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【40】 舟券師のことを散々言ってしまった!
老人「ところが、何度後ろをつけても何を買ったのかサッパリ分からん」
金子「……」
栗原「……」
老人「自分の体で画面をぴったり覆い隠すように買うんですよ」
金子「ガードが固いんだな」
老人「払い戻しの時はチラッと画面が見えるんだが、レースが終わった後じゃ何を買っていたか興味も失せて覚えておらん。ただ……」
金子「ただ?」
老人「払戻機から出てきた札束を固く握りしめて、財布に仕舞っていた。ぶ厚かったなぁ~」
金子「それ、何回くらい見たんだい?」
老人「何度もですよ」
金子「へぇーっ! あの人、とんでもないプロだったんだ」
栗原「やっぱり本物の舟券師だったのか……」
金子「栗さん、さっき舟券師のこと散々言ってたよなぁ?」
栗原「えっ? そうだっけ?」
金子「『舟券師は小汚い格好で髪は伸び放題、髭ボウボウで足も短い』とかさ」
栗原「ははははは! そんなこと言ったっけ?」
金子「『一年中競艇場の中を歩き回ってるから足が短くなるんだ』とかさ」
栗原「ははははは……」
栗原は冷や汗をかきながら笑ってごまかす。
老人「ははははは」
老人も楽しそうに目を細めた。
老人「あの人は、もうここには戻ってこんでしょうな」
栗原「そうかなぁ……?」
老人「きっとどこかで、自分の足の長さを確かめてますよ」




