紗良がバランスを取り戻した。この瞬間、高いポジションを占めていた紗良のチャンスだ。紗良は掴まれた右腕はそのまま、飛鳥の白ハチマキを狙って左手を伸ばした。その左手に飛鳥の右手が組み付いた。


 飛鳥は腰を浮かせて高さを確保すると紗良の右腕を思いっきり引いてから離し、紗良の赤ハチマキに手を伸ばした。この動きを警戒していた紗良は、バランスを崩すことなく瞬時に右腕を戻し、飛鳥が伸ばした左手を右手で受けた。


 紗良と飛鳥は両手を組み合った状態のまま騎馬の上で立ち上がり、押せば押せ、引かば押せの力勝負となった。膂力は伯仲。大歓声の中、紗良と飛鳥は両手に両手を絡めてにらみ合った。


 どん


 太鼓が打ち鳴らされた。集団戦終了の合図であった。紗良と飛鳥は睨み合いながらも、慎重に両手を離した。


 騎馬達が自陣へと戻っていった。西軍には紗良の1騎のみ、東軍には6騎の騎馬。集団戦は東軍の圧倒的勝利となった。

このお話これからどうなるんだろうと、少しでもワクワクしてもらえてたら嬉しいです。

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次も頑張ります!

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