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アメリカ都市文化体験研修(3)

 その日の夜、愛達7人とキャリー、ダゲットの姿はロサンゼルス郊外にあるチャイニーズレストランにあった。エントランス脇で巨大な馬の像がお出迎えしてくれる有名なチェーン店で、アメリカにある一般的なチャイニーズレストランよりも高級なレストランだ。


 チャーハン、春巻き、焼きそば、牛肉とブロッコリーの炒めもの、麻婆豆腐などが大皿に盛られており、それぞれが小皿にとって食べるスタイルだ。ちょっと味付けは濃いめだが、それなりに美味しい。


 食べることが大好きな健康第一の美少女、宝来紗良、お喋りさえしなければ模範的な美少女、紺原明奈、万年欠食児童のロリ系美少女、近見飛鳥はあっちの皿に手を伸ばし、こっちの皿に手を伸ばし、どんどんと食べ進めていた。3人とも幸せそうである。


「チャーハンと焼きそばのお替りください」


 キャリーが店員にそっと、さり気なく注文する。とにかく気がつく有能女子なキャリーなのである。


「今日1日の結果をまとめると、ハーフゾンビーとハーフ吸血種が普通のビジネスパーソンとして、吸血種が弁護士としてユニオンステーションを利用していて、ファイナンシャル・ディストリクトからは魔物の気配がする。スキッドロー地区のホームレスの人たちからはゾンビーと思われる魔物が発生した、ということになるわね」


 愛がブロッコリーを飲み込んだ。


「あむ。日本ではエナドリを飲んだ人たちは会社員が多かったようだから、似たような状況なのかも?」

「でも、それだと、ホームレスの人がゾンビー化したことの説明がつかないわ」


 花梨が麻婆豆腐を小皿に取り分けたが、その皿をじいっと見つめる明奈に渡し、あらためて自分の分を取り始めた。


「無関係なのかも知れない」


 大皿の料理をひと通り食べ終えた飛鳥が、両手に持った熱いお茶をひとすすりした。


「私の父親は生前、魔物化した人と戦ったことがあるようなことを言っていたけど、世の中には、世間に知られること無く、いつのまにか魔物化して、犯罪を犯してしまう人がいるんじゃないかな」


 キャリーが頷いた。


「そうね。今日、あなた達がいなかったら、あのゾンビー化したホームレスの人達は駆けつけた警官に犯罪者として射殺されていたかも知れないわね。あの人達はラッキーだったわ。実はつい先日もそんな事件があったばかりなの。危険な仕事をお願いしちゃって御免なさいね」


 キャリーは炭酸水を一口、口に含んで続けた。


「ビジネス街とスラム街の間には数ブロックあって、住人同士の社会階層もかけ離れているわ。今は別々のケースと考えていいと思うの。明日は飛鳥ちゃんと志津香ちゃんはスイッチして、志津香ちゃんがシボレーチームに入って。もしもゾンビー化した人を見つけたら、志津香ちゃん、鑑定をお願いします」



*****



 愛達7人は、翌日も午前中は留学プログラムに参加し、午後は魔物調査を行った。


 最初は何がなんだか分からなかった授業も、生徒や先生との何気ない会話と交流を重ねるうちに、なんとなく分かるようになってきたのだから、語学とは不思議なものだ。現地の生徒達も優しく接してくれるので、最初は緊張の連続であった授業も、途中から楽しいものに変わっていた。


 愛達にとって特に楽しく過ごせた時間はハイスクールのヒップホップダンスクラブとの交流だった。今アメリカの高校生に流行っているステップを教えてもらったり、一緒にダンスを踊ったりと楽しく有意義な時間を過ごした。


 スキッドロー地区に発生するゾンビーのような魔物は、志津香によると、やはりゾンビーという鑑定結果であった。なぜか、スキッドロー地区でホームレスの人が魔物化すると必ずゾンビーになるようであった。また普通のホームレスの人々に混じって、少なからぬ数のハーフゾンビーがホームレスとして生活しているようだった。キャリーの推測ではドラッグの種類と関係があるのかも知れない、ということだが、原因は不明だ。

このお話これからどうなるんだろうと、少しでもワクワクしてもらえてたら嬉しいです。

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