表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/65

VS ゴブリンエンペラー(1)

<新しく発生した魔物に挨拶を送る>

<ここはどこだ?>

<若い人間が集まる建物だ。指令はあるか?>

<先行者に従え、だ>

<そうか。魔物達よ、これは夢だ。この戦いの後、お前たちは本当の命に生まれ変わる。死を恐れるな>



*****



(こちら、エルデリアの賢者アキターレス。地球の子供たち、注意せよ!)


 魔物発生の警報のあと、廊下で集合した紗良、花梨、志津香にアキ先生からの念話が聞こえた。3人は顔を見合わせた。エルデリア以外では、アキ先生から念話を受け取ったことはなかったのだ。


(魔物による大攻勢が始まりました。ゴブリンエンペラーを頂点とする242匹のゴブリンです。今のあなた達の力では撃退することはできません)


 紗良の顔がさっと青ざめた。愛がいない状況では100匹程度の魔物が撃退できる限度であった。たとえ愛がいても200匹が限度だろう。


(今、2つのゲートが同時に開いています。あなた達が旧職員室と呼んでいる部屋の近くと、体育館と呼んでいる建物の近くです。それぞれ81匹のゴブリン達が実体化しているはずです)


(いまから20分後、どちらかのゲートから、さらに81匹のゴブリンが実体化します。したがって、あなた達の唯一の希望はそれまでにゲートを破壊することです)

 

(活性化した状態のゲートは、あなた達なら目視が可能です。あなた達のアイテムにはゲートを破壊する力を与えてあります。急ぎなさい、地球の子供たち。アキターレス通信終了)


 志津香が素早く作戦を立てた。攻撃力の高い紗良と花梨は旧職員室に特攻してゲートを破壊する。志津香は明奈と合流して、体育館裏を見渡せる新校舎1階の廊下を死守する。同時にグランドに侵入しようとするゴブリンをここで防ぐ。旧職員室横のゲートを破壊した後、紗良と花梨は1階で明奈と志津香に合流し、全員で総攻撃をかけて体育館横のゲートを破壊する。


 志津香の手にした日傘が擬態を解き、マジシャンズステッキが姿を現した。その白銀の杖は先端から光弾を打ち出すことができるアイテムだ。


「状況が悪化したら念話で連絡するね」

「これが、私たちの最後の戦いになるかもしれないわね」

「ふたりとも、顔を上げて!」


 志津香、花梨が紗良の目をみた。紗良の目は確信していた。


「愛は絶対に来る!それまで、希望を捨てないで、粘り強く戦って」


 そして、無事に愛する人のもとに帰ろう、と紗良は心のなかで付け加えた。



*****



 廊下はグランドへと避難する教師と生徒たちで溢れていた。


 紗良と花梨が文字通り人混みをかき分け、宙をかけながら東階段に急行すると、階下へと逃げ惑う人々の背後に複数の大型ゴブリンが棍棒を振り回し、生徒たちを追い立て、虐げているのが見えた。


<ゴブリンロード2体を確認しました>


 紗良と花梨の耳腔に女性の声が反響した。


「花梨、最初から全力でいくよ!」

「了解よ!」


 真っ先に切り込んだのは紗良だった。右手を引いた状態で、ゴブリンロードに特攻をかけた。


「爆裂ナックル右ストレート!」


 爆裂右ストレートの威力に、爆裂ナックルを上乗せした紗良最大の攻撃がゴブリンロードに炸裂すると、ゴブリンロードが文字通り、雲散霧消した。花梨はその空隙を通り抜け、更に先へと進んだ。もう1匹のゴブリンロードが見えた瞬間、廊下を蹴り、跳躍する。


 花梨の視界の端に一瞬、ゴブリンロードの驚愕した表情が映る。その横を走り抜けざま、右の爆龍脚を叩きつけ、成果を確認しないままに更に先へと進む。背後では紗良の雄叫びが聞こえていた。


「爆裂ナックル!」


 どうやら紗良は手負いのゴブリンロードには爆裂ナックルで十分だと判断したようだ。花梨は逃げまどう生徒たちの頭上を飛び越え、階段踊り場の手すりに両方のつま先で着地した。


 3階をうかがうと10匹以上のゴブリン達が生徒達を取り囲んで棍棒で殴りつけているのが見えた。


 花梨は踊り場の手すりから、思い切り斜め前方へと跳躍し、一気にゴブリン達の頭上を越え、向こう側へと降り立った。振り向きざまに、花梨は一番近くにいたゴブリンの延髄に右キックをぶち込んだ。


 背後にゴブリン達の戸惑いと怒りを感じながら、職員室を目指し全速力で駆け出した。ゴブリン達は花梨の後を追いかけてきたようだった。


 花梨は生徒たちが無事に逃げられることを願いながら、前方に向かって疾走を続けた。


 ひゅん


 矢唸りをあげて花梨のこめかみを矢がかすめた。


 前方に何匹かのゴブリンアーチャーが花梨に向かって矢を番えているのが目に入った。咄嗟に花梨が伏せるのと頭の上を矢が通り過ぎるのが同時だった。


「はあぁぁーっ!」


 半死半生のゴブリンを盾にして紗良が特攻をかけた。盾にされたゴブリンに次々と矢が突き刺さった。花梨もその後ろに続き突進した。


 廊下の先では、4匹のゴブリンアーチャー達が会議用テーブルの後ろから矢を放っていた。紗良と花梨は10mあまりの距離を一気に詰めた。


 紗良は盾にしたゴブリンを投げ捨てると同時に、右膝をついて、ゴブリンアーチャー達が背後に潜むテーブルにアッパー気味に爆裂ナックルを放った。


 ドゴーーン!


 テーブルとともに4匹のゴブリンアーチャーが吹き飛んでいった。


 花梨と紗良はそのまま前方に突進した。行く手を阻むゴブリンを殴りつけ、追いすがるゴブリンは蹴り飛ばして前進を続けると、いつの間にか、50匹以上のゴブリンに周りを囲まれていた。


紗良と花梨は背中合わせとなった。


「囲まれたわね。背中は任せるわ」

「任された!」

ここまでお読み頂き、ありがとうございます!

このお話これからどうなるんだろうと、少しでもワクワクしてもらえてたら嬉しいです。


よかったら、ブックマークや評価をポチっとしてもらえると作者の励みになります!

次も頑張ります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ