表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/61

VS 吸血種(2)

 その日の夜、愛、紗良、花梨の3人は私立せとうち青雲高校近くの路上に集合した。そこから3人は隠密のスキルを用いて校舎に向かって移動した。


 途中、花梨が段差で転んだ。花梨は右膝を軽く擦りむいていた。


「大丈夫? 山路さん?」

「大丈夫よ。まだ力加減に慣れてなくて、たまに転ぶだけ。それと……花梨でいいわ」

「じゃあ、私も紗良って呼んで」

「私も花梨って呼んでいい? 私のこと、愛って呼んでね。ね、転んだところ、見せて。ヒール」


 愛が手をかざすと、患部から皮膚の傷と赤みが消えていった。


「愛、凄い!」


 紗良は腰のポーチからチョコウェーハーを取り出した。


「ヤットカット食べる〜?」

「頂くわ」

「ありがと〜。私、動物ビスケット持ってきた」


 女子3人は和気あいあい、ピクニック気分で高校に向かったのであった。



*****



 高校に到着した3人は、手始めに、未だにスケルトン種が出現する体育館付近へと向かった。お互いのスキルを確認するためである。体育館に着くと、果たして、そこにはスケルトンナイト1体、スケルトンソルジャー2体が待ち構えていた。


 3人は愛を先頭に近づいていった。まずは、愛がスケルトンソルジャーを爆裂ヨーヨーで粉砕し、次いで紗良がスケルトンナイトの剣戟をフットワークでかわし、右ストレートを叩き込んで粉砕。最後に1体残ったスケルトンソルジャーには、花梨が左のハイキックを頭蓋骨に叩き込んだ。


 ほんの僅かな間でスケルトン達を討伐することができた。


「「「イェーイ!」」」


 3人は笑顔でハイタッチした。骨の小山となったスケルトンは、すぐに輪郭を失い、瘴気となった。愛は浄化魔法を使い、瘴気を消去していった。


「今のキック、スキル名ってあるの?」

「ええ。爆龍脚よ」

「へえ、かっこいい。紗良のパンチは爆裂右ストレートだよ。ね、紗良」

「爆裂左フックもあるよ」


 3人はしばらく体育館付近でスケルトンを討伐し、お互いの動きを確認し、その後、満を持して、吸血種が出没する本館3階の廊下へと向かった。



*****



 3人は作戦通り、愛と紗良、花梨の二手に分かれた。3階の東階段から愛と紗良が吸血種を追い込み、西階段で花梨が待ち伏せをする作戦であった。花梨の存在はまだ吸血種に知られていないはずなので、吸血種を不意打ちできるはずだった。


 愛と紗良が3階の廊下を東から進んでゆくと、暗闇から滲み出すように吸血種が出現した。


<吸血種を確認しました>


 貴族然とした、鼻の高い男性の吸血種だった。


「フフフフ」


 吸血種は不敵に笑っていた。


 二人は前衛が愛、後衛が紗良という鉄壁のフォーメーションで吸血種へと突進した。吸血種が魔力弾を打ち出すが、愛が右手に持ったヨーヨーですべて弾き返した。愛のヨーヨーの射程距離である1mまで近づいた。すぐさま愛はヨーヨーを投擲した。


 これがゴブリンやスケルトンであれば粉砕!となるところだが、敏捷性の高い吸血種は後方上空へと逃れた。愛がかがみ込むと、その肩から、トン、と軽い音とともに紗良が宙に舞った。右肘を後ろに引いた溜めポーズから、紗良は必殺技を繰り出した。


「爆裂右ストレート!」


 吸血種はかろうじて回避したが、少なからぬダメージを負ったようだった。西の階段へ向かって逃げ出した吸血種を愛と紗良は追いかけるが、手負いといえど、吸血種の飛行速度は早かった。


 あっと言う間に廊下の端に到達した吸血種は、まだ遠くにいる愛と紗良を振り向くと、ニヤリと笑った。


 花梨はその一瞬の静止を見逃さなかった。得意の跳躍力で空中を飛翔し一気に距離を詰めると、花梨は静止した的に向かって鞭のような蹶り技を放った。


「爆龍脚!」


 吸血種の油断しきった顔面にモロに爆龍脚が炸裂した。吸血種は後方に吹き飛び天井にぶつかって、跳ね返り、床を転がった。


 立ち上がろうとする吸血種の顔面に愛の爆裂ヨーヨーが直撃し、のけぞった姿勢のがら空きのボディに、紗良の爆裂右ストレートが綺麗に入った。


 通常の魔物であれば、ここまでの波状攻撃を喰らえば既に瘴気と化しているダメージであったが、吸血種はまだ戦闘不能状態となってはいなかった。


 腹部を右手で押さえながら、花梨を見て、ついで愛と紗良を見た。次の瞬間、吸血種は10匹以上のコウモリに分裂し、花梨の側から逃げ出そうとした。


 花梨は迷うこと無く、もっとも近いコウモリの一群に向かって、スキルを放った。


「スペシャルローリングドラゴン!!」


 まるで雷鳴が轟いたような音とともに、5匹のコウモリが雲散霧消した。一瞬の刹那に5回の蹴り技を繰り出す花梨最大の技であった。


 残りのコウモリ達はあわてて逆方向へと逃げ出し、凝集し、ふたたびヴァンパイアの姿となった。が、そこは愛のヨーヨーの射程圏内。愛の手元から、白銀の輝きがほとばしり、爆裂ヨーヨーがヴァンパイヤの顔面にのめり込んだ。


「えんじょい♡」

「フフゲボン」


 コールアンドレスポンスが決まった。ヴァンパイヤの頭部は爆散し、瘴気となって消えた。


「やった〜。ヴァンパイヤ討伐成功〜!」

「いやっほ〜い」


 愛と紗良はハイタッチした。花梨の手がなかった。


「あれ、花梨は?」


 花梨は廊下の床で右足を押さえて、ゴロゴロと右へ左へと転げ回っていた。


「ああ、足が〜、足が〜」


 これ以降、彼女のステータスの称号欄には「自爆の花梨」と記載されることになるのであった。


 【ステータス】

 名前:山路 花梨

 種族:人間

 職業:蹴闘士

 称号:自爆の花梨

 レベル:5(↑+1)

 体力:70 / 70(↑+10)

 チャージ:70 / 70(↑+10)

 力:25(↑+5)

 俊敏:60(↑+10)

 装備:なし

 スキル:隠密、暗視

     爆裂脚(中)

      爆龍脚、使用チャージ10

      ローリングドラゴン、使用チャージ15

      スペシャルローリングドラゴン、使用チャージ30

ここまでお読み頂き、ありがとうございます!

今回のお話、少しでも「いいな」と思ってもらえてたら嬉しいです。


よかったら、ブックマークや評価をポチっとしてもらえると作者の励みになります!

次も頑張ります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ