VS オークキング(1)
<新しく発生した魔物に挨拶を送る>
<ここはどこだ?>
<若い人間が集まる建物だ。指令はあるか?>
<戦え、だ>
*****
2時間目と3時間目の間の休み時間に魔物発生を告げる警報が発報された。
「魔物がァ、発生しましたァ。生徒はァ、落ち着いてェ、グランドにィ、避難しましょう」
生徒と教師達はそれぞれにグランドへと避難を開始した。そんな中、愛、紗良、花梨の3人は人の流れとは逆に歩いてゆくのだった。
志津香によると、大量の魔物の気配が体育館近くに感じられるとのことであった。志津香はエルデリアのスキル所有者ではなかったが、魔物の気配を感知する能力を持っていた。
「愛ちゃーん、頑張れ〜」
「紗良ちゃーん」
生徒達が魔物討伐に向かう愛達に声援を送った。学校側が黙認しているということもあり、最近は隠密のスキルを用いることもなくなっていた。
「すごい人気ね」
花梨が目をみはった。先日インタビューが掲載された学校新聞の記事の反響も大きかった。そこに明奈が息を切らしながらやってきた。魔物警報発令と同時にメッセージを送ったのだ。
「ごめんごめん! 今治銀座から爆速で走ってきたわ! キャリーケースのお婆ちゃん、2、3人、はねてもうたかも分からん!」
4人が体育館に到着すると、そこには既にオークの大群が愛達を待ち構えていた。オーク達の総数は50匹を軽く超えていた。
愛達は事前に複数のパターンを想定していた。オーク81匹のパターンでは、オーク達はオークキングによって統率されているだろうと考えていた。
果たして、オーク達が陣を布いた奥には、ひときわ巨体のオークが愛達の方向に、両方に刃のついた巨大な戦斧の先を向けていた。
4人は横一列に並び、オーク達と10mほどの距離をおいて対峙した。
愛が右手の爆裂ヨーヨーを重たげに上下させた。
紗良が右手に装備した爆裂ナックルを左手の平に軽く打ち付けた。
花梨の左足には銀色のパワーアンクレットが輝いていた。
明奈がトン、トン、とリズミカルに跳ねていた。
彼ら2群の戦闘者たちの間を、一陣の風が吹きすさんだ。愛達の体の内部に静かな戦きが満ちた。その気合を感応したのだろうか、巨体オークが威嚇を込めて咆哮した。
「ゔも〜〜〜〜〜」
咆哮はせとうち青雲高校のキャンパス全体に轟き、校舎のガラス戸をビリビリと震わせた。
それを合図に戦いが始まった。愛と紗良のコンビネーションが先陣をきり、花梨が遊軍となり、後方を明奈が固める陣形だ。
前方のオーク達が猪突猛進し、愛と激突する直前、紗良が愛を追い越し、オークナイトの鼻面に一番槍をぶち込んだ。
「爆裂ナックル右ストレートーッ!!」
オークナイトが2匹のオークを巻き込みながら後方に吹き飛んでいった。
愛が爆裂ヨーヨーを右に放って右のオークを爆散させ、手に戻すこと無く、そのまま左に誘導し、左のオークを爆散させた。
先行した紗良が倒れたオークの腹に立ち、爆裂ナックルを電光の早業でオークの腹に連撃し、息の音を止めた。
花梨が空中を跳躍し、左前方から襲いかかるオークに左の爆龍脚を叩き込み爆散させた。後方では明奈がフットワークを使い、裏爆龍脚と通常の蹴り技を巧みに使い分け、愛と紗良の後方を守りながら、着実にオークにダメージを与え続けた。
4人は旋風の如くオーク達を蹴散らすが、数にものをいわせてオーク達が猛攻を続けた。しかし、後方を弱点とみて後ろに周りこんだオークロード1匹とオークが2匹、明奈を圧倒しようとしていた。オーク1匹を裏爆龍脚で葬り去ったが、明奈の目前にオークロードが迫り、巨大な戦斧を振り上げたその時、
「ローリングドラゴン!」
花梨が宙を駆け、必殺の3連撃がすべてオークロードの鼻面に炸裂した。しかし、流石はオークロード、まだ倒れなかった。
「爆裂踵落とし!」
すぐさま、明奈がオークロードの脳天に裏爆龍脚を叩き込むと、オークロードの巨体は後ろに倒れこんだ。
「どや!」
明奈がドヤ顔で次の獲物に目を向けた。
その前方では愛と紗良がオークロードとオークナイト4匹と死闘を繰り広げていた。オークナイト2匹による左右からの同時攻撃が愛を襲ったが、愛は冷静に距離を詰め、オークナイト達の懐に入り込み小さなモーションからヨーヨーを繰り出し、オークナイトを次々に爆散させた。
いっぽう、先行しすぎた紗良はオークロードとオークナイト2匹に取り囲まれてしまった。
「やば! 囲まれた!」
オークロードが巨大な戦斧を振り上げたとき、紗良の背後で雷鳴が轟いた。
「スペシャルローリングドラゴン!」
オークナイト1匹が一瞬でボロボロになった。オークロードの注意がそれた。チャンスだった。紗良はオークロードの懐に入り込んだ。
「爆裂左フック!」
オークロードは右に吹き飛んでいった。紗良が花梨に親指を立て、花梨は紗良にうなずいた。
その横では、オークナイトの横殴りの戦斧の一閃が愛を襲ったが、愛はジャンプしてこれをかわし、空中からオークナイトの顔面にヨーヨーをのめり込ませ爆散させていた。
オークの主力を愛と紗良が正面から受け、背後を明奈が守り、花梨が将棋の竜王のように縦横無尽に飛び回っては、どんどんとオークを蹴散らし、4人はオークキングへと肉薄していった。
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